厚生年金や国民年金は、原則として65歳から支給開始となります。近年は定年退職後も仕事を続ける方が増えていますが、65歳以降は働かずに年金生活に入る方もいます。年金生活は自分の好きなことに時間を使える一方で、やはり経済的なことが気になるのも事実です。
厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況」によれば、平均寿命は男性で81.35年、女性で87.33年となり、前年と比較して男性は0.25年、女性は0.20年増えており、今後も延びていくことが考えられます。
長くなるだろう老後について、生活費は1ヵ月にどのくらいかかるのか、年金はいくらもらえるのかなど心配になる方もいるでしょう。
女性の平均寿命は41年連続日本が1位です。いま30歳代、40歳代、50歳代の方は、自身の老後は思ったよりも長いのかもしれないと感じる方もいるでしょう。長生きは喜ばしいことですが、希望の老後生活を送るためにも、現役時代から計画的に備えていきたいものですね。
そこで本記事では、65歳以上の無職夫婦世帯の1ヵ月の生活費や貯蓄額、年金受給額について詳しく解説していきます。
1. この記事を読んでわかる3つのポイント
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65歳以上の無職夫婦世帯は、毎月およそ4万2400円の赤字。20年で約1018万円の不足に -
65歳以上世帯の貯蓄は平均2564万円・中央値1777万円。厚生年金の平均は月15万289円 -
年金を増やす「繰下げ受給」は1ヵ月0.7%・最大84%増額。ただし手取りで考えたい注意点も
2. 65歳以上無職夫婦世帯の「1ヵ月の生活費」はいくら?延びる平均寿命「生活費の赤字」の把握を
まずは老後の暮らしとして平均的な生活費を見ていきましょう。総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、一般的な65歳以上の無職夫婦世帯の家計は以下の通りです。
2.1 65歳以上の無職夫婦世帯の生活費(消費支出)
- 実収入:25万4395円
- 非消費支出(税・社会保険料):3万2850円
- 消費支出:26万3979円
- 収支:▲4万2434円
公的年金を主とする実収入25万4395円から、社会保険料や税金などの非消費支出3万2850円と、消費支出26万3979円を差し引くと、毎月4万2434円の赤字となっています。
毎月約4万2400円の赤字は、1年間ではおよそ51万円になります。85歳までの20年間ではおよそ1018万円、95歳までの30年間ではおよそ1528万円の赤字となる計算です。これはあくまで生活費の不足分であり、まとまった出費が重なれば、不足額はさらに膨らむ可能性もあります。支出の内訳もみておきましょう。
2.2 消費支出の内訳
- 食料:7万8964円
- 住居:1万7739円
- 光熱・水道:2万3540円
- 家具・家事用品:1万1237円
- 保健医療:1万7941円
- 交通・通信:3万1325円など
食料費が7万円超と最も高くなっており、消費支出全体の約3割を占めています。光熱費や医療費といった費用の負担も増す中で、物価高騰により食料費の割合が高くなることは、年金生活を送る高齢者世帯にとって深刻なリスクとなるでしょう。
3. 65歳以上&65歳以上無職夫婦世帯の平均貯蓄額はいくら?
65歳以上世帯主が65歳以上の世帯(二人以上の世帯)」について、総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)」をもとに確認していきます。
3.1 貯蓄額の平均値は2564万円、中央値は1777万円
世帯主が65歳以上の世帯(二人以上世帯)の貯蓄額は、平均値が2564万円、中央値が1777万円です。平均値の2564万円だけを見ると、十分な老後資金を準備している世帯が多いという印象を受けます。しかし、より実情に近いとされる中央値が1777万円であることから、実際の平均額はこれよりも少なくなると考えられます。
実際に100万円未満は7.7%、100万円~200万円未満は3.7%、200万円~300万円未満は3.4%など、まとまった貯蓄を保有していない世帯もあります。
最も多いのは4000万円以上で21.1%です。以前、「老後資金は2000万円が不足する」という試算が話題となりましたが、2000万円以上ある世帯は44.5%と半数に満たない状況です。
なお、65歳以上で無職夫婦世帯にすると2025年は平均貯蓄額で2494万円です。
2020年から2024年にかけては増加傾向にあり、268万円増加していましたが、2025年は2494万円となり前年から減少しました。近年まで増加していた理由として、まず「人生100年時代」といわれる長寿への不安から、お金を使わずに手元に残す「守りの生活」の傾向が強まっていたことが挙げられます。
また、投資商品などで資産運用を継続し、資産が減るスピードを抑えたり増やしたりしている世帯も増えていることも理由の一つと考えられます。
4. シニア世代の平均年金受給額はいくら?
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金・国民年金の平均受給額は以下の通りです。
4.1 【厚生年金】※国民年金部分を含む
- 全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
4.2 【国民年金】
- 全体:5万9310円
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
厚生年金は全体で15万289円ですが、男女差が大きく、女性は男性より5万8000円ほど少なくなっています。厚生年金は現役時代の年収や加入期間で決まるため、出産・育児・介護などで働き方が変わりやすかった女性は、受給額も少なくなりがちです。
一方、国民年金は保険料の納付月数で決まるため男女差が小さく、平均は5万9310円です。厚生年金を月15万円ほど受け取る世帯の家計もあわせてみておくと、年金だけに頼る暮らしのイメージがつかみやすくなるでしょう。
老後でもまとまった出費が生じる可能性があるうえに、就労により収入を得ることが難しいケースもあるため、可能な限り現役時代のうちに老後資金の準備を始めることを心がけることが大切です。
「年金は65歳から受け取るもの」と思い込んでいる方は少なくありません。ですが、受け取りを遅らせることで、生涯にわたって受け取る年金額そのものを増やせる仕組みがあります。毎月の赤字が気になる年金生活だからこそ、まずは「増やす」という選択肢を、具体的に確認していきましょう。



