ヘアケア・染毛剤メーカーのミルボン(4919)は10日、2026年12月期第2四半期(中間期)の決算と、通期業績予想の上方修正を発表しました。翌11日は「山の日」で東京証券取引所が休場だったため、この決算を受けた最初の売買が行われたのは12日の取引でした。

好調な業績と自社株買いが材料視され、同日の終値は前営業日比+9.84%(+288円)の3,215円となりました。

一時10%超高の3,270円まで買われ、年初来高値を更新。 出来高も54万6,300株と急増しました。通常は10万台程度で、10日の出来高をみると18万6,400株でした。
 

1. この記事を読むとわかる3つのポイント

  • 中間期は増収増益、純利益は前年同期の5.8倍に拡大
  • 海外(米国・EU・韓国)が好調で通期業績予想を上方修正、自己株式取得も決議
  •  100株以上の保有で自社製品を選べる株主優待あり、100株で「エルジューダ」がもらえる

2. 中間期決算のポイント

2026年12月期中間期(2026年1〜6月)の連結業績は、売上高268億7,800万円(前年同期比8.3%増)、営業利益33億4,700万円(同72.7%増)、経常利益34億9,900万円(同88.8%増)、中間純利益24億1,600万円(同476.5%増)となりました。純利益は前年同期の5.8倍まで伸びていますが、前年同期は投資有価証券評価損7億5,500万円を計上した反動が今期はなかったことも押し上げ要因の一つで、この伸び率のすべてが本業の改善というわけではない点には留意が必要です。

品目別では、主力のヘアケア用剤が売上高の63.8%を占める170億4,900万円(同9.8%増)で、新ブランド「スワエ」やプレミアムブランド「オージュア」「グローバルミルボン」の店販が伸びました。染毛剤は85億3,700万円(同7.0%増)で、国内のファッションカラーは減収が続く一方、海外の伸びが補いました。パーマネントウェーブ用剤・化粧品・その他は合計でも売上高の3.9%にとどまり、動きは限定的です。

地域別では、国内売上高189億9,300万円(同2.8%増)に対し、海外売上高は78億8,400万円(同24.7%増)と伸び率が際立ち、売上高全体に占める海外比率は前年同期の25.5%から29.3%まで上昇しました。

3. 実は海外での「稼ぐ力」も大きい

同社は中期事業構想(2022〜2026年度)で7つの海外リージョンの投資優先順位を見直し、市場性・成長力の高い米国・EU・韓国を重点エリアに設定しています。この方針のもと、米国・EUでの高成長が続いているほか、前年に政治的混乱の影響を受けた韓国も今期は売上・利益ともに好調に転じました。国内では美容室向けの店販品(美容師が来店客に販売する専売品)を軸とするビジネスモデルのため、店販の裾野拡大が続く限り安定成長が見込みやすい一方、海外の高成長がそこに上乗せされている構図です。

海外事業は売上が伸びただけでなく、「稼ぐ力」自体も大きく改善しています。海外全体の営業利益率は前年同期の4.7%から中間期は15.0%まで上昇し、営業利益は2億9,700万円から11億8,500万円へ約4.0倍に拡大しました。最大の押し上げ要因は米国で、前年同期に1億4,100万円の営業損失(利益率△12.3%)だったところから、今期は2億7,400万円の営業利益(利益率16.4%)へと黒字転換しています。もともと利益率30%台を維持する収益の柱である韓国も34.7%から37.2%へ、中国も9.8%から13.8%へと利益率が上昇しました。一方でEUはなお営業損失(利益率△8.8%)が続いていますが、前年同期の△27.9%からは損失幅を縮小しています。

4. 通期業績予想を上方修正、自社株買いも

同社は同日、通期業績予想を上方修正しました。売上高は556億円(前回予想548億円から8億円上乗せ)、営業利益は65億5,000万円(同63億円から2億5,000万円上乗せ)、経常利益は67億4,000万円(同61億8,000万円から5億6,000万円上乗せ)、純利益は46億円(同43億円から3億円上乗せ)としています。中間期の進捗率は、売上高で48.3%、営業利益で51.1%、経常利益で51.9%、純利益で52.5%となりました。売上高はほぼ半期の目安である50%に近いペースで、営業利益・経常利益・純利益はいずれも50%を上回るペースです。

なお、売上総利益率は中間期実績で63.8%となり、会社計画(63.7%)をわずかに上回りました。ただし通期の修正計画では62.8%を見込んでおり、上方修正前の期初計画(63.4%)から0.6ポイントの低下を想定しています。これは中東情勢の緊迫化に伴う原材料・資材コストの増加(通期で4〜5億円程度と見積もり)を下期以降の計画に織り込んだためで、上期の好調さがそのまま下期にも続くとは限らないことを示す材料といえます。

あわせて、株主還元の充実と資本効率向上を目的に、上限90万株・18億円の自己株式取得(取得期間:2026年8月12日〜12月17日)を決議しました。通期の配当予想は1株88円です。

4.1 株主優待にも注目

同社は100株以上を保有する株主を対象に、決算期末(12月31日)を基準日として自社製品をポイント制で選べる株主優待制度を実施しています。次回は2026年12月31日が基準日となる予定です。

具体的な優待品の内容ついては、2ページ目で詳しく解説します。

ここまでを振り返ると、中間期は海外事業の伸びを主因に増収増益となり、通期見通しも上方修正されました。純利益の伸び率には前年の一過性要因の反動も含まれる点は差し引いて見る必要がありますが、営業利益・経常利益の伸びは本業の改善を反映したものです。

次のページでは、株主優待の内容について、そして8月12日終値をもとにしたバリュエーション評価を解説します。