株式会社帝国データバンクが6月11日に公表した「2026年夏季賞与の動向アンケート」によれば、企業の37.1%で夏のボーナスが増加し、正社員1人当たりの平均支給額は47.7万円(前年比1.8万円増)となる見通しです。
こうした収入増のニュースを目にする機会が増える一方で、日々の生活費や将来への備えに不安を感じている方も少なくないでしょう。
筆者は現在IFAとして主に子育て世代やシニア世代の資産運用・老後資金準備をサポートしていますが、まずは世間の平均的なデータを知ることが将来の計画を立てる第一歩だとお伝えしています。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、40歳代から70歳代にかけての貯蓄額は、世帯構成や年代によって大きな差が見られます。
一見すると順調に資産が増えているように見える「平均値」ですが、より実態に近い「中央値」や貯蓄額の分布を見ると、また違った現実が浮かび上がってきます。
この記事では、J-FLECの最新データを基に、年代別・世帯別の平均貯蓄額、中央値、そして手取り収入からの貯蓄割合を詳しく解説します。
1. 年代別の貯蓄額はいくら?平均と中央値で見る40〜70歳代の実態
まずは、年代別の「平均貯蓄額」から具体的に確認していきましょう。
1.1 単身世帯(40〜70歳代)の貯蓄額:平均値と中央値の比較
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」を基に、単身世帯の平均貯蓄額を年代ごとに見ていきます。
※本調査における金融資産とは、預貯金に加えて株式、投資信託、生命保険などを含んだものです。ただし、日常的な支払いに利用する普通預金口座の残高は集計対象外となっている点にご留意ください。
【年代:平均値/中央値】
- 40歳代:859万円/100万円
- 50歳代:999万円/120万円
- 60歳代:1364万円/300万円
- 70歳代:1489万円/500万円
1.2 二人以上世帯(40〜70歳代)の貯蓄額:平均値と中央値の比較
次に、同じく金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」から、二人以上世帯の平均貯蓄額を40歳代から70歳代まで見ていきましょう。
【年代:平均値/中央値】
- 40歳代:1486万円/500万円
- 50歳代:1908万円/700万円
- 60歳代:2683万円/1400万円
- 70歳代:2416万円/1178万円
平均貯蓄額だけを見ると、物価上昇が続く状況下でも、各世帯の資産は順調に増加しているかのように見えるかもしれません。
しかし、平均値は一部の富裕層の資産額によって大きく引き上げられる傾向があります。そのため、「一般的な世帯」の実情を反映した数値として捉えるには注意が必要です。
より実態に近いとされる中央値に目を向けると、貯蓄額が1000万円を超えるのは、二人以上世帯の60歳代からという結果になっています。
2. 【図解】円グラフで見る年代別の金融資産保有額
次の章では、年代ごとに「貯蓄100万円未満」と「貯蓄2000万円以上」の世帯がそれぞれどのくらいの割合を占めているのかを見ていきましょう。
3. 貯蓄格差の実態:年代別「貯蓄100万円未満」と「2000万円以上」の世帯割合
前の章で確認した平均値と中央値の乖離からもわかるように、貯蓄額には年代内で大きなばらつきがあり、十分な資産を形成できていない世帯も少なくないのが現状です。
ここからは世帯タイプ別に、各年代で「貯蓄100万円未満」と「貯蓄2000万円以上」の世帯がどの程度の割合を占めるのかを明らかにします。
3.1 単身世帯における貯蓄100万円未満と2000万円以上の割合
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」から、単身世帯における「貯蓄100万円未満(金融資産非保有を含む)」と「貯蓄2000万円以上」の割合を抽出しました。
【単身世帯:年代・貯蓄100万円未満の割合・貯蓄2000万円以上の割合】
- 40歳代:47.2%・12.7%
- 50歳代:45.3%・15.9%
- 60歳代:39.5%・21.1%
- 70歳代:27.5%・25.4%
3.2 二人以上世帯における貯蓄100万円未満と2000万円以上の割合
同様に、J-FLECの「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」より、二人以上世帯の「貯蓄100万円未満」と「貯蓄2000万円以上」の割合を見ていきます。
- 40歳代:28.8%・21.3%
- 50歳代:24.7%・26.9%
- 60歳代:17.5%・39.6%
- 70歳代:15.4%・37.5%
世帯構成にかかわらず、どの年代においても全体の2割から4割の世帯が、貯蓄をほとんど保有していない状況が見て取れます。
一方で、2000万円以上の貯蓄を持つ世帯は、40歳代から50歳代では約1割から2割、60歳代や70歳代でも2割から4割程度となっており、多数派ではないことがわかります。
このような貯蓄分布を見ると、現役世代が毎月の手取り収入からどれくらいを資産形成に回しているのか、その実態も気になるところです。
次の章では、40歳代から70歳代の各年代が、収入のうちどの程度を貯蓄に充てているのかを掘り下げていきます。
4. 手取り収入から貯蓄へ!40〜70歳代の平均貯蓄割合は何パーセント?
