国税庁は2025年9月、令和6年分(2024年分)の民間給与実態統計調査を公表しました。給与所得者1人あたりの平均給与は478万円となり、4年連続の増加で過去最高を記録しています。

平均給与だけを見ると、年収700万円は手が届かない特別な水準に思えるかもしれません。ただし実際の分布を確認すると、到達している人の割合は決して少なくなく、男女間には大きな差があります。

そこで本記事では、国税庁のデータをもとに年収700万円超の到達率を男女別に解説します。到達しやすい業種も紹介するので、参考にしてみてください。

1. この記事の3つのポイント

  •  年収700万円超の到達率は男女計17.26%、男性26.02%・女性5.67%と大きな差がある
  •  給与所得者は年収300万円台~400万円台に集中し、平均給与は478万円で4年連続増加
  •  電気・ガス・熱供給・水道業(832万円)や金融業・保険業(702万円)は700万円圏に近い高水準業種

2. 日本の平均給与と年収700万円超の到達率

2024年分の平均給与は478万円で、前年の460万円から3.9%の増加でした。男性は587万円、女性は333万円で、いずれも前年から増加しています。

平均給与の水準は4年連続で上昇し、金額としても過去最高を更新しました。

2.1 給与階級別に見る所得の分布

給与所得者全体5137万人の内訳を、年収の低い階級から順に確認していきます。

給与階級別の総括表1/3

給与階級別の総括表

出所:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」

  • 100万円以下:393万3800人(7.66%)
  • 100万円超200万円以下:570万6758人(11.11%)
  • 200万円超300万円以下:676万7419人(13.17%)
  • 300万円超400万円以下:825万7811人(16.08%)
  • 400万円超500万円以下:787万374人(15.32%)
  • 500万円超600万円以下:605万9323人(11.80%)
  • 600万円超700万円以下:390万7007人(7.61%)
  • 700万円超800万円以下:271万305人(5.28%)
  • 800万円超900万円以下:174万1442人(3.39%)
  • 900万円超1000万円以下:120万8265人(2.35%)
  • 1000万円超1500万円以下:230万5820人(4.49%)
  • 1500万円超:約90万人(約1.75%)

300万円超400万円以下(16.08%)が最多で、400万円超500万円以下(15.32%)、200万円超300万円以下(13.17%)と続きます。給与所得者は300万円台から400万円台に集中していることがわかります。

年収700万円を超える人は男女計で886万3207人にのぼり、全体の17.26%です。約6人に1人が到達している計算になります。

年収1000万円超まで基準を引き上げると、該当者は約320万人で全体の6.2%です。1000万円超の壁は700万円超に比べて格段に高くなります。

3. 男女別に見た年収700万円超の到達率の差

年収700万円超の到達率は、男女計では17.26%でしたが、男女別に分けると差は大きく開きます。

3.1 男性26.02%、女性5.67%という到達率の実態

男性の給与所得者2925万24人のうち、年収700万円を超えているのは760万9992人で、到達率は26.02%です。男性は約4人に1人が到達しています。

一方、女性の給与所得者2211万5675人のうち、年収700万円を超えているのは125万3215人にとどまり、到達率は5.67%です。男性の到達率と比べると、20ポイント以上の差があります。

給与階級別の最多層にも違いがあります。男性は400万円超500万円以下(493万1252人・16.86%)が最も多い層でした。女性は200万円超300万円以下(421万1300人・19.04%)が最多層です。

男女で最多層のゾーンが200万円分ずれている構造が続いており、この差が700万円超到達率にも関係しています。

平均給与も男性587万円に対し女性333万円で、254万円の開きがありました。ただし女性の平均給与は前年比5.5%増と、男性の3.2%増を上回るペースで伸びています。

雇用形態や勤続年数の違い、育児期のキャリア中断などが背景にあり、給与格差の是正には時間がかかりますが、それでも女性の給与水準は着実に上昇を続けています。

4. 年収700万円を狙いやすい業種はどこか

業種によって平均給与の水準には大きな差があります。年収700万円に近づきやすい業種を確認しましょう。

4.1 業種別平均給与の上位ランキング

業種別及び給与階級別の総括表2/3

業種別及び給与階級別の総括表

出所:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」

給与階級別の総括表3/3

給与階級別の総括表

出所:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」

最も平均給与が高いのは電気・ガス・熱供給・水道業で832万円、前年比7.4%増です。次いで金融業・保険業が702万円、前年比7.7%増と伸び率も上位に位置しています。

情報通信業は660万円(前年比1.6%増)、製造業は568万円(同6.5%増)、建設業は565万円(同3.2%増)と続きます。学術研究・専門技術・教育学習支援業は549万円でした。

4.2 中位・下位業種と就業者数の多い業種の位置

不動産業・物品賃貸業は496万円、運輸業・郵便業は488万円、医療・福祉は429万円、卸売業・小売業は410万円です。就業者数の多い業種は、業種平均だけで見ると700万円には届きません。

さらに下位ではサービス業が389万円、農林水産・鉱業が348万円、宿泊業・飲食サービス業が279万円で、業種平均には3倍近い開きがあります。

金融業・保険業や情報通信業、電気・ガス・熱供給・水道業は、平均給与ベースで年収700万円圏に近い業種にあたります。

もっとも業種平均が700万円を下回る業界でも、専門資格や管理職ポジションへの到達で700万円超に届く人はいます。業種と職位の掛け合わせが重要です。

5. 自分の到達率と業種水準を確認し、キャリア設計に生かそう!

年収700万円超の到達率は男女計で17.26%、男性は26.02%、女性は5.67%です。業種別では電気・ガス・熱供給・水道業や金融業・保険業が高水準に位置しています。

自分の現在の年収が、性別や業種の平均と比べてどの位置にあるかを一度確認してみてください。転職や資格取得、業種選びの判断材料として役立ちます。

副業や資格取得で収入源を複線化する動きも広がっており、給与所得だけに依存しない設計も選択肢に入ります。iDeCoやNISAで運用益を積み上げる方法も、年収の見え方を変える手段の一つです。

国税庁の統計は毎年公表されるため、翌年以降の推移も合わせて確認していきましょう。数字の裏付けをもとに、自分に合ったキャリアや資産形成の道筋を描いてください。

6. 元メガバンク行員の監修者から:年収データをキャリア・資産形成に生かすアドバイス

中本 智恵

今回のデータを見ると、年収700万円を超える人は男女計で17.26%、男性は26.02%、女性は5.67%と、性別による差が大きいことがわかります。

銀行の窓口でも、住宅ローンや資産運用のご相談の際に、ご自身の年収が同性・同年代のなかでどの位置にあるのか気にされる方は少なくありませんでした。平均給与や到達率はあくまで全体の傾向であり、業種や雇用形態によって実態は大きく異なる点に注意が必要です。

年収を引き上げる方法としては、業種や職種の見直し、資格取得によるキャリアアップなどが考えられますが、それだけに頼らず、NISAやiDeCoといった制度を活用して資産形成を並行して進めることも選択肢の一つです。

収入を増やす方法にせよ資産形成にせよ、リスクや時間軸を踏まえて無理のない計画を立てることが大切です。まずはご自身の年収や資産状況を客観的に把握し、必要な行動を一つずつ検討していきましょう。

参考資料

苛原 寛