3. 改正で変わる4つのポイント

今回の改正で現行制度から大きく変わるポイントは、主に以下の4点です。

遺族厚生年金の見直し2/3

遺族厚生年金の見直し

出所:厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」

3.1 60歳未満は「5年間の有期給付」へ、男女差も解消

現行では「30歳未満の子なし妻」だけが5年限定でしたが、改正後は「60歳未満で子のいない現役世代」が男女ともに原則5年間の有期給付となります。低収入や障害がある場合は継続給付の救済措置があります。

男性については2028年4月から一斉に対象となり、これまで受け取れなかった20〜50代の男性も5年間の給付を受けられるようになります。女性の対象年齢の引き上げは、現在の受給者への配慮から2028年4月以降20年かけて段階的に実施されます。

3.2 所得制限(年収850万円未満)の撤廃

これまで年収850万円以上の世帯は遺族年金を受け取れませんでしたが、改正後は収入に関係なく受給できるようになります。高収入世帯にとっては拡充の方向です。

3.3 子ども加算の対象者拡大と加算額の引き上げ

子どもがいる場合の加算額が増額されます(現行:1人につき年額約23.5万円→改正後:年額約28.2万円)※2024年度の年金額で試算

加算の対象となる年金の種類も広がり、老齢基礎年金や遺族厚生年金なども新たに対象に加わります。

この加算額の引き上げは、現在受給中の方も対象です。

3.4 ④「死亡時分割制度」の新設で老後の年金が合算可能に

共働き世帯でこれまで課題とされていたのが、「自分の老齢厚生年金」と「遺族厚生年金」のどちらか高い方しか受け取れない仕組みでした。

改正後は、亡くなったパートナーの年金記録を分割して自分の年金に上乗せできるようになります。

ただし、遺族基礎年金に適用される「みなし25年加入」の救済措置は死亡時分割には適用されません。

先ほどのケース(平均月収35万円・加入8年)では婚姻期間に基づく実記録を2分割した額が上乗せとなり、月額約7600円が目安です。

若くしてパートナーを亡くした場合、婚姻期間が短いほど上乗せ額は小さくなる点は念頭に置いておきましょう。