「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、設定来これまで良好なパフォーマンスを積み重ねてきた人気のインデックスファンドです。ただ、右肩上がりに見える運用実績の裏にも、短期的には上下の波があります。

実際、2026年7月は両ファンドともに基準価額がマイナスで月を終えました。株式相場や外国為替の変動というリスクは、どちらのファンドにも共通して存在するものです。

では、7月のマイナスは、具体的に何が要因だったのでしょうか。本記事では、両ファンドの最新の月次レポート(2026年7月末時点)を参考に、基準価額の変動要因やトータルリターンを詳しく確認していきます。

この記事の3つのポイント

  •  7月の基準価額はオルカン▲496円、S&P500▲449円とともにマイナス
  •  為替要因の悪化が両ファンドの下落に大きく影響
  •  設定来のトータルリターンはS&P500+339.5%、オルカン+275.2%

【オルカン・S&P500】2つのファンドの投資対象の違い

両ファンドは同じ「eMAXIS Slim」シリーズですが、投資対象はまったく異なります。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)=オルカン
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み・円換算)に連動し、日本・先進国・新興国の株式に広く投資します。2026年7月末の資産構成は次の通りです。

  • 先進国株式(除く日本):83.7%
  • 新興国株式:11.2%
  • 国内株式:5.1%

オルカン 組入上位10ヵ国・地域(2026年7月末)1/4

オルカン 組入上位10ヵ国・地域

出所:三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」月次レポート(2026年7月)をもとにLIMO編集部作成

「全世界に分散」という響きから受けるイメージとは裏腹に、組入国トップはアメリカで63.1%を占め、2位以下は日本(5.0%)、イギリス(3.2%)、カナダ(3.0%)、台湾(2.8%)と続きます。分散を掲げていても、実質的には米国株の動きに強く引き寄せられるファンドだと言えます。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
S&P500指数(配当込み・円換算)に連動し、米国主要企業約500社に投資します。資産構成は実質外国株式が100.0%(内、現物99.0%・先物1.0%)で、米国市場の値動きがそのまま基準価額に反映される構造です。

上位銘柄の顔ぶれは似ているが、比率はS&P500の方が集中

両ファンドの上位銘柄は、APPLE・NVIDIA・MICROSOFT・AMAZON・ALPHABETという顔ぶれで共通していますが、組入比率には大きな差があります。

オルカン・S&P500 組入上位10銘柄(2026年7月末)2/4

オルカン・S&P500 組入上位10銘柄

出所:三菱UFJアセットマネジメント 各ファンド月次レポート(2026年7月)をもとにLIMO編集部作成

S&P500はAPPLE(7.6%)、NVIDIA(7.3%)と上位2銘柄だけで15%近くを占め、集中度が際立ちます。一方のオルカンは同じ2銘柄でも4.8%・4.4%と比較的分散されており、台湾のTAIWAN SEMICONDUCTOR(TSMC)が7位に入っている点も特徴です。

【オルカン・S&P500】トータルリターンを比較:最新データ(2026年7月末)

2026年7月31日時点の月次レポートをもとに、各期間のトータルリターンを比較します。

オルカン・S&P500 トータルリターン比較(2026年7月末時点)3/4

オルカン・S&P500 トータルリターン比較

出所:三菱UFJアセットマネジメント 各ファンド月次レポート(2026年7月)をもとにLIMO編集部作成

  • 過去1カ月:オルカン ▲1.3% / S&P500 ▲1.0%
  • 過去3カ月:オルカン +4.5% / S&P500 +4.7%
  • 過去6カ月:オルカン +11.2% / S&P500 +12.2%
  • 過去1年:オルカン +29.5% / S&P500 +27.0%
  • 過去3年:オルカン +87.5% / S&P500 +91.2%
  • 設定来:オルカン +275.2% / S&P500 +339.5%

直近1カ月は両ファンドともにマイナスで、下落幅はオルカンの方がやや大きくなっています。一方、過去1年ではオルカンがS&P500を上回り、過去3年・設定来ではS&P500が優勢という、期間によって順位が入れ替わる結果となりました。

なお、月次レポートにはファンドの実績とベンチマーク(指数そのもの)の値も掲載されています。設定来で比較すると、オルカンはファンド+275.2%に対しベンチマーク+273.2%、S&P500はファンド+339.5%に対しベンチマーク+333.9%と、いずれもファンドの実績がベンチマークをわずかに上回っています。低コストで指数に忠実に追随することを目指す設計でありながら、こうした小さな差が生まれるのも運用の実態として興味深い点です。

年平均利回りに換算すると、次のようになります(概算)。

  • 過去3年の年平均利回り:オルカン 約23.3% / S&P500 約24.1%
  • 設定来の年平均利回り:オルカン 約18.6%(約7年9カ月) / S&P500 約20.1%(約8年1カ月)

中長期で見るとS&P500がやや優勢、直近1年ではオルカンが上回るという構図です。ただし、これはあくまで過去の実績をならした数字であり、「今後も同じペースで続く」とは限りません。