最後に、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」を基に、40歳代から70歳代の手取り収入に対する貯蓄割合を見ていきましょう。
4.1 単身世帯の平均貯蓄割合:手取り収入をどう振り分けているか
J-FLECの同調査によると、単身世帯が年間の手取り収入から預貯金に回している平均割合は以下の通りです。
- 40歳代:17%
- 50歳代:16%
- 60歳代:20%
- 70歳代:23%
※金融資産保有世帯のうち金融資産に振り分けた世帯
また、年間の手取り収入のうち、債券・投資信託・株式といった金融商品へ振り向けている割合は次のようになっています。
- 40歳代:17%
- 50歳代:12%
- 60歳代:9%
- 70歳代:10%
※金融資産保有世帯のうち金融資産に振り分けた世帯
単身世帯では、年齢を重ねるにつれて、資産を「守る」ことと「増やす」ことのバランスが変化していく様子がうかがえます。
年代が上がるにつれて手取りから預貯金へ回す比率が高まり、特に60歳代以降は将来の支出に備える安定志向が強まる傾向にあります。
その一方で、債券や投資信託、株式への投資割合は40歳代が最も高く、その後は年齢とともに減少しており、運用リスクを抑える方向へシフトしていく流れが読み取れます。
4.2 二人以上世帯の平均貯蓄割合:手取り収入の使い道
続いて、J-FLECの「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」から、二人以上世帯が年間の手取り収入のうち預貯金に充てている平均割合を確認します。
- 40歳代:18%
- 50歳代:17%
- 60歳代:17%
- 70歳代:16%
※金融資産保有世帯のうち金融資産に振り分けた世帯
次に、債券・投資信託・株式へ振り向けている割合を見てみましょう。
- 40歳代:15%
- 50歳代:13%
- 60歳代:10%
- 70歳代:14%
※金融資産保有世帯のうち金融資産に振り分けた世帯
二人以上世帯の場合、預貯金へ回す割合は40歳代から70歳代までを通して大きな変動は見られませんでした。
これは、長期にわたって安定した貯蓄を継続している姿勢の表れといえるでしょう。
他方、債券・投資信託・株式への投資割合は一度減少するものの、70歳代で再び上昇に転じています。
資産運用を完全に停止するのではなく、ライフステージや市況に合わせて継続している様子がうかがえます。
家計全体のバランスを考慮しながら、年代ごとにリスク許容度を柔軟に調整している点が、二人以上世帯の資産形成の特徴といえそうです。
5. まとめ:平均値だけでは見えない貯蓄の実態と向き合う
この記事では、J-FLECの「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとに、40歳代から70歳代までの貯蓄額と、手取り収入に対する貯蓄割合についてご紹介しました。
調査結果を見ると、年代が上がるにつれて平均貯蓄額は増加する傾向にありますが、その一方で、貯蓄額には大きな個人差があることも分かります。
中央値や貯蓄額の分布を確認すると、100万円未満の世帯が一定数存在しており、「平均貯蓄額」が必ずしも多くの人の実態を表しているわけではありません。
そのため、平均額と比較して焦ったり安心したりするのではなく、現在の収入や支出、将来のライフイベントを踏まえ、自分に合ったペースで資産形成を続けることが大切です。
これから教育費や住宅資金、老後資金など、さまざまな支出が控えている方も多いでしょう。夏のボーナスや家計を見直すタイミングを活用し、毎月どれくらい貯蓄や資産運用に回せるのかを改めて確認してみてはいかがでしょうか。