7月も下旬を迎え、連日の厳しい暑さで冷房が手放せない時期となりました。
光熱費の上昇が懸念される中、帝国データバンクの調査によれば、7月は2566品目もの飲食料品が値上げされており、家計への負担はますます重くなっています。
日々のやり繰りに追われると、つい「老後の備え」は後回しになりがちです。しかし、将来受け取る公的年金は現役時代の働き方が色濃く反映されるため、早いうちに現実を知っておくことが大切です。
とくに女性の場合、結婚や出産といったライフイベントによって働き方が変わりやすく、将来の年金受給額に大きな個人差が生じます。
この記事では、意外とシビアな「女性の厚生年金」の実態や、働き方の違いによる将来の年金目安について最新データをもとに解説します。さらに、年金不安に対する「これからの世代の新しい価値観」についても迫ります。
連日の猛暑による光熱費増に加え、帝国データバンクの調査では7月も2500品目以上の食品が値上げに…。
日々のやり繰りで精一杯で「老後の備えなんて考える余裕はない!」という声が聞こえてきそうです。
でも、年金は現役時代の働き方がダイレクトに反映されるシビアな世界。少しだけ将来の現実と向き合ってみましょう。
1. この記事の3つのポイント
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女性の厚生年金平均受給額は月11万1413円で、男性(16万9967円)と大きな差がある -
女性で月額15万円以上の厚生年金を受け取っている人はわずか約12.3%にとどまる -
働き方で老後の年金額は大きく変わるが、Z世代を中心に「夫婦ともにフルタイム」や「夫婦での資産形成」という新たな価値観が広がっている
2. おさらい!日本の公的年金制度「2階建て」の仕組み
日本の公的年金制度は、1階部分の「国民年金」と、2階部分の「厚生年金」で構成されています。
まずは、それぞれの制度の特徴を確認しておきましょう。
2.1 国民年金(1階部分)の概要
- 加入対象:原則、日本に住む20歳から60歳未満の方
- 保険料:1万7920円(※1):全員一律、年度ごとに見直しあり
- 年金額:7万608円(※2)✕調整率:未納期間がある場合は減額調整
※1:2026年度(令和8年度)の月額
※2:2026年度(令和8年度)の月額。40年間年金保険料を納付した場合に受け取れる「満額」(昭和31年4月2日以後生まれの方の場合)
2.2 厚生年金(2階部分)の概要
- 加入対象:主に会社員、公務員など
- 保険料:報酬比例制(報酬により決定)
- 年金額:加入期間や納付保険料により決定(国民年金に上乗せ支給)
将来受け取る年金額は、国民年金のみの加入期間と厚生年金の加入期間、さらに現役時代の収入によって大きく変わります。
国民年金は保険料が一律である一方、厚生年金は報酬に応じて保険料と受給額が決まるため、受給額には個人差が生じる仕組みです。
3. 女性の厚生年金、ひと月「15万円」以上受け取る人はどのくらい?
厚生年金は、加入期間や現役時代の収入によって受給額が異なります。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(老齢基礎年金を含む)の平均受給額は次のとおりです。
3.1 男女で約6万円の差。厚生年金の平均受給額
- 全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
女性の平均受給額は全体平均を下回っており、男性との差も大きくなっています。
では、厚生年金を月15万円以上受給している女性はどの程度いるのでしょうか。
3.2 厚生年金を月15万円以上もらえる女性は「約12.3%」
- 女性の受給権者数:540万5752人
- うち、月額15万円以上受け取っている女性:66万4486人
- 割合:約12.3%(66万4486人 ÷ 540万5752人)
女性では、およそ8人に1人が月15万円以上の厚生年金を受給しています。
一方、男性では約68.8%となっており、男女差が大きいことがわかります。
3.3 女性の厚生年金受給額分布をチェック
- ~5万円未満: 17万1796人
- 5万円以上~10万円未満: 189万2228人
- 10万円以上~15万円未満: 267万7242人
- 15万円以上~20万円未満: 57万3593人
- 20万円以上~25万円未満: 8万3738人
- 25万円以上~30万円未満: 6673人
- 30万円以上~: 482人
このように5万円刻みで見ると、「10万円以上~15万円未満」の層が約267万人と最も多く、全体の約半分を占めるボリュームゾーンであることがより分かりやすくなります。
次いで「5万円以上~10万円未満」の層(約189万人)が多くなっており、女性の厚生年金受給者の大半がこの範囲に収まっている実態が明確に浮き彫りになります。
『月15万円以上の年金をもらえる女性はたった約12%!?』と驚かれたかもしれません。
女性は出産や育児などで離職したり、扶養内で働く期間が生じがちです。
家族のために働き方を変えたケースであっても、こうした老後の受給額格差というシビアな数字に表れているのは少し複雑な気持ちになりますね。
4. 【働き方でどう変わる?】多様なライフコース別の年金月額目安
女性の働き方によって、受給額には具体的にどれほどの差が生じるのでしょうか。
