3. 通期業績予想を上方修正、純利益は前期比29.5%増の見通しに

INPEXは8月7日、2026年12月期通期の連結業績予想も発表しました。従来は原油価格や為替の前提に幅を持たせたレンジ形式の予想でしたが、今回は次の通り一本の数値に修正されています。

  • 売上収益:1兆9,730億円(前期比1.9%減)
  • 営業利益:1兆2,230億円(同7.7%増)
  • 税引前利益:1兆2,780億円(同8.9%増)
  • 最終利益(親会社の所有者に帰属する当期利益):5,100億円(同29.5%増)

修正の理由について同社は、イクシスプロジェクトにおける堅調な生産状況を反映したことに加え、第3四半期以降の原油価格・為替の前提条件を見直したことを挙げています。新たな前提は、ブレント原油の通期平均が1バレル81.4米ドル、為替の通期平均が1米ドル159円20銭です。

4. 増配と上限1,400億円の自社株買い、株主還元方針の中身とは

同じ8月7日、INPEXは配当予想の修正と自社株買いの実施も同時に決定しました。

配当については、2026年12月期の中間配当を、直近予想の54円から2円増配となる56円に決定。あわせて期末配当予想も、直近予想の54円から2円増配の56円に引き上げました。これにより年間配当は、前回予想の108円から4円増配の112円となる見通しです。同社の年間配当は2022年12月期の62円以降、2023年12月期74円、2024年12月期86円、2025年12月期100円と毎期増配が続いており、今回の予想通りとなれば5期連続の増配となります。

自社株買いの詳細は以下の通りです。

  • 取得する株式の総数:5,000万株(上限、発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合4.3%)
  • 株式の取得価額の総額:1,400億円(上限)
  • 取得期間:2026年8月10日〜2026年12月31日

増配による安定的な還元と、自己株式取得による機動的な還元を組み合わせる姿勢が、今回の決定にも表れた形です。

5. バリュエーション評価:原油高+決算で戻した株価は、それでも年初来高値には距離がある水準

株価の推移を年初来で見ると、高値は3月30日につけた4,955円、安値は1月7日の3,020円です。

8月19日の3,860円は、この年初来高値からはなお約2割低い水準にとどまっており、原油高や好決算・株主還元強化を受けて戻り基調にあるとはいえ、年初来高値圏には距離があるというのが実情です。

好材料に加え、イラン情勢の緊迫化を受けた原油高が重なったことで、株価は18日にかけて戻り基調をたどってきました。この日の小反落は、その流れが半導体株安という外部要因によっていったん止められた格好といえそうです。

INPEX株の12カ月チャート1/1

INPEX株の12カ月チャート

出所:各資料より筆者作成

6. 記者コメント

原油・天然ガスという資源価格に業績が大きく左右される事業構造上、INPEXの株価は中東情勢や原油相場の動向に敏感に反応しやすい銘柄です。

今回の決算では、原油価格の上昇と円安が業績を押し上げ、それを踏まえた増配・自己株式取得という株主還元の強化にもつながりました。

ただし、通期予想の前提となっているブレント原油や為替の水準が変われば、業績・株主還元の両面に再び修正が入る可能性がある点には留意が必要です。

投資を検討する際は、決算内容だけでなく、原油相場や為替の動向もあわせて確認すべき銘柄であることは念頭に置いておきましょう。

【免責事項】

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。

参考資料

 

高原 祥子