6. 老後の家計構造の変化:「ひとり暮らし」になっても生活費は半減しない

退職して年金生活に入ると、収入水準が下がるだけでなく家計の構造自体が変化します。

総務省の2025年「家計調査」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯のひと月の消費支出は平均26万3979円です。

ここで注意したいのが、「もし自分や配偶者が一人になったら、生活費も半分になるだろう」という思い込みです。

同調査によると、65歳以上の単身無職世帯の消費支出は平均14万8445円となっています。

夫婦世帯の消費支出の半分(約13.2万円)にはならず、実際には6割近い費用がかかっていることが分かります。

これは、食費などの変動費は減っても、住居費や基本の光熱水費といった「固定費」は人数が半分になっても半減しないためです。

単身世帯の可処分所得(手取り)は平均11万8465円にとどまり、毎月約3万円の赤字を貯蓄から補填しているのが実態です。

前述のように、遺族年金や年金分割があったとしても、二人暮らしからひとり暮らしになった途端に世帯収入が大きく減少する一方で、生活費は思ったほど下がらないというシビアな現実を想定しておく必要があります。