6. 放置すると"自動登録"に? 2026年8月から届き始めた「意向確認書」の正体
年金生活者支援給付金と同じタイミングで、シニア世帯にはもうひとつ見逃せない郵便物が届き始めています。
日本年金機構は2026年8月から2027年2月にかけて、公金受取口座を未登録の年金受給者に対し、「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書」を順次発送しています。
対象となるのは、2026年4月15日時点で65歳以上(昭和36年4月16日以前生まれ)で年金を受給している方です。すでに公金受取口座を登録済みの方、2026年4月に年金の支払いがなかった方、海外在住の方、共済組合のみから年金を受け取っている方などは対象外となります。
この制度は、年金の振込口座をそのまま公金受取口座として登録することで、今後、給付金や還付金などを受け取る際の手続きを簡略化することを目的としています。
ただし注意したいのは、年金生活者支援給付金とは正反対の「みなし同意」の仕組みが採用されている点です。
意向確認書が届いてから45日以内に、同封の不同意申出書を返送しなければ、登録に「同意した」ものとみなされ、自動的に公金受取口座として登録されます。
つまり、年金生活者支援給付金は「行動しなければもらえない」制度であるのに対し、意向確認書は「行動しなければ登録が進んでしまう」制度です。同じ時期に届く2つの郵便物が、正反対の性質を持っている点は、ぜひ覚えておきたいポイントです。
2026年8月から日本年金機構より発送が開始された「公金受取口座登録の意向確認書」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
7. 口座登録を望まない場合の対応と、"意向確認書"に便乗した詐欺への注意
意向確認書の内容を確認し、公金受取口座としての登録を望まない場合は、同封されている不同意申出書に必要事項を記入し、目隠しシールを貼ったうえで期限内に返送すれば、登録は行われません。
また、この制度の開始にあわせて、便乗した詐欺への注意も呼びかけられています。
日本年金機構や厚生労働省、デジタル庁が、電話・SMS・メールで口座番号や暗証番号の提供を求めたり、手数料などの金銭を求めたりすることはありません。不審な連絡を受けた場合は、専用のフリーダイヤル(0120-74-0011)へ相談しましょう。
年金生活者支援給付金の請求書と意向確認書は、いずれも普段見慣れない封筒で届くうえ、対応を誤ると数万円単位の機会損失や、望まない口座登録につながりかねません。
帰省などの機会に、離れて暮らすご両親のもとへこうした郵便物が届いていないか、家族で声をかけ合って確認しておくと安心です。
8. まとめ:もらえる制度は自分で動き、届いた郵便物は必ず中身を確認を
2026年度の年金生活者支援給付金は、物価高騰に対応するため給付額が増額されました。
夫婦2人世帯で要件を満たせば、年間で約13万5000円が年金に上乗せされ、家計の負担軽減につながります。
ただしこの給付金は、自分で手続きをしない限り受け取ることはできません。日本の社会保障制度の多くは「申請主義」が基本です。
一方で、見慣れない郵便物の中には、放置すること自体が意思表示とみなされ、手続きが進んでしまう書類が届くこともあります。
差出人や内容をよく確認しないまま封筒を放置してしまうことのないよう、注意しておきたいところです。
ご自身が給付金の対象になっていないか、また離れて暮らすご両親のもとに大切な案内が届いていないかなど、この機会に一度確認してみることをおすすめします。
9. 監修者からのコメント
物価高が続くなか、公的年金を補う制度を漏れなく活用することは、今や家計防衛の基本になりつつあります。
ここで見落としがちなのが、年金生活者支援給付金として受け取る金額も、意向確認書を経て公金受取口座に登録された口座へ振り込まれる各種給付金も、いずれも非課税所得として扱われる点です。
つまり、これらを受け取ったことで、翌年度の住民税や国民健康保険料の負担が増える心配はありません。
制度の詳細や自分が対象かどうか判断がつかない場合は、お近くの年金事務所や、書類に記載された専用ダイヤルに問い合わせてみましょう。対象かどうかを確認するだけであれば費用も手間もかかりません。
『よくわからないから』『自分には関係ないだろう』と郵便物を後回しにせず、まず中身を確認することが、ご自身とご家族の家計、そして大切な資産を守る一番の近道になります。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書の送付」
- 株式会社ハルメクホールディングス【お金に関する意識・実態調査2026】シニア女性の「お金の使い方」「守り方・増やし方」の満足度は増加傾向 続く物価高で節約意向が高まる一方、年金の補完や趣味・旅行の原資作りに「投資意欲」も拡大
池上 翠

