パターン3|非課税枠の「再利用ルール」を誤解してあわてて売買してしまう

2024年からの新NISAでは、保有している商品を売却すると、非課税保有限度額(総枠1800万円)のうち売却した分の枠が復活し、再び投資に使えるようになりました。この「枠が復活する」という仕組み自体は資産形成の自由度を高める便利なルールですが、その復活のタイミングを誤解してしまうケースが見られます。

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NISA「非課税枠の再利用」ルールのイメージ

出所:金融庁「NISAを知る」をもとにLIMO編集部作成

実際には、商品を売却してもその年のうちに枠が復活するわけではなく、復活するのは翌年以降で、金額も売却した商品の簿価(取得金額)分に限られます。「今年中に売って、また買い直せる」と勘違いしたまま売却してしまうと、その年の非課税投資枠を使い切れなくなったり、意図せず課税口座での再投資を迫られたりすることがあります。焦って売買する前に、枠が実際にいつ・いくら復活するのかを確認する習慣を持っておくと安心です。

和田 直子

「枠が復活する」という説明だけを聞くと、いつでも自由に売り買いできる制度のように感じてしまうかもしれません。ですが実際には翌年以降・簿価ベースという条件があります。この点を正しく理解しておけば、慌てて売却する場面そのものを減らすことにもつながります。制度のルールを味方につけて、腰を据えて資産形成に取り組んでいただければと思います。

シニア世代だからこそ意識したい資金計画の視点

これらの失敗パターンは、年齢にかかわらず誰にでも起こりうるものです。ただ、シニア世代の場合、現役世代に比べて「時間をかけて回復を待つ」という選択肢が限られやすいという事情もあります。だからこそ、投資に回す資金と、当面の生活費や医療・介護に備える資金を、はじめの段階で明確に分けておくことが大切です。

新NISAは非課税保有期間が無期限になったことで、じっくり時間をかけた運用がしやすい制度になりました。まとまった資金があるからといって急いで一括投資をする必要はなく、ご自身の資金計画に合わせたペースで活用していくことができます。

まとめ

新NISAで起こりやすい3つのパターン、すなわち集中投資、値動きへの動揺による売却、非課税枠の再利用ルールの誤解は、いずれも判断力の問題ではなく、制度への理解や資金計画の立て方次第で防げるものです。

まとまった資金を手にしたときほど、一度立ち止まって、時間分散・資産分散の考え方や非課税枠のルールを確認してみることをおすすめします。

【投資に関するご注意】

  • 本記事は特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。
  • 投資には元本を割り込むリスクが伴います。最終的な投資判断は、ご自身の責任において行われるようお願いいたします。

参考資料

和田 直子