2026年8月13日の東京株式市場は3日続伸となりました。前日の米国市場でナスダック総合やSOX(フィラデルフィア半導体株)指数が上昇した流れを引き継ぎ、東京市場でもAIや半導体関連株を中心に買いが先行したほか、午後には日本銀行が早期の追加利上げを視野に入れているとの観測が強まったことが伝わり、銀行株にも資金が向かいました。

こうしたなか、JT(日本たばこ産業、2914)は3営業日ぶりに小反発し、前日比42円高(0.60%高)の7,068円で取引を終えました。8月10日以降は7,095円→7,026円と2営業日続けて値を下げていましたが、この日は後場にプラスに転じ、引けにかけて上げ幅を広げました。

同社株がこの水準で落ち着いているのは、7月30日の大引け後に発表した中間決算がきっかけです。増収増益に加え、通期業績予想と年間配当をそろって上方修正するポジティブな内容だったことを受け、翌31日の株価は前日比470円高(7.05%高)の7,135円まで買われ、取引時間中には7,218円と上場来高値を更新。その後は利益確定売りで小幅な調整も入りましたが、決算発表前の水準(7月29日終値6,781円)と比べればなお高い水準で、高値圏でのもみ合いが続いています。

株価の動きが落ち着き、全体の決算発表ラッシュも一巡しつつあるこのタイミングで、あらためてJTの中間決算の中身を確認していきましょう。

1. この記事を読むとわかる3つのポイント

  • JTの中間決算は売上収益17.7%増、営業利益29.0%増、最終利益35.0%増の大幅増収増益
  • 通期業績予想を上方修正、年間配当も272円(前期比38円増)に増額
  • たばこ事業はAsia・Western Europe・EMAの全クラスターで増収増益、株価は決算後に年初来高値を更新

2. 中間決算は売上収益17.7%増、中間利益35.0%増の大幅増収増益

JTが7月30日に発表した2026年12月期第2四半期(中間期、2026年1月1日〜6月30日)の連結業績は次のとおりです。

  • 売上収益:1兆9,860億7,000万円(前年同期比17.7%増)
  • 営業利益:6,449億4,000万円(同29.0%増)
  • 税引前中間利益:6,059億9,900万円(同32.4%増)
  • 最終利益(親会社の所有者に帰属する中間利益):4,318億2,900万円(同35.0%増)
  • 基本的1株当たり中間利益:243.24円(前年同期180.19円)

3. 事業モデル:たばこ事業に軸を絞った収益構造に

医薬事業の切り出しにより、同社は現在「たばこ事業」と「加工食品事業」の2つを報告セグメントとしています。中間期の外部売上収益で見ると、たばこ事業が1兆9,055億9,300万円と全体の96%程度を占め、加工食品事業(冷凍・常温加工食品や調味料等)は792億3,700万円にとどまります。加工食品事業の調整後営業利益も40億7,000万円と小規模で、同社の業績はほぼたばこ事業の動向によって決まる構造になっているのが特徴です。

4. たばこ事業は全クラスターで増収増益

たばこ事業を地域別に見ると、同社は世界の事業拠点を「Asia(日本を含むアジア全域)」「Western Europe(西欧)」「EMA(アフリカ・中近東・トルコ・南北アメリカ大陸等)」の3クラスターに分けて開示しています。中間期の自社たばこ製品売上収益と調整後営業利益は以下のとおりで、3クラスターすべてが増収増益となりました。

  • Asia:売上収益4,575億3,100万円(同9.6%増)、調整後営業利益1,677億8,200万円(同22.6%増)
  • Western Europe:売上収益4,273億1,500万円(同17.5%増)、調整後営業利益1,884億6,400万円(同17.7%増)
  • EMA:売上収益9,435億5,900万円(同25.2%増)、調整後営業利益3,266億5,500万円(同31.8%増)
  • 合計:売上収益1兆8,284億500万円(同19.1%増)、調整後営業利益6,829億200万円(同25.3%増)

特にEMAクラスターの伸びが大きく、全体の増収増益をけん引した格好です。売上の伸び以上に利益が伸びている点から、値上げや高付加価値品へのシフト(プライス・ミックスの改善)が効いているとみられます。

ここまで見てきたように、JTの中間決算は医薬事業を切り出した後の「たばこ一本足」の収益構造のもとで、Asia・Western Europe・EMAの全クラスターが増収増益となる好決算でした。これを受けて同社は通期の業績予想と年間配当をそろって上方修正しています。

この上方修正の内容と配当の詳細、そして決算後に株価が急伸したJT株の現在のバリュエーション(PER・PBR・配当利回り)が今どのような水準にあるのかを解説していきます。