2026年度の公的年金は、国民年金が+1.9%、厚生年金が+2.0%と4年連続のプラス改定となりました。
しかし、長引く物価高や光熱費の高騰により、「額面が増えても日々の生活は苦しい」と感じているシニア世帯は少なくありません。
こうした不安を抱える中、要件をクリアすることで基礎年金に加算される「年金生活者支援給付金」という制度があります。
しかし、受給には本人の申請手続きが必須であり、手続き漏れにより受給機会を逃しているケースも少なくありません。
今回は、2026年4月から増額されたこの「年金生活者支援給付金」について、対象となる条件や受け取れる金額、そして確実にもらうための手続き方法をわかりやすく解説します。
1. この記事の3つのポイント
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2026年度の給付額が増額:老齢基礎年金の場合、月額(基準額)5620円(夫婦で年間約13.5万円)のプラスに。 -
もらえる人の3要件:65歳以上、世帯全員が市町村民税非課税、前年所得が基準額以下であること。 -
自動ではもらえない(申請主義):対象者には日本年金機構から封筒が届くため、必ず返送手続きが必要。
「ねんきん定期便」のリアルな見込額を見て、「年金履歴は働き方の履歴だ」と痛感しています。
私自身フリーランス歴もあり、働き方が多様化するいま、年金の知識は老後に困らないための最強の盾になります。
ちなみに、この「年金生活者支援給付金」は非課税所得。受け取った給付金に税金はかからず、翌年の住民税や保険料の計算ベースにも含まれません。
2. 夫婦で年間約13万5000円の加算になるケースも
年金生活者支援給付金は、2019年10月の消費税率引き上げに合わせてスタートした比較的新しい制度です。
物価変動に合わせて毎年金額が見直されており、2026年度(令和8年度)は前年度から3.2%の増額改定となりました。
老齢基礎年金を受給している方向けの「老齢年金生活者支援給付金」の基準額は、以下の通り引き上げられています。
- 2025年度:月額5450円
- 2026年度:月額5620円(+170円)
2026年度の基準額は月額5620円です。年間で計算すると1人あたり約6万7000円の支給となり、ご夫婦ともに要件を満たす世帯であれば、合計で年間約13万5000円もの大きな収入増となります。
気をつけたいのは、この給付金は「待っていても自動で振り込まれない(申請主義)」という点です。
対象であっても請求手続きを行わなければ支給されないため、確実に制度を活用することが家計防衛のカギを握ります。
3. 「年金生活者支援給付金」3つの種類と2026年度の給付額
給付金には、受給している基礎年金の種類に合わせて「老齢」「障害」「遺族」の3種類があります。それぞれ2026年度の給付額(月額)は以下の通りです。
- 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
- 障害年金生活者支援給付金:1級 月額7025円、2級 月額5,620円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円(※子どもが2人以上いる場合は人数割)
老齢年金生活者支援給付金の実際の支給額は、この基準額をベースに保険料の納付済期間や免除期間などに応じて計算されます。
また、通常の年金本体と同じく、偶数月に2カ月分が支払われます。
かつてビジネスケアラーとして、認知症の家族の介護と仕事の両立に悩んだ時期がありました。
親の年金収入が毎月いくらあるかは、介護費用をやりくりする上で極めて重要です。
また、この給付金は老齢年金だけでなく「障害年金」や「遺族年金」も対象で、特に障害基礎年金(1級)は月額7025円と手厚くなっています。
シニアのためだけでなく、働く世代の私たち自身の万が一のセーフティネットとしても知っておきたい数字です。
4. 【老齢年金生活者支援給付金】もらえる人の「3つの条件」とは?
最も対象者が多い「老齢年金生活者支援給付金」を受け取るためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
- 前年の公的年金等の収入金額※1とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は909,000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は906,700円以下2である。
うちは基準額を数千円超えているから対象外だ」と自己判断するのはもったいないかもしれません。
まず、所得の計算には障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
また、年金等の収入とその他の所得の合計が基準額を少し超える場合(昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9,000円を超え90万9,000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6,700円を超え90万6,700円以下)でも、給付金をもらえない人の方が手取りが少なくなる「逆転現象」を防ぐため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される仕組みがあります。
対象となる可能性がある方には案内(後述)が届くので、必ず中身を確認しましょう。
5. 【手続きの流れ】案内封筒の色をチェック!ケース別の申請方法
対象となる可能性が高い方には、日本年金機構から手続き案内の書類が送付されます。ご自身の状況に合わせて、以下の方法で忘れずに申請しましょう。
5.1 【ケース1】これから65歳になり、年金を受け取り始める方(緑色の封筒)
65歳になる3カ月前に届く「年金請求書(事前送付用)」の中に、給付金の請求書も同封されています。
必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に年金事務所へ提出してください。
5.2 【ケース2】すでに年金を受け取っており、新たに対象になった方(うす緑色の封筒)
毎年9月上旬頃から順次、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。
必要事項を記入し、目隠しシールを貼ってポストへ投函するだけで完了です。
5.3 【ケース3】老齢基礎年金を繰上げ受給している方(うすだいだい色の封筒)
65歳になる誕生月の初旬に、はがき型の請求書が届きます。ケース2と同様に、記入してポストへ投函します。
6. 老齢年金から「社会保険料」が天引きされないケースとは?ボーダーラインは「年額18万円」
各種社会保険料が「年金からの天引きになる条件」とは?4/4
出所:日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
シニアになると、介護保険料や国民健康保険料などは原則として年金から自動的に天引きされる「特別徴収」となります。
しかし、年金を受け取っていれば誰でも自動で引かれるわけではありません。
受給している年金額が「年額18万円(月額1万5000円)未満」の方などの場合、天引きは行われず、自治体から送られてくる納付書を使って自分で支払う「普通徴収」となります。
うっかり支払いを忘れてしまうと、延滞金が発生したり、いざという時に給付が制限されたりする恐れがあります。
ご両親の年金が少ない場合は、こうした納付書の支払いが滞っていないか、帰省時などに確認してあげると安心です。
7. まとめ:制度を正しく知って、物価高の家計を防衛しよう
2026年度の年金生活者支援給付金は、近年の物価上昇に合わせて給付額が引き上げられました。
夫婦ふたりで要件を満たせば年間約13万5000円の収入増となり、家計の負担軽減に役立ちます。
ただし、日本の社会保障制度の多くは「申請しなければ支給されない」仕組みとなっています。
ご自身が対象になるか、あるいはご両親が書類を放置していないか。
お盆休みなどで家族が集まるこの機会に、ぜひ一度確認してみてはいかがでしょうか。
また、2026年8月から順次、65歳以上の年金受給者宛てに「公金受取口座登録に関する意向確認書」という重要なお知らせが届き始めます。
これは年金の振込口座を国に登録するか確認するものです(※すでに登録済みの方など、一部の方には届きません)。
登録しておけば、給付金等の申請時に通帳コピーの提出や口座情報の記入が省略でき、サポートするご家族の手間がぐっと減ります。
帰省などのタイミングで、ご実家にこのお知らせが届いていないか確認し、手続きについて話し合ってみることをおすすめします。



