4. 【元自治体職員が伝えたいこと】月報の平均月額をどう読むか

月報や年報の「平均月額」は、そのまま自分の受給見込み額と重ねてしまいがちですが、実際には受給パターンの構成比が大きく影響しています。

特に「新規裁定」の数字は、その月にたまたま受給を始めた人の平均であり、時期による偏りも生じます。

4.1 月末・年末・年度末で数字の傾向が変わる

たとえば3月末は、特別支給の老齢厚生年金の対象者が新規裁定される割合が季節的に変わるため、平均が上下することがあります。単月の数字を見るときは、前後数か月と並べて傾向を確認すると誤読を防げます。

5. 【落とし穴】「25年以上」の意味と、実額を左右する要素

「25年以上」という条件は、老齢年金の受給資格期間の目安です。ただし、これは加入年数ではなく受給資格期間で、免除期間や合算対象期間も含まれます。

5.1 加入期間の長さと標準報酬月額の平均が実額を決める

厚生年金の受給額は、加入期間の長さと平均標準報酬月額の掛け算で決まります。同じ「25年以上」でも、25年ちょうどと40年では実額に大きな差が出ます。月報の平均月額はこれらを混合した数字である点も踏まえておく必要があります。

6. 【対応策】ねんきん定期便と受給見込みで自分の位置を確認

では、自分の受給見込みをどう確認すればよいでしょうか。

6.1 50歳以降のねんきん定期便で年金見込額を確認

50歳以降に届くねんきん定期便には、現在の加入状況を60歳まで続けた場合の年金見込額が記載されます。月報の平均と自分の見込額を比較することで、平均の中でどのあたりに位置するかを客観的に把握できます。

6.2 ねんきんネットで詳細シミュレーションを

日本年金機構のねんきんネットでは、受給開始年齢や働き方の変化を反映したシミュレーションが可能です。繰上げ・繰下げの試算もできるため、月報の平均を「自分の場合」に翻訳する手がかりになります。

7. まとめ|平均と実額のギャップを埋めるには

厚生年金月報の「全体平均15万4747円」と「新規裁定9万3038円」の差は、基礎年金の有無や特別支給の混在が生む数字のズレでした。老後の家計設計に使うなら、「基礎年金あり」の平均月額15万6883円のほうが実勢に近い水準です。

ただし、平均はあくまで平均。自分の加入期間・標準報酬月額との掛け合わせで、実額は上下します。ねんきん定期便やねんきんネットを使って、平均と実額のギャップを埋めることが老後準備の第一歩です。

参考資料

太田 彩子