7. 青天井の医療費を防ぐ「高額療養費制度」。対象になる費用・ならない費用
後期高齢者医療制度では、医療機関の窓口で1割〜3割の自己負担が発生しますが、入院や手術などで医療費が高額になった場合には、「高額療養費制度」によって自己負担額に上限が設けられています。
そのため、医療費が際限なく増え続けるわけではなく、一定額を超えた分については後から払い戻しを受けられる仕組みになっています。
高齢世帯では、「大きな病気になったら医療費を払い切れないのではないか」と不安を感じることもありますが、実際には公的医療保険制度の中に、家計負担を軽減するための仕組みが整備されています。
7.1 自己負担の上限額は所得区分によって異なる
高額療養費制度の自己負担上限額は、年齢や所得区分によって異なります。以下は70歳以上を対象とした高額療養費制度の自己負担額です。
後期高齢者医療制度では、1割負担・2割負担・3割負担それぞれに応じて、1カ月あたりの自己負担限度額が設定されています。
例えば、一般的な所得水準の世帯であれば、外来のみの場合は月1万8000円程度、外来と入院を合わせた世帯単位でも月5万円台程度が一つの目安となります。
一方、現役並み所得者として3割負担に該当する世帯では、自己負担限度額も高めに設定されており、所得区分によっては8万円超から20万円台となるケースもあります。
つまり、同じ医療サービスを受けた場合でも、所得区分によって実際の自己負担額には大きな差が生じる仕組みになっています。
7.2 長期入院や手術時の家計負担を和らげる仕組み
高額療養費制度は、とくに入院や手術などで医療費が一時的に高額になる場面で、家計への急激な負担増を和らげる役割を果たしています。
また、過去12カ月以内に高額療養費の支給を複数回受けた場合には、「多数回該当」という制度によって、自己負担限度額がさらに引き下げられることがあります。
さらに、「限度額適用認定証」やマイナ保険証を利用することで、窓口での支払いをあらかじめ自己負担限度額までに抑えられる場合もあり、一時的な立て替え負担を軽減しやすくなっています。
7.3 「制度を知っているか」で安心感は変わる
もちろん、差額ベッド代や入院時の食事代、先進医療にかかる費用など、高額療養費制度の対象外となる支出もあります。
それでも、公的医療保険には一定以上の医療費負担を抑える仕組みが用意されているため、「医療費が青天井になるわけではない」という点は、老後資金を考えるうえで重要な視点といえるでしょう。
特にシニア世帯では、不安を必要以上に大きくするのではなく、制度の内容を正しく理解したうえで、現実的な資金計画を立てていくことが大切になります。
