5. 学生納付特例と親の代理払い、2つの選択肢
保険料を納めるのが難しい学生には、大きく2つの選択肢があります。
1つは「学生納付特例制度」を使い、在学中の納付を先送りする方法です。
もう1つは、親が代わりに保険料を支払う方法です。
どちらが良いかは、家庭の状況によって変わります。
5.1 学生納付特例制度とは
学生納付特例制度は、本人の前年所得が一定額以下(128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等が目安)の学生を対象に、在学期間中の保険料の納付を先送りできる制度です。
申請が承認された期間は、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)にはカウントされます。
また、障害基礎年金・遺族基礎年金の対象になるかどうかを判定する際には、保険料を納付した期間と同じように扱われます。
一方で、老齢基礎年金の金額を計算する際には、この承認期間は反映されません。
将来の年金額を満額に近づけたい場合は、10年以内に「追納」という形で後から保険料を納める必要があります。
追納は3年度目以降になると、当時の保険料に一定の加算額が上乗せされる点にも注意が必要です。
5.2 親が代わりに払う場合
もう1つの方法は、親が子の代わりに国民年金保険料を納付することです。
この場合、保険料はその年度に全額納付済みとなるため、将来の老齢基礎年金の金額にそのまま反映されます。
学生納付特例のように、後から追納する必要もありません。
加えて、親にとっては税制上のメリットもあります。
5.3 親の代理払いは税金面でもメリットがある
国税庁の「社会保険料控除」の制度では、納税者が自分自身の社会保険料だけでなく、自分と生計を一にする配偶者やその他の親族の社会保険料を支払った場合も、その全額を所得から差し引くことができます。
国民年金保険料もこの対象です。
つまり、親が子の国民年金保険料を立て替えて支払った場合、その全額を親自身の社会保険料控除として申告できます。
社会保険料控除は所得税・住民税を計算する際の所得から差し引かれるため、親の所得税・住民税の負担が軽くなる効果があります。
控除を受けるには、確定申告または年末調整の際に、保険料の金額を証する控除証明書(はがき等)を添付、または提示する必要があります。
子ども名義の保険料であっても、親の口座から支払えば、親の控除として扱われます。
家計全体で見れば、親が立て替えて払い、税負担の軽減分を家庭の中でどう分担するかを話し合っておくと、納得感のある選択になりやすいと思います。
6. まとめ:状況に合わせて選び、放置だけは避ける
国民年金保険料は、令和8年度も前年度から410円増え、月1万7920円になりました。
学生にとって決して軽い金額ではありませんが、放置だけは避けるべきです。
本人に収入がなく、将来の年金額よりも今の負担を抑えたい場合は、学生納付特例制度が選択肢になります。
家計に余裕があり、将来の年金額を満額に近づけたい、あわせて親の税負担も抑えたい場合は、親が代わりに払う方法が選択肢になります。
在学中は学生納付特例を使い、卒業後に本人や親が追納で穴埋めするという組み合わせ方も可能です。
いずれの場合も、まずは日本年金機構や年金事務所に相談し、自分の状況に合った方法を選ぶことが大切です。
参考資料
- 日本年金機構「20歳到達時の国民年金の手続き」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 日本年金機構「国民年金保険料の前納」
- 日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」
- 国税庁「No.1130 社会保険料控除」
奥田 朝


