6. 2割負担でも外来の負担には「月々の上限」がある
2割負担になった場合でも、医療費の負担が際限なく増えるわけではありません。医療保険には高額療養費制度があり、1か月の窓口負担が上限額を超えたときは、超えた分を支払わずに済む仕組みになっています。
2割負担の方の多く(住民税の課税所得145万円未満の「一般」の区分)の場合、外来の窓口負担の上限は個人ごとに月18,000円です(2026年7月診療分まで)。
たとえば1か月の外来医療費の総額が10万円かかった場合、2割負担の計算では窓口負担は20,000円ですが、上限を超えるため実際の負担は18,000円にとどまります。
なお、2026年8月診療分からは高額療養費制度の見直しにより、外来の上限が月22,000円に変わります。先ほどの例では、2026年8月以降は20,000円が上限の範囲内となるため、そのまま負担することになります。また、入院を含む場合には、世帯ごとの月単位の上限額(57,600円、2026年8月診療分からは61,500円)が別に設けられています。
7. 負担割合は「月々の上限額」とセットで確認を
負担割合だけを見ると、1割から2割への変更は窓口負担が2倍になる大きな変化に見えます。
ただし前述のとおり、外来医療費には高額療養費制度による月々の上限があり、通院回数が多い月でも負担の増加は上限額の範囲にとどまります。
筆者は、医療費の負担を考えるときには、1割か2割かという割合だけでなく、月にいくらまでかという上限額をあわせて確認することが大切だと考えています。
3割負担となる「現役並み所得者」の詳しい基準や、窓口負担全体の早見表についてはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
【75歳からの医療費】いちばん重い「3割負担」になる年収はいくら?老後の家計を左右する判定基準をズバリ解説 要注意!医療費は「夫婦で半分ずつ」にはならない──窓口負担《1・2・3割》の早見表&資金計画のヒント
7.1 満期保険金などの「一時所得」で翌年度の負担割合が上がる場合がある
判定に使われる「その他の合計所得金額」には、年金以外の所得が幅広く含まれます。生命保険の満期金や解約返戻金を受け取ると、翌年度の医療費の負担割合が上がる場合があります。満期保険金などの一時所得は、次の計算で求めた金額が他の所得と合算されるためです。
- 一時所得の金額=満期保険金などの総収入金額−支払った保険料など−特別控除額(最高50万円)
- 他の所得と合算される金額=一時所得の金額×2分の1
もっとも、判定は前年の所得をもとに毎年見直されるため、一時的な収入によって基準を超えた場合、ほかの所得状況が変わらなければ翌年度の判定で元の負担割合に戻ります。
7.2 負担割合は資格確認書などで確認できる
自身や親の負担割合は、資格確認書などに記載されています。マイナ保険証を利用している方は、マイナポータルでも確認できます。配偶者との死別や75歳への到達など世帯構成の変化によっても負担割合が変わる場合があるため、年に一度、割合と上限額をあわせて確認しておくと安心です。
参考資料
- 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」
- 厚生労働省「窓口負担2割の対象となるかどうかの主な判定の流れ」
- 厚生労働省「後期高齢者医療の窓口負担割合の見直しについて(お知らせ)」
- 厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」
- 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
- 国税庁「No.1490 一時所得」
- 国税庁「高齢者と税(年金と税)」
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について」
- LIMO「【75歳からの医療費】いちばん重い「3割負担」になる年収はいくら?老後の家計を左右する判定基準をズバリ解説 要注意!医療費は「夫婦で半分ずつ」にはならない──窓口負担《1・2・3割》の早見表&資金計画のヒント」
小西 雅美

