6月19日に厚生労働省が公表した「令和7年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況等」によると、新規求職申込件数は前年度比3.7%増の27万8136件にのぼり、多様な人材の就労意欲の高まりがうかがえます。このように働き方が多様化する中で、ご自身のキャリアや収入について見つめ直す方も多いのではないでしょうか。
国税庁が公表した「令和6年分民間給与実態統計調査」のデータによると、日本国内における給与所得者の平均給与は477.5万円という結果になりました。
この結果を男女別で確認すると、男性は586.7万円、女性は333.2万円を記録しています。全体的な傾向としては、緩やかな上昇の波が続いている状況です。
かつて筆者が銀行の窓口でお客さまのお手続きなどに寄り添ってきた経験からも、収入の目安を知ることは将来の目標を立てる上で大切だと感じています。
今回の記事では、この新しい統計データに焦点を当て、働く人々にとって一つの大きな節目とされる「年収1000万円」のラインについて、その実態を細かく紐解いていきます。
1. 「年収1000万円超」を達成している割合はどれくらい?
世間一般で高収入とされる年収1000万円というラインは、国内の給与所得者の中でどの程度の位置づけになるのでしょうか。
給与階級別の分布状況を示したデータを参照すると、年収1000万円超に該当する層(「1000万円超」から「2500万円超」までのそれぞれの階級を合算した数値)は、全体の6.2%を占めています。
このことから、年収1000万円超を達成しているビジネスパーソンは、全体における上位約6.2%の限られた層であることが分かります。
さらに、これらの数値を男女別に細分化して確認していくと、はっきりとした差異が見えてきます。
男性のみに絞った場合、年収1000万円超に達している人の割合は9.7%に上ります。
その一方で、女性の中で年収1000万円超に到達している割合をみると、わずか1.6%にとどまるのが現状です。
年収1000万円という水準は、全体を通して見れば十分に「高年収層」に位置しますが、とりわけ女性にとってはクリアするのが非常に難しい壁であり続けていることが、統計データからも浮き彫りになっています。
2. 年齢の推移に伴って平均給与はどのように変化するか
一般的には、年齢を重ねて業務経験やキャリアを積んでいくほど、それに連動して年収も引き上がっていくと考えられがちです。
近年では、大手企業を中心に初任給のベースアップが実施されるなど、若い世代の給与水準にも変化の兆候が現れています。しかし、年齢階層別の平均給与に注目すると、男女間でその推移の形は大きく異なっています。
男性の平均給与に関しては、年齢のステップアップとともに順調に伸びていく特徴があります。
具体的には、25〜29歳では437.6万円ですが、30代や40代へと進むにつれて着実に数字を伸ばし、55〜59歳を迎えた段階で734.6万円に達して最高値を記録します。この50代後半の時期において、男性の平均給与は目標として意識される1000万円の数字に近付いていきます。ただし、定年退職や役職定年を迎えることになる60〜64歳に差し掛かると、604.4万円へと大きく減少する点も特徴的です。
これに対して、女性の年齢階層別の推移は全く異なる動きを見せます。女性の場合、25〜29歳時点で370.1万円となった後は、55〜59歳の356.2万円に至るまでの間、すべての年齢層において350万〜370万円台の範囲内を推移し、ほとんど横ばいの状態から変化しません。女性の平均給与が最高値となるのは45〜49歳の368.6万円であり、男性のように50代に向けて大きな上昇カーブを描くことはありません。
このように、30代になってからは、年齢が進むにつれて男女間の給与の開きが広がり続ける構造となっており、年齢に伴う年収の増加という現象は、主に男性側の傾向が強く反映されたトレンドであることが分かります。
3. 所属する業界ごとの平均給与の格差とその実態
目標として年収1000万円を目指す場合、どの「業種」を選択して働くかは極めて重大な分岐点となります。
実際のデータによると、最も平均給与が高いとされる業界と、最も低いとされる業界の金額の差は、約553.1万円という大きな開きが生じています。
調査対象となった全14業種の中で、平均給与が高いトップ3の顔ぶれは以下の通りです。
- 1位:電気・ガス・熱供給・水道業(832.4万円)
- 2位:金融業・保険業(702.3万円)
- 3位:情報通信業(659.5万円)
トップに位置するインフラ関連の産業は832.4万円と非常に高い数値を誇り、2位の金融業・保険業も702.3万円を記録するなど、業界平均の時点で目標に掲げられる1000万円に近づく高水準となっています。なお、男性のデータに限定してみると、金融業・保険業が898.1万円、電気・ガス・熱供給・水道業が878.5万円となり、いずれも900万円に近い金額まで到達しています。
一方で、平均給与が低いワースト3の業種は以下のような結果となりました。
- 12位:サービス業(389.1万円)
- 13位:農林水産・鉱業(347.9万円)
- 14位:宿泊業・飲食サービス業(279.3万円)
もっとも低い数字となった宿泊業・飲食サービス業は279.3万円であり、首位の業種との間には歴然とした差が存在します。これらの業界では、全体の平均給与が300万円台以下に甘んじているのが現状です。
自分が現在身を置いている業種や、これから新天地として転職を検討している業種がどのポジションにあるかによって、年収1000万円をクリアできる難易度は大きく左右されると言えます。
4. 全体の調査結果を振り返って
令和6年分の統計調査データから紐解くと、年収1000万円超を稼ぎ出している人は、全体における上位6.2%に位置する高所得層に該当することが浮き彫りになりました。
男性では9.7%がこのラインに到達しているものの、女性の場合には1.6%という非常に限られた割合にとどまっています。
また、年齢の経過に伴って給与がアップしていく傾向は男性において顕著ですが、業種ごとの収入格差も非常に激しいため、どのような産業に身を置くかが個人の年収を決定づける大きな要素になっています。
参考資料
中本 智恵