お盆で実家に帰省し、両親やきょうだいと「将来のお墓」や「供養のかたち」について話をした、という方も多いのではないでしょうか。

既存のお墓を閉じる「改葬(墓じまい)」は全国で増え続けており、2024年度には過去最多を更新しています。その先で選ばれることが多いのが「樹木葬」です。

株式会社鎌倉新書が2026年3月に公表した「第17回 お墓の消費者全国実態調査」によれば、樹木葬の平均購入価格は71.7万円。前年から3.9万円上昇しました。

お墓を購入した人のうち47.4%が樹木葬を選んでおり、いまや一般墓と並ぶ主流の供養のかたちになっています。

意外なのは、樹木葬を選ぶ理由の多くが「費用の安さ」ではなく、「子や後継者に迷惑をかけたくない」という、供養の続け方そのものへの配慮だったという点です。

本記事では、改葬(墓じまい)と樹木葬の最新相場を整理するとともに、遺された家族が請求し忘れやすい葬祭費・未支給年金についても確認します。

※お盆に「先祖代々のお墓」の維持や改葬(墓じまい)について考えた方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
【墓じまい】改葬件数は10年で倍増。お盆に考える「先祖代々のお墓問題」後悔しないための3つの鉄則

ココがポイント
  • 樹木葬の平均購入価格は71.7万円で、前年から3.9万円上昇。購入者の47.4%が選ぶ主流の供養に

  • 樹木葬を選ぶ理由のうち「費用」はわずか7.8%。約73%が「継承の課題」を挙げている

  • 葬祭費の申請期限は2年。年金受給者が亡くなった際の「未支給年金」も、請求しないと受け取れない

1. 樹木葬の相場は71.7万円に上昇。購入者の約半数が選ぶ供養のかたちに

厚生労働省「衛生行政報告例」によれば、全国の改葬(墓じまい)件数は2024年度に17万6105件となり、過去最多を更新しました。

改葬件数の推移(全国)1/4

改葬件数の推移(全国)

出所:厚生労働省「衛生行政報告例」をもとに筆者作成

  • 2002年度:7万2040件
  • 2022年度:15万1076件
  • 2024年度:17万6105件(過去最多)

改葬件数は2002年度の7万2040件から2024年度の17万6105件へと、この20年余りでおよそ2.4倍に増加しました。墓じまいをした後の新たな供養先として、樹木葬は永代供養・散骨と並ぶ選択肢のひとつになっています。

購入したお墓の平均購入額《一般墓・納骨堂・樹木葬》2/4

購入したお墓の平均購入額

出所:株式会社鎌倉新書「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」

また、株式会社鎌倉新書が運営する「いいお墓」による「第17回 お墓の消費者全国実態調査(2026年)」(2026年1月16日~1月30日実施、有効回答1267件)によると、樹木葬の平均購入価格は71.7万円でした。

前年(67.8万円)から3.9万円上昇し、ここ数年安定していた60万円台からやや高めの水準に動きました。

  • 樹木葬の平均購入価格:71.7万円(前年比+3.9万円)
  • お墓の種類として樹木葬を選んだ人の割合:47.4%
  • 調査時期:2026年1月16日~1月30日、有効回答1267件(2025年に「いいお墓」経由でお墓を購入した人が対象)

樹木葬は、埋葬の形式によっても費用に幅があります。

一般的に、遺骨を他の方とまとめて埋葬する「合祀型」は数万円程度からと比較的低価格である一方、区画や樹木を分ける「集合型」「個別型」になると価格は高めになると言われます。

樹木葬は「費用を抑えられるお墓」という印象を持たれがちですが、実際には形式によって一般墓に近い金額になるケースもあるという点には留意が必要です。

2. 選ばれる理由の約73%は「費用」ではなかった

手間や儀礼を省いた割り切った選択——樹木葬にはそんなイメージを持たれがちですが、実際のデータは少し違う姿を映します。

同じく株式会社鎌倉新書が2025年12月に公表した「第2回 樹木葬の消費者全国実態調査」(2025年1月17日~31日実施、樹木葬購入者715人が回答)では、樹木葬を選んだ理由の上位は次の通りでした。

  • 子どもに負担をかけたくない:46.3%
  • 継承者がいない:26.4%
  • 費用:7.8%
  • ペットと一緒に入ることができる:7.4%

「子への配慮」「継承者不在」を合わせると約73%にのぼり、費用を選択理由とした人は1割に満たない結果でした。

価格の安さそのものよりも、「お墓や供養をどう続けていくか」という意識が、樹木葬を選ぶ背景にあることがうかがえます。

前章でみたように改葬(墓じまい)の件数は年々増えていますが、樹木葬が選ばれる背景には、その改葬先としての需要もあります。

また同社が2026年3月に公表した「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査」によれば、改葬を検討する理由としては「お墓が遠方にあること」が最も多く、次いで「継承者がいないこと」が挙げられています。改葬先には永代供養(合祀・合葬)が最も多く選ばれているとのことです。

樹木葬についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
樹木葬とは|費用の目安・メリットとデメリット・後悔しないための注意点

3. 筆者からのコメント

熊谷 良子

樹木葬を検討する際は、購入価格だけでなく「その後の管理費」も確認しておきたいポイントです。

株式会社鎌倉新書が2025年3月に公表した「第16回 お墓の消費者全国実態調査」では、樹木葬購入者の83.0%が「年間管理費はかからない」と回答しています。一般墓(28.5%)や納骨堂(46.7%)と比べても、管理費がかからない割合の高さが目立ちます。

ただし「管理費なし」をうたう区画でも、将来的な改定の有無や、合祀までの期限(〇回忌までなど)が契約書にどう書かれているかは、霊園・寺院によって差があります。

価格表の金額だけで決めず、契約前に書面で条件を確認し、できれば家族・親族とも情報を共有しておくことをおすすめします。