急騰と急落は、しばしば背中合わせだ。銀座に本店を構える松屋(8237)の株価は、この1カ月で大きく水準を切り上げたのち、直近で急に反落した。

その裏には、インバウンドという追い風と、慎重な通期見通しが同居している。直近1カ月の値動きと決算の中身から読み解いていきたい。

※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。

この記事の3つのポイント

  •  株価は1カ月で急騰したが、当日は1割近く急反落した
  •  2027年2月期1Qは営業利益36%増、インバウンドが追い風
  •  ただし通期は減益予想で、PERは極めて高い水準にある

1カ月の急騰から一転、当日は1割近い急反落

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出所:各種資料をもとに筆者作成

出所:各種資料をもとに筆者作成

松屋の株価は、直近1カ月で大きく水準を切り上げていた。終値は7月24日の1,688円を安値に、8月10日には2,225円まで駆け上がっている。1カ月で3割を超える上昇だ。

ところが、直近の8月12日は2,005円と、前営業日から1割近く急落した。急ピッチの上昇の反動や、利益を確定する売りが意識された可能性がある。

直近時点のPERは203.55倍、PBRは3.89倍と、いずれもかなり高い水準にある。とりわけPERの高さは、利益の水準に対して株価が大きく買われていることを映している。

2027年2月期1Qは営業利益36%増、インバウンドが追い風

足元の決算は好調だった。2027年2月期1Qの売上高は121億円で前年同期比5.9%増、営業利益は6.6億円で同35.9%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は3.75億円で同56.0%増となった。

会社によれば、百貨店業界では富裕層を中心とした消費が堅調で、円安を背景に幅広い国々からの訪日観光客の旺盛な購買が加わったことで、東京地区の百貨店売上高が前年を上回った。

銀座と浅草に店舗を構える松屋も、この追い風を捉えた形だ。株価がこの1カ月で急騰した背景には、こうしたインバウンド需要への期待があったとみられる。

筆者コメント

今回の株価の動きは、期待の急な高まりと、その反動が同居している。

1カ月で3割上げ、当日で1割近く下げる荒さは、インバウンドという分かりやすいテーマに資金が集まりやすい銘柄であることを物語る。

1Qの増益は、確かに追い風を裏づけている。ただPER200倍超という水準は、目先の利益に対して株価がかなり先を走っていることを示す。急騰の勢いだけで判断するには、注意が要る局面だと感じている。