2026年度の年金額は、国民年金で前年度比「+1.9%」、厚生年金で前年度比「+2.0%」の増額となりました。
しかし、年金を受給しているシニア世帯では「年金だけでは生活が苦しい」と感じている人も多いようです。
今回は、2026年度の年金額例や「月15万円以上」受給している人の割合に加え、シニアの生活意識についても詳しく解説します。
1. 【公的年金制度】「2階建て構造」と呼ばれる仕組みとは
日本の公的年金制度は「2階建て構造」であると表現されます。
自営業者や専業主婦などは、1階部分にあたる国民年金のみを受給します。
また、会社員や公務員などの給与所得者は、1階部分の国民年金に加え、2階部分の厚生年金も受給できるのが特徴です。
1.1 《1階部分》国民年金
- 対象者:日本国内に住む20〜60歳未満のすべての人が加入
- 保険料:定額
- 年金額:保険料納付済期間により決定
1.2 《2階部分》厚生年金
- 対象者:会社員・公務員などの給与所得者が加入
- 保険料:所得に応じて定率
- 年金額:現役時代の収入や加入期間などにより決定
2. 【2026年度最新】厚生年金・国民年金の支給額はいくら?
2026年度の年金額は、物価・賃金の変動を受けて増額改定となりました。
- 国民年金(1人分):月額7万608円(満額)
- 厚生年金(標準的な夫婦世帯2人分):月額23万7279円
※厚生年金の月額は、会社員や公務員として平均的な収入(平均標準報酬45万5000円)で40年間就業した夫の「厚生年金+国民年金(満額)」と、厚生年金の加入歴がない妻の「国民年金(満額)」の合計額
上記はあくまでもモデルケースであり、実際の年金額は現役時代の働き方や収入などの条件により変動します。
ご自身の年金見込額は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認してみてください。
3. 【厚生年金+国民年金】「月15万円以上」もらってる人はどのくらいいるの?
厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給権者の平均年金月額は「15万289円」です。
これは、「厚生年金+国民年金」の月額にあたります。
では、厚生年金受給者の平均的な水準である「月額15万円」を受け取っている人はどの程度いるのでしょうか。
3.1 【厚生年金+国民年金】受給額別の受給権数をチェック
年金受給額が月15万円以上の人の割合:49.8%
《受給額別の受給権者数》
- 1万円未満:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上:1万9283人
「厚生年金+国民年金」の受給額が月15万円以上の人は、厚生年金受給者全体の49.8%と半数に満たない結果でした。
国民年金のみの受給者を考慮すると、年金受給者全体における割合はさらに低くなります。
4. シニアの生活意識「年金だけではゆとりがない」が87%以上|物価上昇による影響も
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によれば、60歳代・70歳代のシニアの多くが「年金だけではゆとりがない」と感じていることがわかります。
「ゆとりはないが日常生活費程度はまかなえる」「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と答えた人の割合は、以下のとおりです。
- 二人以上世帯・60歳代:87.1%
- 二人以上世帯・70歳代:87.7%
- 単身世帯・60歳代:91.4%
- 単身世帯・70歳代:87.7%
どの年代においても、87%以上の人が「年金だけではゆとりがない」と感じています。
理由として挙げられているのは、物価上昇や医療費の負担増などです。
昨今では、年金生活への不安や家計の苦しさから、退職後にも働いて収入を得るという選択肢を持つ人が増加しています。
そのような中で、働き方や生き方の多様化に対応すべく、2025年には「年金制度改正法」が成立しました。
次章では、主な改正内容や働くシニアへの影響について解説します。
5. 【年金制度改正】「年収106万円の壁」が撤廃に!働くシニアにどう影響する?
年金制度改正法の全体像は、以下のとおりです。
- 社会保険の加入対象の拡大
- 在職老齢年金の見直し
- 遺族年金の見直し
- 保険料や年金額の計算に使う賃金の上限引き上げ
- 私的年金の見直し など
「社会保険の加入対象の拡大」では、今後3年以内にいわゆる「年収106万円の壁」の撤廃が決定しています。
これまで社会保険料の負担を避けるために年収を調整していた短時間労働者も、勤務時間が週20時間以上であれば、収入金額にかかわらず社会保険に加入することになります。
※企業規模要件は10年かけて段階的に撤廃
社会保険料の支払いによって目先の手取り収入が減ってしまうと、「働き損」であると感じる人も多いでしょう。
しかし、社会保険に加入することで、将来の年金額が増える・病気やけがで休んだ際に傷病手当金を受け取れるといったメリットもあります。
6. おわりに
年金月額「15万円」という数字は、厚生年金受給権者の平均的な水準であることが分かりました。
しかし、厚生年金受給権者の中で月15万円以上受給している人は半数に満たず、国民年金の受給者も含めるとさらに割合が下がります。
また、年金制度改正法により、今後は「年収106万円の壁」の撤廃が予定されています。
退職後もアルバイトやパートタイマーとして働いている人・働く予定がある人は、改正によるご自身の収入への影響についても確認しておくことが重要です。
参考資料
- 厚生労働省「いっしょに検証!公的年金」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
池田 夕華