3. 同じ900万円を定期預金で貯めた場合は?
投資と同じように、毎月5万円を15年間、年0.5%の定期預金などで積み立てた場合はどうなるのでしょうか。
この場合、積立元本900万円に対し、利息は税引前で約34万円となります。
900万円を預けても、増える金額は投資の場合と比べて限定的です。
さらに、物価が上昇すれば、お金そのものが増えていても実質的な価値が低下する可能性があります。
年1%に満たない金利の預金だけで資産を大きく増やし、老後資金を準備することは難しいと考えられます。
4. NISAなら投資で得た利益が非課税になる
NISAを老後の資産形成に活用するメリットの一つが、運用で得た利益に税金がかからないことです。
先ほどの例では、15年間の運用によって323万円の利益が生まれる計算でした。
これをNISAではなく通常の課税口座で運用し、15年後に売却して323万円の利益が確定した場合、利益には原則20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税)がかかります。
- 税額の目安:323万円×20.315%=約66万円
このケースでは、約66万円が税金として差し引かれる計算です。
一方、NISA口座で得た運用益には税金がかからないため、323万円の利益をそのまま資産として残せる可能性があります。
預金に比べて資産の成長を目指せることに加え、通常の投資では課税される運用益が非課税になる点も、NISAを活用するメリットといえるでしょう。
4.1 【シミュレーション】1223万円を毎月5万円ずつ取り崩すと、何年もつ?
15年後に築いた資産総額1223万円を、65歳から毎月5万円ずつ取り崩していく場合を試算してみましょう。ここでは運用を続けずに、預貯金として取り崩していく前提での単純計算です。
- 65歳時点の資産総額:1223万円
- 毎月の取り崩し額:5万円
- 資産が続く期間:1223万円÷5万円=約244.6カ月=約20年5カ月
毎月5万円ずつ取り崩す場合、65歳から資産が続くのはおよそ20年5カ月、85歳台まで続く計算になります。老後の生活費は公的年金が土台となり、この資産はあくまでその不足分を補う位置づけです。取り崩す金額を増減させれば、資産が続く期間も変わってきます。
なお、65歳以降も一部を運用しながら少しずつ取り崩していけば、資産が続く期間はさらに延びる可能性があります。一方で、相場が下がった局面でまとまった額を取り崩すと、資産の減りが早まる点には注意が必要です。積み立てを始める段階から、受け取り方までを含めて考えておくことをおすすめします。
今回のシミュレーションはあくまで一定の条件を置いた試算であり、実際の運用結果や取り崩しペースは、市場の状況やご自身のライフプランによって変わります。積立額や運用期間、取り崩し方について迷ったときは、金融機関の窓口やファイナンシャルアドバイザーに相談することをおすすめします。
今回試算してきたように、50歳から積立を始めても、65歳までの15年間で資産を育てる余地は十分にあります。大切なのは「いくらまで増やせるか」という夢のある数字だけでなく、「無理なく続けられる金額かどうか」「取り崩すときはどう使うか」まで含めて考えることです。
私自身、23歳のときに焦って売買を繰り返し、損失を出してしまった経験があります。年齢を重ねた今だからこそ言えるのは、金額の大小にかかわらず、目先の値動きに一喜一憂せず淡々と積み立てを続けることが、結果的に一番の近道だということです。50歳からのスタートであっても、この原則は変わりません。
なお、今回の試算はいずれも一定の利回りを前提とした目安であり、将来の運用成果を保証するものではありません。積立額や運用期間、取り崩し方について迷ったときは、無理に自己判断せず、金融機関の窓口やファイナンシャルアドバイザーに相談しながら決めていくことをおすすめします。
5. 50歳からの資産形成は「運用期間・リターン・税金」をあわせて考えよう
本記事では、50歳から65歳まで毎月5万円を積み立てた場合を例に、投資と定期預金による資産の増え方の違いや、NISAの非課税メリットについて解説しました。
50歳からでも65歳までには15年間あり、その期間をどう活用するかによって、老後に向けた資産形成の結果は変わります。
一方で、投資は預金とは異なり、想定した利回りで運用できるとは限らず、元本を下回る可能性もあります。
そのため、「どれだけ増えるか」というシミュレーション結果だけで判断するのではなく、運用期間や価格変動のリスク、税制上のメリットなどをあわせて考えることが重要です。
50歳からの資産形成では、投資と預金それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った方法を検討していきましょう。
