令和8年度の公的年金は、前年度から国民年金(基礎年金)が1.9%の引き上げ、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引き上げとなっています。
年金収入が増えても、それを上回るペースで物価が上昇するという厳しい状況が続いています。
なお、一定の要件を満たす人には公的年金にプラスして「年金生活者支援給付金」が支給されるのをご存じですか。
この給付金は一回限りではなく、給付の要件を満たす限りずっと支給されます。
この記事では、年金生活者支援給付金とは「どのような方が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そしてどのような手続きが必要なのか」を詳しく解説します。
1. 年金生活者支援給付金とは?制度の概要
年金生活者支援給付金は、年金に上乗せして支給される給付金で、以下の3種類があります。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
「老齢・障害・遺族」、それぞれの基礎年金を受給中の人が、公的年金を含めても所得が一定基準以下となる場合に、2カ月に一度、受け取ることができるものです。
2. 年金生活者支援給付金の支給要件
基礎年金を受給している人のうち、年金等の収入や所得の合計額が一定基準以下となる場合、「年金生活者支援給付金」がもらえる可能性があるとわかりました。
本章では「年金生活者支援給付金」の具体的な支給要件について、3種類にわけて見ていきましょう。
2.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件
まず老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
2.2 障害年金生活者支援給付金の支給要件
下記の支給要件をすべて満たす場合、障害年金生活者支援給付金の支給対象となります。
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
2.3 遺族年金生活者支援給付金の支給要件
下記の支給要件をすべて満たす場合、遺族年金生活者支援給付金の支給対象となります。
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
3. 年金生活者支援給付金の給付額
年金生活者支援給付金には、「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類があり、公的年金に上乗せして支給されます。
ここでは気になる金額について見ていきましょう。
3.1 2026年度における年金生活者支援給付金の給付額
2026年度の年金生活者支援給付金の給付金額は、2025年度に比べて3.2%引き上げられています。
- 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級7025円・2級5620円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円
4. 年金生活者支援給付金の請求手続き
本章では「年金生活者支援給付金の請求手続き」を解説します。
すでに公的年金を受給している人のうち、新たに年金生活者支援給付金の支給対象となった人には、日本年金機構からお知らせを兼ねた請求書が届きます。
4.1 手続きの流れ:基礎年金を受給している場合
- 毎年9月の第1営業日から順次、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されてくる
- 2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は電子申請が利用できる
- 電子申請を利用しない場合は、必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函
なお、支給要件に当てはまるかどうかが確認できない人には「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」および「所得情報等を確認するための所得状況届」が届きます。
続いて、年金自体を新規で請求する場合のフローを確認しましょう。
4.2 手続きの流れ:老齢基礎年金を新規で請求する場合
- 65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封して送付
- 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と併せて年金事務所に提出
※障害年金生活者支援給付金および遺族年金生活者支援給付金の対象者のうち、基礎年金を初めて新規で請求する方(年金と給付金を同時に請求する方)は、給付金の請求書が自動的に郵送されません。年金の請求手続きとあわせて、ご自身で年金事務所や市区町村の窓口で給付金の請求手続きを行う必要があります。
4.3 年金生活者支援給付金はいつ支給されるのか
年金生活者支援給付金は、公的年金と同じく偶数月の15日に支払われます。なお、15日が土日または祝日のときは、その直前の金融機関の営業日に前倒しとなります。
例えば10月に給付されるのは、8月分・9月分の給付金です。
年金の受取口座と同じ口座に振り込まれますが、通帳にはそれぞれ別の振込として記載されます。
5. 老後、公的年金だけでやりくりできている高齢者世帯の割合
年金だけで生活している高齢者世帯は、実は多くありません。
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、その割合は43.4%であることがわかっています。
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
残りの56.6%の高齢者世帯は、公的年金や恩給以外の所得で生活費を補填していることがわかります。
公的年金のみで生活できない可能性も念頭に置いて、老後計画を立てる必要があるといえるでしょう。
6. まとめ
この記事では、年金生活者支援給付金について、3つの種類(老齢・障害・遺族)ごとの支給要件や2026年度の給付額、請求手続きの流れなどを解説しました。
本文でも触れたように、高齢者世帯の半数以上は公的年金以外の所得で生活費を補っているのが現状です。
年金収入だけでは生活が厳しいと感じる場面も少なくないかもしれません。
だからこそ、年金生活者支援給付金のような公的な支援制度を正しく理解し、ご自身が対象となる場合にはきちんと活用することが大切になります。
日本年金機構から請求書が届いた方は、忘れずに手続きを進めましょう。
まずはご自身やご家族が支給要件に当てはまるか、この記事を参考に確認してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金手続きのご案内リーフレット」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
和田 直子