4. 申請しないともらえない「葬祭費」――支給額と期限を確認しよう
国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者が亡くなった場合、葬儀を行った喪主などに「葬祭費」が支給される制度があることは、意外と知られていません。
支給額・申請期限は自治体によって異なり、たとえば神戸市では支給額5万円、申請期限は葬祭を行った日の翌日から2年です。この期限を過ぎると、原則として支給されません。お住まいの市区町村や、故人が加入していた保険者の窓口で確認しておくと安心です。
5. 請求しないともらえない「未支給年金」――遺族がもらい忘れないためのルール
葬祭費が「当面の出費」を支える制度だとすれば、案外知られていないのが「未支給年金」です。
公的年金は偶数月に前2か月分をまとめて後払いされるため、受給者が亡くなると、亡くなった月分までの年金のうち、まだ振り込まれていない分が必ず残ります。この「未支給年金」は、遺族が請求してはじめて受け取れます。
未支給年金を請求できる遺族の優先順位
日本年金機構によれば、未支給年金を請求できるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた遺族のうち、次の順位でもっとも先の人に限られます。同じ順位の人が複数いる場合は、代表者1名が請求します。
- 1位:配偶者
- 2位:子
- 3位:父母
- 4位:孫
- 5位:祖父母
- 6位:兄弟姉妹
- 7位:その他3親等内の親族
同居していれば住民票で、別居の場合は「生計同一関係に関する申立書」などで生計同一の関係を確認し、年金事務所や街角の年金相談センターで手続きを行います。
見落とされがちですが、未支給年金は「相続財産」ではありません。
国税庁によれば、請求した遺族本人に発生する固有の請求権とされ、相続税の対象にはならない一方、受け取った人自身の一時所得として所得税の対象になり得ます。
「相続放棄をしたので受け取れない」と誤解されがちですが、相続とは別の権利のため、相続放棄をしても請求できるとされています(詳細は年金事務所や税理士にご確認ください)。
日本年金機構によれば、年金を受け取る権利は支給要件が生じてから5年で時効となる場合があり、未支給年金も早めの手続きが安心です。
6. まとめにかえて|樹木葬選びは「費用」だけでなく「もしも」への備えとセットで
樹木葬の相場は71.7万円まで上昇し、お墓を購入した人のほぼ半数が選ぶ、主流の供養のかたちになりました。
それでも選ぶ理由の多くは「費用の安さ」ではなく、「家族に迷惑をかけたくない」という、継承への配慮でした。
あわせて知っておきたいのが、葬祭費や未支給年金など、遺された家族が請求してはじめて受け取れる公的なお金です。
申請には期限があり、知らないままでは受け取れないお金もあります。
まずはお住まいの自治体や日本年金機構の窓口で、ご自身やご家族の状況を確認してみてはいかがでしょうか。
7. 筆者あとがき
「永代供養」と「永代使用」は言葉が似ていますが、中身は異なります。
永代供養は寺院や霊園が遺骨を管理・供養してくれる仕組みですが、多くの場合、33回忌など一定の期限を過ぎると合祀(他の方の遺骨と一緒にする)扱いになります。
国民生活センターにも、契約時にこうした条件の説明が不十分だったという相談が寄せられています。
樹木葬や永代供養を検討する際は、価格だけでなく「いつまで」「どのように」供養してもらえるのかを、契約前に書面で確認しておきましょう。
一人で決めずに、費用や条件を家族・親族と共有し、納得したうえで契約する時間を持っていきたいものですね。


