4. 申請漏れで老後資金を失わないために。今日から始める家計の棚卸しと情報収集

年金受給者や働くシニアが利用できる制度には、加給年金や年金生活者支援給付金、雇用保険に関わる給付などがあります。

いずれも対象者や申請先、期限が異なるため、自分が該当するか早めに確認しておくことが大切です。

また、2026年度から在職老齢年金制度の基準額は月65万円へ引き上げられ、働きながら年金を受け取る人の選択肢が広がりました。

老後の収入を考える際は、年金額だけでなく、利用できる給付や就労収入、税金・社会保険料も含めて確認しましょう。

気になる制度がある場合は、日本年金機構やハローワーク、勤務先などに相談してみてください。

5. 【監修者のコメント】この記事の総括とこれからの実務上の注意点

齊藤 慧

シニア向けの公的給付において実務上最もトラブルとなりやすいのが、管轄の異なる『年金』と『雇用保険』を同時に受け取る際の併給調整ルールです。たとえば60代前半で高年齢雇用継続給付を受給すると、在職老齢年金とは別に、老齢厚生年金の一部が強制的に停止となります。

また、年金事務所の窓口でハローワークの給付について案内されることはほぼないでしょう。行政の縦割り構造ゆえに、世帯全体のトータル収入を最大化するための横断的な提案を窓口の担当者に求めることは、仕組み上困難です。

だからこそ、定年退職や再就職といった節目には、ご自身の『ねんきん定期便』と『雇用保険の離職票』を机に並べ、受給できる権利を客観的に洗い出すプロセスが不可欠となります。

単体の給付額に目を奪われるのではなく、年金と給与、給付金を合わせた『全体のキャッシュフロー』がどう変動するかを冷静にシミュレーションし、手続きを進めること。それが確実な生活防衛策です。

参考資料

加藤 聖人