【オルカン・S&P500】7月の基準価額はなぜマイナスになった?変動要因を比較

月次レポートには、基準価額がどの要因でどれだけ動いたかを示す「変動要因」が掲載されています。2026年7月の内訳は次の通りです。

オルカン・S&P500 2026年7月の変動要因4/4

オルカン・S&P500 2026年7月の変動要因

出所:三菱UFJアセットマネジメント 各ファンド月次レポート(2026年7月)をもとにLIMO編集部作成

オルカン(合計 ▲496円)

  • 国内株式:▲20円
  • 先進国株式(除く日本):+183円
  • 新興国株式:▲419円
  • 為替要因:▲237円
  • その他(信託報酬等):▲3円
和田直子

7月のオルカンは、先進国株式がプラス(+183円)となったものの、新興国株式の下落(▲419円)と為替要因のマイナス(▲237円)が重なり、全体としては基準価額を落とす結果となりました。

特に気になっている方も多いのが「為替の動き」ではないでしょうか。7月末には日米協調介入と見られる動きによって急激な円高が進み、一時1ドル=156円台まで押し戻される場面がありました。8月に入ってからも160円を割り込む水準で推移しており、「このまま下がり続けるのでは」と不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。

外国資産に分散投資しているオルカンでは、為替の影響を避けることはできません。しかし、こうした短期的な変動は、長期投資の過程において十分に起こり得るものです。

思い返してみれば、今年3月にも基準価額が一時的に大きく下落し、不安が高まった場面がありました。ですが、続く4月には素早く持ち直し、再び上昇に転じています。市場の波は常に上下を繰り返すものであり、一時的なニュースや月単位の動きだけに振り回される必要はありません。

為替介入や急激な相場変動は不安の種になりやすいですが、「短期的な揺れは付きもの」と捉え、一喜一憂せずにじっくり腰を据えて運用を続けていきましょう。

S&P500(合計 ▲449円)

  • 株式要因:+5円
  • 為替要因:▲454円
  • その他(信託報酬等):±0円
和田直子

一方のS&P500も7月は基準価額を落とす結果となりましたが、要因を数値で分解すると、オルカンとはまた違った特徴が浮かび上がってきます。株式自体はわずかにプラスを維持していたものの、為替のマイナスがそのまま全体を押し下げた形です。

「株価は動いていないのに、為替だけで基準価額が下がる」という現象は、資産のほぼ100%を米国株が占めるS&P500だからこそ、より顕著に現れます。オルカン以上に為替の影響をダイレクトに受ける構造になっているためです。

ここで大切なのは、「米国企業そのものの価値が下がったわけではない」という点です。今回の下落はあくまで為替の変動によるものであり、投資先である米国株式市場の足元が揺らいでいるわけではありません。

為替の影響で数字が下がると不安になりがちですが、株価そのものが健全であれば過度に心配する必要はありません。オルカン同様、短期的な通貨の揺れに振り回されることなく、じっくり保有を続けていきましょう。

設定来の変動要因を見ると、両ファンドの構造の違いがより鮮明になります。

  • オルカン(設定来合計:+27,521円):先進国株式+17,121円、為替要因+7,201円、新興国株式+1,971円、国内株式+1,338円
  • S&P500(設定来合計:+33,950円):株式要因+24,945円、為替要因+9,107円

S&P500は株式そのものの上昇が利益の大部分(約73%)を占めるのに対し、オルカンは為替効果の比重(約26%)が比較的大きい構造です。裏を返せば、円高局面ではどちらのファンドもリターンが圧縮されやすく、特に為替依存度が読み取りやすいのがこの2ファンドの共通点と言えるでしょう。

【オルカン・S&P500】信託報酬を比較:コストはどちらが安い?

長期投資においてコストは「確定したマイナス」として毎年積み重なります。両ファンドの信託報酬(年率・税込)を確認しましょう。

  • オルカン:年率0.05775%以内
  • S&P500:年率0.09372%以内

100万円を1年間保有した場合の信託報酬の目安は、オルカンが約578円、S&P500が約937円です。差額は約360円と小さく見えますが、10年・20年の長期保有では複利の影響も加わり、手元に残る利益の差として積み上がっていきます。

一般的なアクティブファンドの信託報酬が年率1〜2%程度であることを踏まえると、両ファンドとも極めて低コストな設計です。コストだけを見るならオルカンが有利ですが、設定来のトータルリターンはS&P500が上回っている点も踏まえてバランスよく判断したいところです。

まとめ

2026年7月は、オルカン・S&P500ともに基準価額がマイナスとなりました。

トータルリターンで見ると、設定来・過去3年はS&P500が優勢、過去1年はオルカンが優勢という結果でした。コストの低さと分散の広さではオルカンに強みがありますが、両ファンドとも上位銘柄の顔ぶれは似ており、米国ハイテク株の動向に大きく左右される点では本質的に近い性質を持っています。

「分散効果」を過信せず、短期的な下落局面でも売らずに持ち続けられるかという、自分自身のリスク許容度に合った選び方を意識することが、長期投資を続けるうえで大切です。

【投資に関するご注意】

  • 本記事は特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。
  • 投資には元本を割り込むリスクが伴います。最終的な投資判断は、ご自身の責任において行われるようお願いいたします。

参考資料

和田 直子