2026年(令和8年)に65歳を迎える方の国民年金(老齢基礎年金)の満額は、月額7万608円です。

この金額を受け取るためには、20歳から60歳までの40年間、保険料を欠かさず納め続ける必要があります。では、今年65歳になる方が40年間で実際に支払ってきた保険料の総額は、いくらになるのでしょうか。

本記事では、保険料の変遷を年代別に振り返りながら、支払総額や「元が取れる」年齢の試算、さらに現在の若い世代との負担の違いまで見ていきます。

1. 2026年に65歳になる方の国民年金、満額はいくら?

令和8年度の老齢基礎年金の満額は、月額7万608円(年額84万7296円)です。前年度より月額1300円アップしています。

この満額を受け取るには、加入が義務付けられている20歳から60歳までの40年間(480カ月)にわたり、保険料をすべて納付していることが条件です。保険料の未納や免除期間がある場合は、その分が差し引かれて支給されます。

※国民年金の保険料納付義務は、20歳の誕生日が含まれる月から始まり、60歳の誕生日が含まれる月の前月まで続きます。

なお、年金の受給額は賃金や物価などの変動を背景に毎年度見直しが行われます。今後、数年後・数十年後に実際にいくら受け取れるかは、現時点では確定していません。

2. 【年代別】国民年金保険料の変遷(1981年〜2021年)

国民年金の保険料は、その時々の社会経済の状況を反映して毎年改定されてきました。

ここでは、2026年に65歳になる方(1961年・昭和36年生まれ)が保険料を納めてきた期間、1981年(昭和56年)から2021年(令和3年)までの推移を見ていきましょう。

2.1 20歳から40歳までの保険料

国民年金保険料の変遷1/4

国民年金保険料の変遷

出所:日本年金機構「国民年金保険料の変遷」をもとにLIMO編集部作成

  • 20歳(1981年4月〜1982年3月):月額4500円(年額5万4000円)
  • 21歳(1982年4月〜1983年3月):月額5220円(年額6万2640円)
  • 22歳(1983年4月〜1984年3月):月額5830円(年額6万9960円)
  • 23歳(1984年4月〜1985年3月):月額6220円(年額7万4640円)
  • 24歳(1985年4月〜1986年3月):月額6740円(年額8万880円)
  • 25歳(1986年4月〜1987年3月):月額7100円(年額8万5200円)
  • 26歳(1987年4月〜1988年3月):月額7400円(年額8万8800円)
  • 27歳(1988年4月〜1989年3月):月額7700円(年額9万2400円)
  • 28歳(1989年4月〜1990年3月):月額8000円(年額9万6000円)
  • 29歳(1990年4月〜1991年3月):月額8400円(年額10万800円)
  • 30歳(1991年4月〜1992年3月):月額9000円(年額10万8000円)
  • 31歳(1992年4月〜1993年3月):月額9700円(年額11万6400円)
  • 32歳(1993年4月〜1994年3月):月額1万500円(年額12万6000円)
  • 33歳(1994年4月〜1995年3月):月額1万1100円(年額13万3200円)
  • 34歳(1995年4月〜1996年3月):月額1万1700円(年額14万400円)
  • 35歳(1996年4月〜1997年3月):月額1万2300円(年額14万7600円)
  • 36歳(1997年4月〜1998年3月):月額1万2800円(年額15万3600円)
  • 37歳(1998年4月〜1999年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)
  • 38歳(1999年4月〜2000年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)
  • 39歳(2000年4月〜2001年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)
  • 40歳(2001年4月〜2002年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)

2.2 41歳から59歳までの保険料

国民年金保険料の変遷2/4

国民年金保険料の変遷

出所:日本年金機構「国民年金保険料の変遷」をもとにLIMO編集部作成

  • 41歳(2002年4月〜2003年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)
  • 42歳(2003年4月〜2004年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)
  • 43歳(2004年4月〜2005年3月):月額1万3300円(年額15万9600円)
  • 44歳(2005年4月〜2006年3月):月額1万3580円(年額16万2960円)
  • 45歳(2006年4月〜2007年3月):月額1万3860円(年額16万6320円)
  • 46歳(2007年4月〜2008年3月):月額1万4100円(年額16万9200円)
  • 47歳(2008年4月〜2009年3月):月額1万4410円(年額17万2920円)
  • 48歳(2009年4月〜2010年3月):月額1万4660円(年額17万5920円)
  • 49歳(2010年4月〜2011年3月):月額1万5100円(年額18万1200円)
  • 50歳(2011年4月〜2012年3月):月額1万5020円(年額18万240円)
  • 51歳(2012年4月〜2013年3月):月額1万4980円(年額17万9760円)
  • 52歳(2013年4月〜2014年3月):月額1万5040円(年額18万480円)
  • 53歳(2014年4月〜2015年3月):月額1万5250円(年額18万3000円)
  • 54歳(2015年4月〜2016年3月):月額1万5590円(年額18万7080円)
  • 55歳(2016年4月〜2017年3月):月額1万6260円(年額19万5120円)
  • 56歳(2017年4月〜2018年3月):月額1万6490円(年額19万7880円)
  • 57歳(2018年4月〜2019年3月):月額1万6340円(年額19万6080円)
  • 58歳(2019年4月〜2020年3月):月額1万6410円(年額19万6920円)
  • 59歳(2020年4月〜2021年3月):月額1万6540円(年額19万8480円)

