年金生活者支援給付金の請求書が、毎年9月の第1営業日から順次送られています。この給付金には、遺族基礎年金を受けている方が対象になる遺族年金生活者支援給付金があります。

遺族年金と聞くと、働き盛りの世代が配偶者を亡くしたときの制度というイメージを持つ方が多いかもしれません。ところが厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和6年度」で年齢別の受給権者数を見ると、様子はかなり違います。

遺族年金の受給権者620万2286人のうち、65歳以上が572万1920人を占めていました。

この記事では、遺族基礎年金と遺族厚生年金の額を確認したうえで、遺族年金を受給している方の年代がどこに集まっているのかを見ていきましょう。

1. 遺族年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」に分かれる

年齢の話に入る前に、遺族年金の中身を確認しておきます。遺族年金は1つの年金ではなく、亡くなった方が加入していた制度によって2つに分かれます。

1.1 遺族基礎年金は年84万7300円に子の加算額を足す

遺族基礎年金を受け取れるのは、亡くなった方に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」です。

日本年金機構によると、令和8年4月分からの額は、子のある配偶者が受け取るときで年84万7300円に子の加算額を足した額となります。昭和31年4月1日以前生まれの方は年84万4900円です。

子の加算額は、1人目と2人目がそれぞれ年24万3800円、3人目以降がそれぞれ年8万1300円と決められています。

1.2 遺族厚生年金は老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3

遺族厚生年金の額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。

報酬比例部分は平均標準報酬額と厚生年金保険の加入月数から計算します。そのため、受け取る額は亡くなった方の記録によって一人ひとり変わります。

遺族基礎年金のように全員が同じ額になるわけではない、という点が大きな違いです。

2. 遺族年金を受給する年代で一番多いのは80歳代前半だった

ここからが本題です。厚生労働省の事業年報には、遺族年金の受給権者数を年齢階級別にまとめた統計表があります。

2.1 受給権者620万2286人のうち65歳以上が92.3%

令和6年度末現在の遺族年金受給権者は620万2286人でした。このうち65歳以上が572万1920人で、全体の92.3%にあたります。

64歳以下は48万366人にとどまり、割合にすると7.7%です。遺族年金を受け取っている方の大半が、すでに老齢年金を受け取る年代に入っていることになります。

2.2 最も多いのは80歳から84歳の128万9124人

年齢階級ごとに見ると、最も多いのは80歳から84歳の128万9124人で、全体の20.8%を占めていました。

次いで90歳以上が125万7608人(20.3%)、85歳から89歳が122万8187人(19.8%)と続きます。80歳以上を合わせると377万4919人となり、全体の60.9%にあたる計算です。

75歳から79歳の102万3058人(16.5%)まで含めると、75歳以上だけで479万7977人になります。

遺族年金の受給権者は80歳以上に大きく偏っています1/2

令和6年度末現在の遺族年金受給権者数を年齢階級別に並べた棒グラフ

出所:厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報 令和6年度」を参考にLIMO編集部作成

2.3 この数字は「受け取る権利がある人」の数

ひとつ気をつけたいのは、こちらの数字が「受給権者」の人数だという点です。

事業年報では、受給権者の統計表と受給者の統計表が別に用意されています。受給権者には、ほかの年金を選んだことなどにより実際の支払いが止まっている方も含まれます。

そのため、620万2286人がそのまま毎月の振込を受けている人数というわけではありません。年代ごとの分布を見るための数字として読むのが適切です。

遺族基礎年金は令和8年4月分から年84万7300円が基本額です2/2

令和8年度の遺族基礎年金の額と子の加算額を示した表

出所:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」

太田 彩子

後期高齢者医療制度の保険料を計算していた頃、窓口に来られるのはまさにこの年代の方々でした。

年金の種類まで踏み込んだ相談は年金事務所の担当になりますが、手元の通知を一緒に見ながら話すだけでも整理が進むことは多かったと感じています。

3. 遺族年金生活者支援給付金は9月に請求書が送られ始める

年代別の内訳を見てきましたが、9月は遺族年金に関わるお金の手続きが動く月でもあります。受け取れる可能性のある給付金を確かめておきたいところです。

3.1 請求書は9月の第1営業日から順次送られる

日本年金機構は、年金生活者支援給付金の請求書を毎年9月の第1営業日から順次送付しています。新たに対象となる方に送られるもので、届いたら記入して返送する形です。

年金とは別の給付金ですので、年金を受け取っていれば自動的に加算されるというものではありません。

3.2 給付額は月額5620円で、前年の所得に基準がある

遺族年金生活者支援給付金の対象になるのは、遺族基礎年金を受けている方です。前年の所得額が479万4000円に扶養親族の数を38万円で掛けた額を足した範囲に収まっていることが要件として挙げられています。

遺族年金などの非課税の収入は、この所得には含まれません。

給付額は月額5620円です。ただし2人以上の子が遺族基礎年金を受け取っている場合は、この額を子の人数で割った額がそれぞれに支給されますので、1人あたりの額は小さくなります。

3.3 届いていない場合は年金事務所で確かめられる

自分が対象になるかどうかは、所得の状況によって変わります。請求書が届かない場合でも、年金事務所や街角の年金相談センターで確認できます。

役場で後期高齢者医療を担当していた頃も、年金に関する通知は種類が多く、どれがどの手続きのものか分かりにくいという声を窓口で聞くことがありました。1通ずつ差出人と用件を確かめておくと、出し忘れを防ぎやすくなります。