人生100年時代といわれ、老後の生活資金について考える機会が増えています。老後の大きな支えのひとつになるのが、勤務先から受け取る退職金です。
筆者はFP(ファイナンシャルプランナー)として家計相談に携わってきましたが、「退職金はみんなどのくらいもらっているの?」と聞かれることがよくあります。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、勤続20年以上かつ45歳以上で定年退職した大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の退職給付額は、平均1896万円でした。
また、2026年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わりました。
改正された「同一労働同一賃金ガイドライン」には賞与・退職手当に関する内容も追加されており、退職金について考えるうえで、こうした最新の動きも知っておきたいところです。
この記事では、退職給付制度がある企業の割合や、学歴・勤続年数別の退職金の平均額、制度の形態や退職理由による違いを確認します。
1. 【退職金】退職給付制度がある企業「7割超」企業規模が大きいほど割合が高い
まずは、そもそも退職金の制度がある企業がどのくらいあるのかを見てみましょう。
1.1 1000人以上の企業では90.1%
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合は74.9%でした。
企業規模別にみると、1000人以上が90.1%、300〜999人が88.8%、100〜299人が84.7%、30〜99人が70.1%で、規模が大きい企業ほど割合が高くなっています。
1.2 制度の形態は「退職一時金のみ」が69.0%
退職給付制度がある企業のうち、制度の形態は「退職一時金制度のみ」が69.0%、「退職年金制度のみ」が9.6%、「両制度併用」が21.4%でした。退職金を一時金で支払う仕組みだけの企業が、約7割を占めています。
2. 【退職金】定年退職の平均「大卒1896万円」「高卒(管理・事務・技術職)1682万円」
次に、実際に支払われた退職金の平均額を確認します。ここでの退職給付額は、2022年の1年間に、勤続20年以上かつ45歳以上で退職した人に支払われた、または支払額が確定した1人あたりの平均額です。
2.1 大卒の定年退職者は退職時の月給の36.0か月分
定年退職者の退職給付額は、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)が1896万円、高校卒(管理・事務・技術職)が1682万円、高校卒(現業職)が1183万円でした。
退職時の所定内賃金(月額)と比べると、大学・大学院卒は36.0か月分、高校卒(管理・事務・技術職)は38.6か月分、高校卒(現業職)は34.3か月分にあたります。
2.2 前回2018年の調査と比べると
前回の2018年の調査では、大学・大学院卒の定年退職者の退職給付額は1983万円でした。2023年の調査では87万円少なくなっています。一方、高校卒(管理・事務・技術職)は1618万円から1682万円に、高校卒(現業職)は1159万円から1183万円に増えました。
3. 【退職金】勤続35年以上なら「大卒2037万円」勤続年数で大きく変わる
退職金の額は、勤続年数によって大きく変わります。定年退職者について、勤続年数別の平均額を見てみましょう。
3.1 大卒は勤続20〜24年の1021万円から、35年以上で2037万円に
大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の定年退職者の退職給付額は、勤続20〜24年で1021万円、25〜29年で1559万円、30〜34年で1891万円、35年以上で2037万円でした。勤続20〜24年と35年以上では、約2倍の差があります。
3.2 高卒(管理・事務・技術職)も35年以上で1909万円
高校卒(管理・事務・技術職)では、勤続20〜24年の557万円から、35年以上では1909万円に増えます。高校卒(現業職)は、勤続35年以上で1471万円でした。長く勤めるほど退職金が増える仕組みの企業が多いことがうかがえます。