厚生労働省が公表した「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」の資料から、多様なライフコースに応じた年金額(概算)の目安を見てみましょう。
4.1 会社員として長く働き続けた女性の目安
- 想定:厚生年金への加入期間が約40年と長い場合
- 年金月額の目安:約13万4640円
4.2 専業主婦や扶養内パートの期間が長い女性の目安
- 想定:配偶者の扶養に入り、第3号被保険者としての期間が中心
- 年金月額の目安:約7万8249円
4.3 自営業などとして働いた女性の目安
- 想定:厚生年金への加入期間が約6年と短く、国民年金(第1号被保険者)が中心
- 年金月額の目安:約6万1771円
このように、同じように年齢を重ねたとしても、現役時代に厚生年金に長く加入して働いていたか、配偶者の扶養の範囲内で過ごした期間が長いかによって、将来の受給額には月5万〜7万円以上もの大きな差が生まれる可能性があります。
長く会社員として働いた女性と専業主婦期間が長い女性では、年金に月5万〜7万円以上の差が。
月5万円といえば年間60万円、老後が20年なら1000万円以上の差になります。
過去にさかのぼることはできませんが「今の自分の見込額」を早く知ることで、これからの働き方や新NISAなどでの備え方を具体的に考えることができますよ。
5. 年金格差を乗り越える? Z世代が描く新しい「夫婦のカタチ」
女性の年金受給額が低い背景には、ライフイベントによる離職や扶養内での就労(第3号被保険者)など、働き方の変化がありました。
しかし、これからの世代には新たな価値観が芽生えています。
Z世代が考える「将来の夫婦の働き方」4/4
出所:株式会社スマートバンク「【Z世代の結婚観とお金に関する意識調査2026】 物価高で、結婚願望のあるZ世代の半数以上が結婚観に変化 男女ともに7割以上が「結婚前に家計ルールの話し合い」を希望」
株式会社スマートバンクが発表した「2026年 Z世代の結婚観とお金に関する意識調査」によると、物価高騰の影響で結婚観に変化があったZ世代に対し、将来の結婚生活においてどのような夫婦の働き方をしたいか質問したところ、「夫婦ともにフルタイムで働く」と回答した人が、男性では72.0%、女性では68.5%となりました。
全体では「夫婦ともにフルタイム」(70.2%)と「一方がフルタイム、一方が時短やパート等」(28.1%)を合わせ、Z世代の実に98.3%が「共働き」を前提としていることがわかりました。
さらに、女性の約77%(76.9%)が「結婚後にパートナーと協力して資産形成(新NISA等)に取り組みたい」と回答しています。
誰か一人に頼り切るのではなく、夫婦ともにフルタイムで働き、共に備える。こうした自立した意識の広がりが、将来の女性の年金不安を和らげ、年金格差を解消していく鍵になるのかもしれません。
Z世代のアンケート結果、とても頼もしいですね!
「誰か一人に養ってもらう」のではなく、「共働きで収入を得て、夫婦で協力して資産をつくる」という自立した考え方は大いに参考になります。
物価高など厳しい状況は続きますが、まずは現状を知り、今日からできる『未来への備え』を前向きにスタートさせていきましょう!
6. 将来の年金見込額を確認する方法
公的年金だけでゆとりある生活レベルを維持するのは、決して簡単ではありません。
まずはご自身の「年金見込額」を正確に把握しておくことが重要です。
6.1 「ねんきん定期便」を確認する
毎年の誕生月に郵送で届く「ねんきん定期便」を活用しましょう。
35歳・45歳・59歳の節目には封書で、それ以外の年齢ではハガキ形式で送付されます。
とくに50歳以上の人に届くねんきん定期便には、現在の加入条件のまま60歳まで働き続けたと仮定した「65歳から受け取れる年金見込額」が記載されており、実際の受給額に近いリアルな数字を確認できます。
6.2 「ねんきんネット」を利用する
日本年金機構のウェブサービス「ねんきんネット」に登録(またはマイナンバーカードを利用)すれば、最新の年金記録をスマートフォンやパソコンからいつでも確認でき、将来の受給見込額の試算も可能です。
また、老後の資金計画を立てる際には、通知される見込額(額面)から、介護保険料や健康保険料、各種税金などが天引きされる点にも注意が必要です。
実際に手元に振り込まれる金額は、額面よりも少なくなると想定しておきましょう。
7. まとめにかえて
今回は、最新データをもとに女性の厚生年金受給額の実態や、働き方の違いによる年金目安について確認しました。
男女全体の平均受給額は約15万円ですが、月15万円以上を受け取る女性は約12.3%にとどまります。結婚や出産といったライフイベントで働き方を変えざるを得ない期間が生じやすいことが、将来の年金受給額の個人差に直結しています。
しかし記事後半の調査が示すように、これからの世代では「共働きで収入を確保し、夫婦で協力して資産形成を行う」という前向きで自立した価値観が主流になりつつあります。
7月も下旬となり、度重なる飲食料品の値上げや光熱費の高騰など、足元の生活費の負担は決して軽くありません。
だからこそ、まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の将来の受給見込額を正確に把握することから始めてみましょう。
現状を知り、新NISAやiDeCoなどを活用していくことが、安心できる老後への第一歩となるはずです。



