4. 年金収入200万円・320万円以上でも「2割負担」にならないケース

年金収入とその他の所得が200万円(または320万円)以上であっても、医療費負担が2割にならない場合もあります。該当する可能性があるケースは、以下のとおりです。

  • 課税所得が28万円未満である
  • 遺族年金や障害年金が年金収入に含まれている

年金収入が単身世帯で200万円以上、複数人世帯で320万円以上であっても、課税所得28万円という前提要件を満たしていなければ、医療費負担は2割にはなりません。

課税所得を計算する際はさまざまな控除が適用されます。基礎控除や配偶者控除、医療費控除など、年金収入に対する控除である「公的年金等控除」以外の控除によって課税所得が28万円を下回った場合、医療費負担は変わらず1割となります。

また、年金収入のなかに遺族年金や障害年金が含まれている場合も、2割負担にならない可能性があります。遺族年金や障害年金は非課税収入であり、課税所得に含まれません。年金収入のなかに遺族年金や障害年金がある場合は、それらを除いた収入が200万円(または320万円)以上になるかどうか、確かめてみましょう。

次章では、2026年度から徴収が始まっている「子ども・子育て支援金」について解説します。

5. 2026年度からは「子ども・子育て支援金」の負担も

2026年度から、子育て施策の財源となる「子ども・子育て支援金制度」が始まりました。

この支援金は、後期高齢者が給付金として受け取るものではありません。医療保険制度を通じて、全世代で子育て支援に必要な費用を拠出する仕組みです。

後期高齢者医療制度の加入者も、2026年4月分から保険料とあわせて支援金を負担します。実際の金額(保険料率)は、各都道府県の後期高齢者医療広域連合によって異なります。

2026年度の後期高齢者の支援金負担額の平均は、以下のとおりです。

  • 年額:2333円
  • 月額:194円

2026年度の金額は、導入直後であることから、全体的にやや低めに設定されています。しかし、2027年度、2028年度にかけて負担額は次第に上昇していく見込みである点には注意が必要です。

後期高齢者はほかの公的医療保険の被保険者と比べると、負担額が低めに設定されています。しかし、医療費の負担割合にかかわらず、被保険者全員が原則いくらかの金額を負担することになるため、家計支出の見直しなどをしておきたいところです。

6. 医療費負担の変化に、今から備えておきたいこと|監修コメント

中本 智恵

後期高齢者の医療費負担は、収入次第で1割から2割、3割へと段階的に重くなる仕組みです。しかも2026年度からは子ども・子育て支援金の負担も始まり、金額自体は数百円程度でも、窓口負担と支援金の両方が同時に増える場面が今後訪れる可能性があります。

銀行の窓口でも、「この年になっても負担は続くね」と話すシニア世代の方も多かったです。課税所得が28万円前後、年金収入が200万円前後というボーダーライン上にいる方は、確定申告書の控えや年金振込通知書で早めに自分の位置を確認しておくと安心です。

通院機会が多く医療費負担が気になる方は、負担割合にかかわらず「高額療養費制度」で自己負担額に上限が設けられている点も忘れずに。制度を正しく理解し、必要な備えをしておくことが、これからの医療費との付き合い方を左右します。

7. まとめ

後期高齢者医療制度の被保険者は、原則医療費の負担割合が1割ですが、単身世帯で課税所得が28万円以上かつ、年金収入とその他所得が200万円以上、複数人世帯では320万円以上になると、負担割合が2割になります。単純に窓口での自己負担額が今までの2倍になるため、通院機会の多い人ほど支出が増えることになります。

医療費支出が多い人は、所定の負担限度額を超えた際に超えた分が払い戻される「高額療養費制度」を活用できます。該当する場合は有効活用して、医療費の負担を少しでも抑えましょう。

参考資料

石上 ユウキ