住宅を買うかどうかを考えるとき、多くの人がまず気にするのは「毎月いくら返すことになるのか」です。ただ、その金額を単体で見ても、自分の家計にとって重いのか軽いのかは判断しにくいものです。
判断の材料になるのが、同じ世代がどれくらい金融資産を持っているかという分布です。住宅の取得を挟む20歳代から40歳代の二人以上世帯では、同じ年代の中でも貯蓄額に大きな開きがあります。
本記事では、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の調査から20歳代・30歳代・40歳代の二人以上世帯の貯蓄額を確認したうえで、住宅ローンで3000万円を35年借りた場合の毎月の返済額と総返済額を試算します。
なお、世代別の貯蓄額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 30歳代・二人以上世帯の貯蓄は平均1096万円に対して中央値311万円と、3倍以上の開きがある
- 40歳代・二人以上世帯でも金融資産非保有が18.8%あり、100万円未満と合わせると3割近い
- 住宅ローンで3000万円を金利年1パーセント・35年借りると、毎月の返済額は8万4686円になる
1. 【20歳代・二人以上世帯】住宅取得の前段階にある世代の貯蓄
まず、住宅の取得を考え始める手前の世代として20歳代の二人以上世帯を見ていきます。J-FLEC(金融経済教育推進機構)「2025年家計の金融行動に関する世論調査」から、金融資産保有額の分布を確認しましょう。
この調査でいう金融資産には、預貯金のほかに株式や投資信託、生命保険なども含まれます。日常的に決済で使う普通預金口座の残高は対象外で、金融資産を保有していない世帯も母数に入っています。
- 金融資産非保有:21.6%
- 100万円未満:16.4%
- 100~200万円未満:14.0%
- 200~300万円未満:7.0%
- 300~400万円未満:8.2%
- 400~500万円未満:3.5%
- 500~700万円未満:5.3%
- 700~1000万円未満:3.5%
- 1000~1500万円未満:4.7%
- 1500~2000万円未満:1.2%
- 2000~3000万円未満:4.1%
- 3000万円以上:4.1%
- 無回答:6.4%
- 平均:525万円
- 中央値:125万円
出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認
平均は525万円、中央値は125万円です。同じ20歳代でも単身世帯は平均255万円・中央値37万円なので、二人以上世帯のほうが早い段階から金融資産が積み上がっていることがわかります。
ただし、金融資産非保有が21.6%、100万円未満が16.4%あり、合わせると4割近くが100万円未満です。結婚や引越し、出産といった支出が重なりやすい時期でもあり、頭金にあてられる資金をどこまで用意できるかは世帯によって差が出ます。
一方で、1000万円以上を保有する世帯も14.1%あります。20歳代の段階ですでに、住宅取得に向けた準備の進み具合に差が生まれていることが読み取れます。
2. 【30歳代・二人以上世帯】貯蓄の平均と中央値は3倍以上離れている
続いて、住宅の取得がもっとも多くなる30歳代です。同じ調査の二人以上世帯の分布を見ていきます。
- 金融資産非保有:17.6%
- 100万円未満:12.7%
- 100~200万円未満:9.1%
- 200~300万円未満:6.0%
- 300~400万円未満:6.0%
- 400~500万円未満:4.5%
- 500~700万円未満:8.3%
- 700~1000万円未満:7.4%
- 1000~1500万円未満:9.4%
- 1500~2000万円未満:3.9%
- 2000~3000万円未満:4.6%
- 3000万円以上:7.9%
- 無回答:2.6%
- 平均:1096万円
- 中央値:311万円
出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認
平均は1096万円ですが、中央値は311万円です。3倍以上の開きがあり、一部の世帯が平均を押し上げている構図がはっきり出ています。
20歳代と比べると、平均は525万円から1096万円へ2倍以上に増えています。中央値も125万円から311万円へ増えており、この10年で資産形成が進む世帯が多いことがうかがえます。
ただし、金融資産非保有は17.6%で、100万円未満の12.7%と合わせると3割ほどが100万円未満です。頭金にまとまった額を用意できる世帯と、そうでない世帯が同じ年代の中に並んでいます。
3. 【40歳代・二人以上世帯】返済が進む世代でも3割近くが100万円未満
次に、住宅ローンの返済が本格的に進む40歳代を見ます。教育費の負担も重なり始める時期です。
- 金融資産非保有:18.8%
- 100万円未満:10.0%
- 100~200万円未満:6.2%
- 200~300万円未満:5.1%
- 300~400万円未満:4.4%
- 400~500万円未満:2.6%
- 500~700万円未満:7.3%
- 700~1000万円未満:6.1%
- 1000~1500万円未満:9.7%
- 1500~2000万円未満:6.5%
- 2000~3000万円未満:8.2%
- 3000万円以上:13.1%
- 無回答:2.1%
- 平均:1486万円
- 中央値:500万円
出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認
平均は1486万円、中央値は500万円です。30歳代からどちらも増えていますが、平均と中央値の差額は785万円から986万円へ広がっています。
目を引くのは、金融資産非保有が18.8%と30歳代より高くなっている点です。100万円未満の10.0%と合わせると3割近くになり、返済が進む世代でも手元資金が薄い世帯が一定数あることがわかります。
その一方で、3000万円以上を保有する世帯は13.1%と30歳代の7.9%から増えています。住宅費と教育費を抱えながら資産を積み上げる世帯と、そうでない世帯の差が開いていく時期といえます。
ここまでは貯蓄の側から3つの世代を見てきました。ここからは支出の側に目を向け、住宅ローンを組んだ場合に毎月いくら返すことになるのかを試算します。
金融資産非保有の割合にも目を向けておきたいところです。20歳代21.6%、30歳代17.6%と下がったあと、40歳代では18.8%と再び上がります。住宅の費用と教育の費用が重なる時期に、手元の資金が薄くなる世帯もあるということでしょう。
頭金を厚くすれば利息は減りますが、その分だけ手元の現金は減ります。窓口にいた頃は、諸費用や引越しの費用まで書き出したうえで借入額を決めていただくようお話ししていました。判断に迷う場合は、借入先の窓口で返済計画の相談ができます。