3. 今年65歳の方が40年間で支払った国民年金保険料の合計額

2026年に65歳を迎える方が、20歳になった1981年(昭和56年)から60歳直前の2021年(令和3年)3月までの40年間(480カ月)、保険料を納め続けた場合の負担総額は577万1280円です。

保険料の推移は以下の通りです。

  • 昭和56年度(スタート時): 月額4500円
  • 平成5年度: 初めて月額1万円を突破
  • 令和2年度(最後の1年): 月額1万6540円

なお、令和8年度(2026年度)の国民年金保険料は月額1万7920円です。昭和56年度の当時と比べると、約4倍にまで上昇しています。

3.1 現在の若い世代が40年間納め続けると?

仮に、今後40年間現在の保険料(月額1万7920円)が変わらないと仮定した場合、総負担額は以下のように膨らみます。

1万7920円 × 12カ月 × 40年 = 860万1600円(約860万円)

今年65歳を迎える世代の負担額(約577万円)と比べると、約283万円もの差があります。

数値だけを見ると、保険料水準の上昇によってこれからの世代の負担がより重くなっているように思えます。

ただし、日本の年金制度は物価や賃金の変動に合わせて受給額が改定される仕組み(物価スライド・賃金スライド)になっています。

将来的に年金受給額自体も現在の水準より引き上げられる可能性があるため、現時点の金額だけで単純に「損得」を比較することはできません。

3.2 「何年で元が取れる?」試算

令和8年度の満額(月額7万608円)を65歳から受け取り始めた場合、年間の受取額は以下のとおりです。

7万608円 × 12カ月 = 84万7296円(年間)

支払総額577万1280円をこの年額で割ると…

577万1280円 ÷ 84万7296円 ≒ 6.8年

つまり、65歳から受給を開始した場合、約6年10カ月後=71歳10カ月で元が取れる計算になります。その後は生涯にわたって年金が支給され続けるため、長生きするほど「お得」になる仕組みといえます。

ただし、これはあくまで令和8年度の満額をベースにした試算です。実際の受給額は今後の改定によって変わり得ます。

4. いまのシニア世代の「国民年金」平均月額はいくら?

参考までに、現在の国民年金受給者の平均受給額を確認しておきましょう。

厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均年金月額は以下の通りです。

  • 全体平均:5万9310円
  • 男性平均:6万1595円
  • 女性平均:5万7582円

受給額の分布(全体:3345万4617人)は以下の通りです。

国民年金:年金月額階級ごとの受給権者数グラフ3/4

国民年金:年金月額階級ごとの受給権者数グラフ

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1万円以上〜2万円未満:21万3583人
  • 2万円以上〜3万円未満:68万4559人
  • 3万円以上〜4万円未満:206万1539人
  • 4万円以上〜5万円未満:388万83人
  • 5万円以上〜6万円未満:641万228人
  • 6万円以上〜7万円未満:1715万5059人
  • 7万円以上:299万7738人

受給額が月1万円未満から7万円以上まで大きな幅があることがわかります。満額に近い受給額を得るには、長期にわたる保険料の納付実績が重要です。

5. 年金を増やす方法:付加保険料とは

将来の国民年金を少しでも増やしたい場合、「付加保険料」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

付加保険料は、毎月の国民年金保険料(令和8年度:1万7920円)に月400円を上乗せして納付することで、将来受け取る老齢基礎年金を増額できる仕組みです。

  • 【付加保険料】月400円 × 12カ月 = 年間4800円
  • 【増える年金額】月200円 × 12カ月 = 年間2400円
  • 【メリット】この増額分(年2400円)を2年間受け取ると、納めた総額(4800円)と同額になる

つまり、受給開始から2年経過すれば元が取れ、それ以降は毎年2400円が生涯にわたって上乗せ支給され続けます。コストパフォーマンスが非常に高い制度として知られています。

対象となるのは主に国民年金の第1号被保険者(自営業者、フリーランス、学生など)や、65歳未満の任意加入被保険者です。

6. まとめ:保険料の変遷と将来への備え

今回は、2026年に65歳になる方が支払ってきた国民年金保険料の変遷を振り返りました。

40年間の総負担額は約577万円。65歳から満額を受け取り始めると、約6年10カ月で元が取れる計算です。

一方、現在の若い世代が同じ40年間、現行の保険料を納め続けると総額は約860万円にのぼります。保険料の水準が上昇し続けてきたことが、世代間の負担差として如実に表れています。

公的年金は老後の生活を支える基盤ですが、受給額は毎年度の改定により変わり得るものです。保険料をしっかり納めながら、ご自身でも老後資金を準備していくことが、これからの時代には重要になるでしょう。

国民年金保険料の変遷4/4

国民年金保険料の変遷

出所:日本年金機構「国民年金保険料の変遷

 

参考資料

和田 直子