食品の値上げが相次ぎ、エネルギー価格の上昇がガソリン代や電気・ガス代にも波及するなど、物価高が家計に重くのしかかっています。こうしたなか、はたらく人たちは「賃上げ」と「はたらきやすさ」のどちらを望んでいるのでしょうか。

パーソルキャリア株式会社が運営する『Job総研』が実施した「2026年 賃上げの意識調査」から、物価高のもとで賃上げを望む声の大きさと、実際の賃金への不満の実態を見ていきます。

この記事の3つのポイント
  • 物価高を背景に、2026年度は「賃上げ」を望む人が70.5%
  • 現在の賃金に「不満がある」人は65.1%、内容は「物価上昇に追いついてない」が最多
  • 2026年度の昇給見込みは67.7%だが、はたらき方への不満も54.3%

1. 物価高のいま、7割が「賃上げ」を希望

Job総研は、現在就業中の社会人男女278人を対象に、2026年3月29日〜31日にインターネット調査を実施しました。

2026年度は「賃上げ」と「はたらきやすさの改善・維持」のどちらを希望するか聞いたところ、「賃上げ派」が70.5%を占めました。内訳は「断然賃上げ」29.9%、「賃上げ」15.1%、「どちらかといえば賃上げ」25.5%です。

食品値上げやエネルギー価格の上昇が続くなか、はたらきやすさよりも、まずは物価高に見合った賃上げを求める声が優勢であることがわかります。

2. 賃上げを望む理由は「生活費が高いから」が最多

賃上げを希望すると答えた196人に理由を聞くと、次のような結果になりました。

  • 生活費が高いから:66.3%(最多)
  • 将来のために貯蓄をしたい:60.2%
  • 物価に収入が追いついていない:50.0%

物価高による生活費の圧迫が、賃上げを望む最大の理由になっています。収入が物価上昇のペースに追いついていないと感じている人も半数にのぼり、実感としての「値上げラッシュ」の厳しさがうかがえます。

3. 現在の賃金への不満は6割超、内容は「物価上昇に追いついてない」

回答者全体に、現在の賃金に不満があるか聞いたところ、「不満がある派」は65.1%でした。内訳は「とても不満がある」11.2%、「不満がある」21.2%、「どちらかといえば不満がある」32.7%です。

賃金に不満があると答えた181人にその内容を聞くと、次のとおりです。

  • 物価上昇に追いついてない:64.6%(最多)
  • 昇給額が小さい:54.1%
  • 昇給機会が少ない:39.8%

物価高が続くなかで、賃上げそのものよりも「物価に見合った賃上げになっていない」という不満が最も大きいことがわかります。

4. 女性・一般社員ほど賃金への不満が大きい

賃金に不満がある人の割合を男女別に見ると、男性63.2%に対し女性68.2%と、女性のほうが不満を抱えている傾向が見られました。

役職別では、一般社員が68.9%と最も高く、部長クラス以上が54.2%と最も低くなりました。ただし管理職層のなかでは課長クラスが63.2%と高く、係長クラス60.0%、主任クラス57.2%を上回っています。

物価高の影響は立場によって受け止め方が異なり、特に一般社員や女性で不満が強く表れる結果となりました。

5. 2026年度の昇給見込みは7割、男女で差も

2026年度に昇給の見込みがあるか聞いたところ、「見込みがあると思う派」は67.7%でした。内訳は「とても見込みがあると思う」9.4%、「見込みがあると思う」19.8%、「どちらかといえば見込みがあると思う」38.5%です。

男女別では、男性70.7%に対し女性62.6%と、男性のほうが昇給を見込む割合が高くなっています。物価高が続くなかでも一定の昇給期待はあるものの、実感には男女差があることがうかがえます。

6. はたらき方への不満も5割超、避けたいのは「休みが取りづらい」「転勤」

現在のはたらき方に不満があるか聞いたところ、「不満がある派」は54.3%でした。

避けたいはたらき方としては、次の項目が上位に挙がりました。

  • 休みが取りづらい:58.3%(最多)
  • 転勤がある:51.1%
  • ノルマ・プレッシャーが大きい:47.1%

物価高のなかで賃上げを最優先に望む人が多い一方、はたらき方そのものへの不満も根強く残っていることがわかります。

7. 物価高時代に賃上げの実感を得るために

今回の調査結果から見えてくるのは、物価高によって「賃上げ」への期待が高まる一方、実際の昇給額や機会に対する不満が根強いという実態です。

自由記述では、次のようなコメントも寄せられています。

  • 「賃上げ額が少なすぎる。毎年多くて1千円以内で家計の助けになる程上がらないのが実態です」
  • 「賃上げは6年目にしてやっと3,000円アップ。全く嬉しいと思わなかったです」
  • 「給料の上がり幅が狭く、ボーナスも2→1回に減らされた。年収としては前年よりも下がった」

物価高が続くなかでは、賃上げの有無だけでなく、その水準やプロセスへの納得感が、はたらく人たちの満足度を左右する重要な要素になっているといえそうです。

8. よくある質問

8.1 Q. 物価高のいま、賃上げを望む人はどれくらいいますか?

A. Job総研の調査では、2026年度に「賃上げ」を希望する人は70.5%でした。

8.2 Q. 現在の賃金に不満を持つ人はどれくらいいますか?

A. 65.1%が「不満がある」と回答しており、最も多い理由は「物価上昇に追いついてない」(64.6%)でした。

8.3 Q. 2026年度に昇給の見込みがある人はどれくらいいますか?

A. 67.7%が「見込みがあると思う」と回答しています。ただし男女差があり、男性70.7%に対し女性は62.6%でした。

9. まとめ

今回は、Job総研「2026年 賃上げの意識調査」から、物価高のもとでの賃上げ意識と賃金への不満の実態を確認しました。

  • 物価高を背景に、2026年度は「賃上げ」を望む人が70.5%
  • 現在の賃金に「不満がある」人は65.1%、最多の理由は「物価上昇に追いついてない」
  • 2026年度の昇給見込みは67.7%、男女で差(男性70.7%・女性62.6%)
  • はたらき方への不満も54.3%、避けたいのは「休みが取りづらい」「転勤」

物価高が続くなかで、賃上げへの期待と実際の昇給とのギャップをどう埋めていくかが、はたらく人にとっても企業にとっても今後の大きな課題といえそうです。

参考資料

LIMO編集部