2026年8月現在、うだるような暑さと共に家計を直撃する生活必需品の物価高。
スーパーでの買い物や毎月の電気代にため息をつき、「将来受け取れる年金はいくらだろうか」「今の働き方で老後の生活は大丈夫だろうか」といった不安を感じている方は少なくないでしょう。
公的年金は、物価や賃金の変動を反映して毎年見直しが行われます。
2026年度は国民年金が1.9%、厚生年金が2.0%の引き上げとなり、4年連続で増額改定されました。増額自体は朗報である一方、実生活のコスト上昇に追いついているのか気になるところです。
1. この記事の3つのポイント
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2026年度の年金額は4年連続の増額(国民年金1.9%・厚生年金2.0%プラス) -
65歳以上の単身無職世帯の家計は、年金収入だけでは毎月約3万円の赤字に -
厚生年金を月額15万円以上受け取れる人は全体の半数未満にとどまる
2. 日本の公的年金制度とは?国民年金と厚生年金の基本的な仕組み
日本の公的年金は、原則としてすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」を1階部分の土台とし、その上に会社員や公務員などが加入する「厚生年金」が上乗せされる「2階建て構造」で成り立っています。
2.1 【1階部分】国民年金(基礎年金)
- 加入対象:原則として日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
- 保険料:加入者全員が定額。ただし、毎年度改定される(※1)
- 受給額:保険料を全期間(480カ月)納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金(※2)を受け取れます。未納期間がある場合は、その期間に応じて満額から減額されます
※1 国民年金保険料:2026年度の月額は1万7920円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2026年度の月額は7万608円
2.2 【2階部分】厚生年金
- 加入対象:会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所(※3)に勤務し、一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入
- 保険料:収入(上限あり)に応じて決まる(※4)
- 受給額:加入期間や納付した保険料によって個人差が生じる
※3 特定適用事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
公的年金の仕組みや、いまどきシニアの受給額事情、さらに老齢年金から天引きされるお金については『【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説』で詳しく解説しています。すでに働き盛りの現役世代の方から、すでに年金生活をスタートされている方まで、みなさんの「年金に関する基礎知識」のアップデートにお役立てください。
3. 2026年度の年金額改定!国民年金1.9%・厚生年金2.0%増額の詳細
2026年度の公的年金は、国民年金が前年度比で1.9%、厚生年金が2.0%引き上げられ、4年連続の増額改定となりました。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):7万608円(1人分 ※3)
- 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※4)
※3 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)です。
※4 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
国民年金のみを受給する場合、満額(※5)でも月額は約7万円です。仮に繰下げ受給(※6)を利用して受給開始を75歳まで遅らせたとしても、月額は13万円に達しません。
※5 国民年金(老齢基礎年金)の満額:国民年金保険料を480カ月納付した場合に、65歳から受け取れる年金額
※6 繰下げ受給:老齢年金の受給開始年齢を66歳~75歳までの間に後ろ倒しする制度。「繰下げ月数×0.7%」の増額率が適用され、75歳で受給開始した場合の増額率は84%。
4. 国民年金だけでは生活が厳しい?高齢単身無職世帯の家計収支を分析
総務省「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」を基に、65歳以上の単身無職世帯における家計のリアルな状況を見ていきましょう。
- 実収入:月平均13万1456円(うち年金等の社会保障給付が12万212円)
- 消費支出:月平均14万8445円
- 非消費支出(税金・社会保険料):月平均1万2990円
支出項目で最も大きな割合を占めるのは「食料(28.7%)」で、そのほか交際費や医療費など多岐にわたる支出があります。
この結果、収入だけでは支出をカバーできず、毎月約2万9980円の赤字(※)が発生しています。国民年金のみで生活する世帯では、実際の生活費との差がさらに大きくなることが推測されます。
※赤字額は、消費支出と税金・社会保険料(非消費支出)を合わせた総支出から実収入を差し引いた数値です
シニア世帯のリアルな家計収支については、『【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説』で詳しく解説しています。リタイア後のマネープランを立てるヒントとして、ぜひお役立てください。
5. 厚生年金はひと月平均15万円。ではこの金額に届く人はどれほどいるの?
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者(基礎年金を含む)の平均受給額は月額15万289円です。
しかし、受給額の分布状況を確認すると、個人による差が非常に大きいことがわかります。
5.1 厚生年金の受給額別に見る受給者数の分布
- 5万円未満:約24万人
- 5万円以上~10万円未満:約282万人
- 10万円以上~15万円未満:約502万人
- 15万円以上~20万円未満:約499万人
- 20万円以上:約303万人
月額15万円以上の厚生年金を受け取っている人の割合は全体の49.8%であり、半数に達していません。
さらに、このデータは厚生年金の加入者のみを対象としています。厚生年金に加入していない自営業者なども含めて考えると、公的年金だけで生活費を十分に賄える人は、決して多くはないのが現状です。
6. 監修者からのコメント
平均月額「約15万円」と聞くと、「自分もそれくらいはもらえるだろう」と安心してしまうかもしれません。
しかし、データの分布を見るとボリュームゾーンは「10万円〜15万円未満」と「15万円〜20万円未満」に大きく二分されており、受給額の個人差が非常に大きいのが現実です。
転職や離職の期間、働き方の変化によって将来の受給額は大きく変動します。
「平均」という言葉に惑わされず、ご自身の「実際の見込み額」を正確に把握することが、老後不安を解消する第一歩となります。




