65歳を過ぎても働き続けるかどうか、迷いながら考えている方は多いのではないでしょうか。体力や家族の事情だけでなく、年金だけで暮らしていけるのかという不安が判断を難しくします。

総務省統計局が2026年7月31日に公表した「労働力調査(基本集計)2026年6月分」によると、就業者数は6890万人で前年同月から17万人増えました。同じ統計局が「統計トピックスNo.146」でまとめたデータでは、65歳以上の就業者数は930万人と21年連続で増加し、過去最多を更新しています。

この記事では、働く高齢者がどこまで増えているのかを最新の統計で確認したうえで、厚生年金と国民年金の実際の平均受給額を見ていきます。

ココがポイント
  • 2026年6月の就業者数は6890万人、完全失業率は2.5%
  • 65歳以上の就業者は930万人で21年連続の増加。就業率は25.7%
  • 厚生年金の平均月額は15万289円、国民年金は5万9310円

1. 【労働力調査】就業者数は6890万人、完全失業率は2.5%

まずは、日本全体で働く人がどれくらいいるのかを確認していきます。

1.1 2026年6月の就業者数は6890万人

総務省統計局の「労働力調査(基本集計)2026年6月分」によると、就業者数は6890万人でした。前年同月と比べて17万人の増加です。

1.2 完全失業者数は178万人、完全失業率は2.5%

同じ調査で、完全失業者数は178万人でした。前年同月から2万人増えています。

2. 65歳以上の就業者は930万人、就業率は25.7%

働く人全体の数が増えるなかで、高齢者の就業はどう変化しているのでしょうか。総務省統計局が「敬老の日」にあわせて公表した統計トピックスから確認していきます。

2.1 21年連続で増加し、過去最多を更新

統計トピックスNo.146によると、65歳以上の就業者数は930万人で、21年連続の増加となりました。過去最多の水準です。

就業者総数に占める65歳以上の割合は13.7%で、こちらも過去最高となっています。働く人のおよそ7人に1人が65歳以上という計算になります。

2.2 65歳から69歳は2人に1人以上が働いています

2024年の65歳以上の就業率は25.7%で、前年に比べて0.5ポイント上昇しました。年齢階級別に見ると、次のような差があります。

  • 65歳から69歳:53.6%
  • 70歳から74歳:35.1%
  • 75歳以上:12.0%

65歳以上の就業率は年齢階級によって大きく差があり、65歳から69歳では半数を超えています1/2

65歳以上の就業率は年齢階級によって大きく差があり、65歳から69歳では半数を超えています

出所:総務省統計局「統計トピックスNo.146 統計からみた我が国の高齢者」をもとにLIMO編集部作成

65歳から69歳では半数を超える方が働いています。一方で75歳以上になると12.0%まで下がり、年齢とともに就業から離れていく様子が読み取れます。

2.3 65歳以上の雇用者の76.9%が非正規で働いています

働き方の中身にも特徴があります。65歳以上の役員を除く雇用者のうち、非正規の職員・従業員が占める割合は76.9%でした。

短時間勤務や嘱託といった形で働き続ける方が多数を占めており、現役時代と同じ収入水準を維持しているとは限りません。

3. 【厚生年金と国民年金の平均月額】働き続ける老後を支える、年金の実際の受給額

それでは、働きながら受け取ることになる年金は、実際にどの程度の水準なのでしょうか。厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から確認していきます。

厚生年金と国民年金の平均年金月額2/2

厚生年金と国民年金の平均年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

3.1 厚生年金の平均月額は15万289円

厚生年金の平均年金月額は、全体で15万289円でした。男女別では次のとおりです。

  • 男性:16万9967円
  • 女性:11万1413円

ここでいう厚生年金の金額には、国民年金部分が含まれています。男女の差は5万8554円あり、現役時代の働き方や収入の違いがそのまま反映される仕組みです。

3.2 国民年金の平均月額は5万9310円

国民年金の平均年金月額は、全体で5万9310円でした。男女別では男性が6万1595円、女性が5万7582円です。

なお2026年度の老齢基礎年金の満額は月額7万608円で、40年間にわたって保険料を納めた場合の金額です(※)。平均が5万円台にとどまっているのは、未納期間や免除期間がある方、加入期間が480カ月に届かない方が一定数いるためと考えられます。

※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は、月額7万408円です。

宮野 茉莉子(監修)

「働けるうちは働く」という考え方は、老後の家計を支える現実的な選択肢のひとつです。ただ、この記事全体を通して見ていただきたいのは、働く年数だけが備えではない、という点ではないでしょうか。

証券会社で個人のお客様を担当していたころ、退職金などまとまった資金の運用について、ご相談を受ける機会が数多くありました。そこで感じたのは、金額の大小よりも「使う時期を決めているかどうか」で、その後の落ち着き方が変わるということです。当面使わないお金と、数年内に必要になるお金を分けていた方は、相場が動いても慌てずにいられたように思います。一方で、資産をひとつの置き場所にまとめたままの方ほど、値動きのたびに不安が大きくなっていました。

裏を返せば、働き続けるかどうかを決める前に、手元の資産の役割を整理しておくことが先なのかもしれません。「まだ働けるから大丈夫」—そう考えているうちに、置き場所を決めないまま年を重ねてしまう方も少なくありません。

受け取る年金額を自分で大きく動かすことは難しいものの、資産の配分は今日からでも見直せます。働き方と資産、その両方から老後を組み立てていきましょう。