3. 老齢厚生年金の受給状況(平均月額は「約15万円」、男女差は「約5.9万円」)
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢厚生年金受給権者の平均受給額(老齢基礎年金を含む)は15万289円です。ただし、男性の平均受給額が16万9967円に対し、女性は11万1413円と約5万9000円の差が生じています。
主な原因は、男性と女性の収入と厚生年金加入期間の差です。女性は出産・育児にともなう離職や扶養内での就労などにより、加入期間や報酬額が男性より少なくなりやすい傾向があります。婚姻期間中に生じた差を離婚時に調整するのが、年金分割の役割といえます。
4. 年金分割でメリットのある人
年金分割は、婚姻中の厚生年金記録を夫婦で分割する制度です。婚姻期間中の標準報酬の高い人は年金分割により老齢厚生年金が減少し、低い人は増加します。年金分割によってメリットを受けやすい人(年金の増加幅が大きい人)は以下の通りです。
- 婚姻期間中、専業主婦(主夫)の期間が長い人
- 扶養の範囲内で働いてきた人
- 共働きで夫婦の収入差が大きかった人 など
年金分割には、元夫婦の合意を基に分割する「合意分割」と、第3号被保険者であった人が一方的に請求できる「3号分割」があります。3号分割は相手の同意が不要ですが、分割対象期間が「2008年4月以降の第3号被保険者期間」に限定されます。
そのため、合意分割で分割を受けた人の年金額は平均して月3万円以上増加しているのに対し、3号分割の場合の増額は平均で月8000円程度にとどまります。円滑に合意分割手続きができるように、離婚協議の際は年金分割についてもきちんと話し合いましょう。
5. おわりに
今回は離婚時の年金分割制度と、2026年4月からの変更点について解説しました。
請求期限が2年から5年へ延長されたことで、将来の生活基盤を守るための手続きをじっくり検討できるようになりました。平均で月3万円以上の受給額増加につながるケースもあるため、老齢厚生年金の仕組みを正しく知ることが大切です。
参考資料
- 日本年金機構「離婚時の年金分割」
- 厚生労働省「令和7年 人口動態統計月報年計(概数)の概況」
- 厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
- 日本年金機構「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
- 日本年金機構「報酬比例部分」
西岡 秀泰
