4. 【老後単身世帯】年金以外の収入源はある?働きながら暮らしを支えるという選択

単身で老後を迎えた場合、収入の柱は公的年金が中心になりますが、それだけで毎月の生活費を安定的にまかなうのは簡単ではありません。

とくに支出が収入を上回る「小さな赤字」が続く状況では、貯蓄の取り崩しに頼るだけでなく、もう一つの収入源をどう確保するかが現実的な課題になります。

そこで近年、選択肢として広がっているのが「高齢期の就労」です。

4.1 高齢になっても働く人は確実に増えている

65歳以上の就業者数は増加傾向が続いており、70歳代でも働く人は珍しくなくなっています。

体力面への配慮が必要な年代ではあるものの、経験や専門性を活かせる分野では、70歳前後、あるいはそれ以上の年齢でも働き続ける例は珍しくありません。

背景には、健康寿命の延びに加え、人手不足による雇用機会の拡大があります。

単身世帯ではとくに、収入を一人で支える必要があるため、

  • 年金だけでは不足する分を補う
  • 生活費の一部を自分でまかなう

といった目的で就労を選ぶケースが増えています。

4.2 「月数万円」の収入があるだけで家計はどう変わる?

老後の就労は、現役時代のようにフルタイムで働く必要はありません。実際には、短時間勤務やパートなど、体力に合わせた働き方が主流です。

ここで重要なのは収入の“額”よりも“効果”です。

たとえば毎月2万〜5万円の収入があれば、

  • 家計の赤字をほぼ解消できる
  • 貯蓄の取り崩しペースを大きく抑えられる

といった影響があります。

長期的に見れば、この差は数百万円単位の資産残高の違いにつながる可能性もあります。

4.3 働き方の選択肢は広がっている

現在は高齢者向けの就労機会も多様化しています。

  • 軽作業や清掃、施設管理などの定型業務
  • 接客や販売補助などの短時間シフト
  • シルバー人材センターを通じた地域の仕事

など、体力や希望に応じた働き方を選びやすい環境が整いつつあります。

また、「毎日働く」のではなく「週に数日だけ」という柔軟な働き方も一般的になっており、無理なく継続できる点も特徴です。

4.4 働くと年金は減る?「在職老齢年金制度」との付き合い方

一方で、働く場合には年金との関係も意識しておく必要があります。

一定以上の給与収入があると、厚生年金の一部が支給停止となる「在職老齢年金制度」の対象になるためです。ただし近年は基準額が引き上げられており、以前よりも収入を得やすい環境に変わっています。

そのため、

  • 収入を増やしすぎて年金が減る
  • 逆に働き控えで収入機会を逃す

といった極端な状態を避け、「年金+就労収入」のバランスを取ることが現実的です。

4.5 老後の家計は「働き方」で変わる

単身世帯においては、収入源が限られるからこそ、「働くかどうか」が家計に与える影響は大きくなります。

年金だけに依存するのではなく、

  • 少額でも継続的な収入を持つ
  • 自分のペースで働き続ける

という選択は、老後の安心感を高める有効な手段の一つです。

これからの老後設計では、「いつまで働くか」ではなく、「どのように働き続けるか」という視点が、より重要になっていくといえるでしょう。

5. 【資産形成】NISA・iDeCoを使う人はどのくらいいる?高齢層に広がる非課税制度の活用実態

年金と就労収入だけでなく、「増やす」「守る」という視点から老後資金を考える人も増えています。ここで手がかりになるのが、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった非課税制度の利用状況です。

日本証券業協会「新NISA白書2024」によると、2024年12月末時点でのNISA口座数は2559万口座(18歳以上人口1億673万人に対する普及率は約24%)にのぼります。年代別に見ると、60歳代の口座数は495万口座で普及率33.8%と、全年代のなかでもっとも高い水準です。70歳代も449万口座・普及率23.1%となっており、現役世代に劣らず、あるいはそれ以上に非課税制度を活用している層であることがわかります。

年代別のNISA口座数・普及率5/5

年代別のNISA口座数・普及率

出所:日本証券業協会「新NISA白書2024」をもとにLIMO編集部作成

  • 60歳代:495万口座(普及率33.8%)
  • 70歳代:449万口座(普及率23.1%)
  • 全年代合計:2559万口座(普及率約24%)

5.1 iDeCoは何歳まで入れる?加入可能年齢が「70歳未満」に広がる

あわせて押さえておきたいのが、iDeCoの加入可能年齢の見直しです。厚生労働省によると、2025年の年金制度改正法により、iDeCoの加入可能年齢の上限は現行の「60歳未満」から「70歳未満」まで引き上げられる予定です。

これまで60歳で加入資格を失っていた人も、60歳以降の期間をあらためて非課税での積立に充てられるようになる可能性があります。ただし、具体的な施行時期や経過措置の内容は今後の政令等で確定するため、現時点では確定情報として扱わず、実施が近づいた段階で日本年金機構や運営管理機関の案内を確認する必要があります。

年金だけで生活費をまかなうのが難しいなかで、就労による収入の上乗せに加え、こうした非課税制度を使って手元の資産を計画的に育てていくことも、老後資金を考えるうえでの現実的な選択肢の一つといえるでしょう。

6. 【まとめにかえて】老後資金のバランスをどう考えるか

今回は、将来の年金受取額が「月額15万円」に届く人の割合に焦点を当てて解説してきました。

やはりこれだけ物価上昇が進むと年金だけでの生活は難しいと思う方も増えてきています。

最近では、NISAやiDeCoといった国の制度を活用する人が非常に多くなってきました。

将来資金を効率よく準備できる方法ですね。しかし資産運用には当然リスクがつきものです。自分に合った方法で無理なく進めていきましょう。

熊谷 良子

年金制度は、物価や賃金の動向に応じて毎年度見直されるほか、非課税で資産形成ができるNISA・iDeCoのような周辺制度も、年々内容が更新され続けています。

今回取り上げたiDeCoの加入可能年齢の引き上げも、現時点では改正法の方向性が示された段階で、施行時期や経過措置の詳細はこれから確定していきます。

「今の制度」を前提に将来設計を固めてしまうと、想定と実際の内容にズレが生じることもあります。ご自身の年金見込み額や資産形成の方法を検討する際は、日本年金機構や金融機関などから発表される最新情報を都度確認しながら進めていただければと思います。

参考資料

奥田 朝