3. 【年金の生涯受取総額】月5万円を25年受け取ると総額いくらになるのか

月額で語られる年金も、受け取る期間をかけ合わせると別の姿が見えてきます。90歳まで受給が続くケースを想定してみましょう。

ここでは年金月額5万円の方が、65歳から90歳までの25年間受け取った場合を試算します。総額と、実際に使える金額の両方を示します。

3.1 【試算】25年分の額面は1500万円、手取り換算で1410万円

年金月5万円を25年受け取った場合の生涯受取総額2/2

年金月5万円を25年受け取った場合の生涯受取総額

出所:LIMO編集部作成

  • 年金月額:5万円(年額60万円)
  • 受給期間:25年(65歳から90歳)
  • 額面の総額:1500万円
  • 手取り換算(額面の94パーセント):1410万円
  • 保険料と税金で差し引かれる概算:90万円

額面の総額は1500万円です。長生きのリスクに対応できる点が、終身で受け取れる年金の強みといえます。

生活設計で効いてくるのは、額面と手取りのあいだにある差です。25年間で90万円が保険料と税金に回り、使える金額は1410万円になります。

月単位では小さな差が、累計では90万円規模まで膨らみます。

※手取り換算は額面の94パーセントとした概算で、本ケースでは1500万円に対して1410万円としました。年金収入が155万円以下だと住民税も所得税もかからず、天引きは介護保険料と医療保険料の2項目にとどまります。保険料額は自治体や所得段階で変わります。改定分は加味せず、現在の水準で計算しています。

3.2 25年で1500万円、30年なら1800万円まで伸びる

95歳まで受給が続けば、額面の総額は1800万円になります。25年時点との差は300万円で、手取り換算では282万円です。

生きている限り受け取れるという点が、ほかの金融商品との決定的な違いです。使い切ってしまう心配がありません。

短くなる方向では、5年で300万円の減少です。もっとも受給期間を自分で決められるわけではないため、有利不利の計算にはあまり意味がありません。

月5万円という前提が変われば総額も動きます。ねんきん定期便やねんきんネットで見込額を確かめ、25年分で計算してみてください。

中本 智恵

お金に関する記事を書く中で感じるのは、年金を月額だけで捉えていると、老後の全体像が見えにくくなるということです。25年、30年という単位で積み上げると、住宅の購入額に近い規模のお金が動いていることが分かります。

一方で、額面と手取りの差も無視できません。今回の試算では25年で90万円ですが、年金額が大きい方ほど税金や社会保険料の負担も増えるため、差は開いていきます。

まずはご自身の見込額を「ねんきん定期便」で確認し、受給期間をかけ合わせた総額で捉えてみてください。そのうえで足りない部分をどう補うかを考えると、老後の資金計画が立てやすくなります。

4. 年金制度改正と受給の基本から見えること

2025年に成立した年金制度改正法により、社会保険の加入対象拡大や在職老齢年金の見直しなど、働き方に関わる変更が進んでいます。公的年金は国民年金と厚生年金の2制度で構成され、2026年度は1.9%・2.0%の増額改定となりました。制度は今後も見直しが続くため、最新情報は公式発表で確認することが欠かせません。

参考資料

中本 智恵