2025年6月、年金制度改正法が国会で成立したことをご存じでしょうか。

2026年4月には在職老齢年金の基準額が引き上げられ、改正内容は順次実施に移されています。

公的年金は「老後にいくらもらえるか」だけの話ではなく、働き方やキャリアプランとも深く関わっています。今回の改正内容と公的年金の基本的なしくみを確認したうえで、月5万円を長期間受け取った場合の生涯総額も見ていきましょう。

中本 智恵
お金に関する記事を書いていると、制度改正のニュースは目にしても、自分の働き方にどう関わるのかまでは掴みにくいという声を耳にします。今回の改正は、働きながら年金を受け取る方や短時間勤務の方に関わる内容なので、ポイントを押さえておきましょう。

本記事では、2025年に成立した年金制度改正法の全体像と、公的年金の基本的なしくみをご紹介します。

なお、公的年金の仕組みや2026年度の年金額、平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

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ココがポイント
  • 2025年6月、年金制度改正法が成立した
  • 社会保険の加入対象拡大や在職老齢年金の見直しが柱
  • 2026年度の年金額は国民年金1.9%増・厚生年金2.0%増の改定

1. 年金制度改正、2025年成立の全体像

2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決され、成立しました。多様化する働き方や家族構成を踏まえた年金制度を目指すもので、私的年金制度の拡充や所得再分配の強化なども狙いです。

1.1 社会保険の加入対象が拡大する

中小企業で短時間働く人などが厚生年金や健康保険に加入しやすくなり、年金増額などのメリットを受けられるようになります。あわせて、個人事業所の適用対象も段階的に拡大されます。

1.2 在職老齢年金の基準額が緩和される

2026年4月から、年金が減額される基準額(支給停止調整額)が月収51万円(2025年度の金額)から65万円に緩和されました。働きながらでも年金を満額もらいやすくなります。

1.3 賃金の上限引き上げで年金額が増えやすくなる

厚生年金の保険料や年金額の計算に使う賃金の上限は、「月65万円→75万円」へ段階的に引き上げられます。現役時代の賃金に見合った年金を受け取りやすくなる見直しです。なお、遺族年金の男女差解消や、iDeCoなど私的年金の見直しもあわせて実施されます。

1.4 《試算》在職老齢年金の基準額緩和で、年金はいくら増える?

在職老齢年金では、年金の月額と賃金の合計が基準額を超えると、超えた分の半額が支給停止になります。基準額が51万円から65万円へ緩和されたことで、どれだけ違いが出るのかを試算してみましょう。あくまで一定の前提を置いた試算であり、実際の金額を保証するものではありません。

  • 前提:年金月額15万円、賃金(総報酬月額相当額)40万円=合計55万円で働くケース
  • 旧基準(51万円):(55万円-51万円)÷2=月2万円が支給停止(年24万円)
  • 新基準(65万円):合計55万円が基準額を下回るため支給停止なし
  • 差額:月2万円、年間で24万円

このケースでは、基準額の緩和によって年間24万円の差が生まれる計算です。働きながら年金を受け取る方にとって、決して小さくない見直しといえるでしょう。

2. 年金の基本、公的年金は2つの制度で構成される

公的年金の基本的な仕組みを、要点を引用して確認します。

公的年金の仕組みについては、「【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント」から要点を引用して確認してみます。

日本の公的年金は、よく「建物の階層」に例えられます。1階部分の国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられ、自営業者、フリーランス、学生、無職の人などが「第1号被保険者」として一律の保険料を納めます。会社員に扶養されている配偶者(年収130万円未満など)は「第3号被保険者」となり、個別の保険料負担はありません。2階部分の厚生年金は、厚生年金保険の適用事業所に勤務する会社員や公務員が加入し(第2号被保険者)、国民年金に上乗せされる形で加入するため、将来は「基礎年金+厚生年金(報酬比例部分)」の2階建てで年金を受け取ることができます。保険料は給与額に応じて変動し、会社と従業員が半分ずつ負担する「労使折半」が大きな特徴です。

出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント

2026年度の年金額は、国民年金が前年度比1.9%増、厚生年金(報酬比例部分)が同2.0%増の改定となっています。

2026年度の年金額改定の詳細や、全年齢の平均受給額については、こちらの記事でもくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

中本 智恵
ここまでの内容を整理すると、2025年の改正は「社会保険の加入対象拡大」「在職老齢年金の基準額緩和」「賃金上限の引き上げ」の3点が柱です。制度改正の施行時期は今後変更される可能性もあるため、最新情報は厚生労働省や日本年金機構の公式発表で確認しておきましょう。