3. 市場規模は8240億円 それでも「成長市場」とは言い切れない

ここで重要なのが、フードデリバリー市場そのものの規模です。

サカーナ・ジャパン株式会社が2025年12月に公表した「外食・中食 調査レポート」によると、2025年1~12月のデリバリー市場規模は8240億円となる見込みです。前年比では2.0%増、2019年比では97.0%増となっています。

市場規模は次のように推移しています。

  • 2019年:約4180億円
  • 2020年:約6270億円
  • 2021年:約7880億円
  • 2022年:約7740億円
  • 2023年:約8600億円
  • 2024年:約8080億円
  • 2025年:約8240億円

※サカーナ・ジャパン調べ
※2025年は見込み値

コロナ禍の2020年、2021年には市場が急拡大し、2023年には8600億円規模まで達しましたが、2024年には約7970億円まで減少。2025年には再び8240億円へ回復したものの、前年比の成長率は2.0%にとどまります。

つまり、現在の市場は「縮小している」とも「爆発的に成長している」とも言いにくい状態です。

この変化は、フードデリバリー企業にとって大きな意味を持ちます。

加盟店や利用者を増やすことで将来的な成長を期待できますが、市場全体の伸びが数%程度になれば、加盟店を増やすだけでは、競合から顧客を奪う「シェア争い」になりやすくなります。

4. 「foodpanda」「DiDi Food」など、大手も相次いで日本撤退

フードデリバリー業界では、menu株式会社に先立って複数の大手サービスが日本市場から撤退、あるいは事業を再編しています。

2022年にはDelivery Hero SEの「foodpanda」と、滴滴出行系の「DiDi Food」が日本でのサービスを終了。国内では、楽天グループ株式会社の「楽天デリバリー」が事業承継を経て終了し、「Chompy」も2023年にサービスを終了しています。

さらに2025年には、LINEヤフー株式会社と株式会社出前館が展開していた「Yahoo!クイックマート」が終了しました。株式会社出前館はクイックコマースから撤退し、国内フードデリバリー事業への経営資源集中を進めています。

直近では2026年3月に北欧発のフードデリバリーサービスとして注目を集めていた「Wolt」が日本市場から撤退し、驚きの声が上がりました。

5. これからは「料理を届ける」だけでは勝てない

それでは、今後の市場で生き残るための条件は何になるのでしょうか。

ポイントになるのは、単純に飲食店の料理を届けるだけではなく、食品や日用品まで含めて利用頻度を高められるかどうかです。

Uber Eats Japan合同会社は、料理に加えてスーパーやコンビニなどの商品を扱い、地方都市へのサービス拡大も進めています。2026年3月には全国約1万8000店舗を対象に、アプリ上の商品価格を実店舗と同じにする取り組みを開始しました。

同社は2023年から2025年まで3年連続で日本事業が黒字だったことや、2026年1月に過去最高売上を記録したことも公表しています。12万の加盟店と10万人の配達パートナーを抱え、フードデリバリーを「特別な日の選択肢」から「生活のインフラ」へ広げる戦略を進めています。

一方、価格競争は今後も続くとみられます。デリバリーは「店頭より高い」というイメージが利用の壁になってきましたが、店頭価格と同じ商品を増やし、送料やサービス料を抑えることで日常利用を促す動きが広がっています。

また、都市部での競争が激しくなるなか、地方への展開も成長余地になります。ただし、地方では注文密度が低くなりやすいため、AIによる配車やルート最適化、複数注文の効率的な配送など、物流面での効率化も重要になります。

「同じ注文を、より効率よく、より安く届けられる企業がシェアを伸ばす」という競争へと移っていけば、これまで以上に運営会社の資本力も問われることになるでしょう。

6. トレンドウォッチャーのひとこと

大蔵 大輔

現在の勝者候補としては、Uber EatsとRocket Nowの2社に注目したいところです。

Uber Eatsの強みは、全国規模の加盟店・配達ネットワークに加え、食品・日用品への拡張など、デリバリーを日常化する仕組みを次々と投入していることです。

一方、Rocket Nowは新興サービスながら、送料・サービス料0円、お店と同価格という非常に分かりやすい価値を武器に急成長しています。

2025年1月のサービス開始から、2026年にはアプリダウンロード数700万を突破し、「お店と同価格」の対象店舗も1万1000以上としています。

成熟市場になったフードデリバリーでは、単に加盟店を増やすだけでは勝てなくなってきています。

参考資料

大蔵 大輔