梅雨入りし、蒸し暑さを感じる日が増えてきた2026年6月中旬。
食料品や電気代などの値上げは依然として続いており、家計への影響を気にされている方も多いかもしれません。
こうした状況のなか、国が配分する「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を活用し、独自の給付金や支援策を実施する自治体があります。
「自分の住む街ではどのような支援があるのだろう」と、気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
支援の形は自治体によってさまざまで、所得を問わず全住民を対象とするケースや、「住民税非課税世帯」に限定して手厚い支援を行うケースなどが見られます。
この記事では、東京都内の台東区・足立区・世田谷区の3つの事例を紹介するとともに、給付金の対象としてよく挙げられる「住民税非課税世帯」の仕組みについて詳しく解説します。
※申請期限や金額は自治体によって異なりますので、お住まいの自治体の最新情報を必ずご確認ください。
1. 物価高騰への対策として、低所得世帯などに給付金を支給する自治体が増えています
物価高が長期化し、私たちの生活に与える影響は無視できないものになっています。
特に、家計にゆとりのない世帯にとっては、その打撃はより深刻なものといえます。
このような負担を少しでも軽くするため、国は「重点支援地方交付金」として、各地方自治体へ財源を配分しています。
多くの自治体では、この交付金を使って独自の支援策を実施しており、令和8年3月までに支給を終えたところも多くあります。
財源が限られているなかで支援を必要とする人へ届けるため、「住民税非課税世帯」といった低所得世帯を対象とするケースが多く見られます。
それでは、具体的にどのような形で給付金が支給されているのでしょうか。いくつかの自治体の事例を確認していきましょう。
2. 2026年(令和8年)に給付金を支給する自治体の事例を3つ紹介
給付金を実施するかどうか、またその金額、対象者、申請方法などは、自治体ごとに大きく違います。
詳細が気になる方は、ご自身がお住まいの自治体の最新情報を確認することをおすすめします。
ここでは、それぞれ特徴的な取り組みを行っている3つの自治体の事例を取り上げて紹介します。
2.1 台東区の事例:全世帯への基本給付に加えて非課税世帯へ上乗せする仕組み
台東区では、「食料品等高騰対応給付金」という名称で、課税状況を問わず幅広い世帯を支援する仕組みを整えています。
- 基本給付:令和7年12月19日時点で台東区に住民登録がある全世帯を対象に、1人あたり「5000円」を支給します。
- 上乗せ給付:世帯全員の令和7年度住民税が非課税、または均等割のみ課税の世帯を対象に、1世帯あたり「5000円」を追加で支給します。
基本給付はすべての世帯が対象ですが、それに加えて住民税非課税世帯や均等割のみ課税の世帯には「5000円」が上乗せされる点が、この制度の大きな特徴です。
例えば、4人家族で住民税非課税世帯の場合、基本給付の「2万円」(5000円×4人)に上乗せ分の「5000円」が加算され、合計で「2万5000円」が支給されることになります。
非課税世帯への加算分(区が課税状況を把握できない世帯のみ)を希望する場合、申請期限は令和8年6月30日(必着)と定められています。
多くの世帯では自動的に振り込まれますが、一部では書類の返送が必要な場合もあります。
手元に書類が届いている方は、内容をしっかりと確認しましょう。
期限を過ぎてしまうと給付金を受け取れなくなるので、手続きを忘れないように注意が必要です。
このような「住民税非課税世帯への上乗せ」という仕組みは、台東区だけでなく他の多くの自治体でも見られます。
給付金の話でよく耳にする「住民税非課税世帯」とは、具体的にどのような世帯のことなのでしょうか。
記事の後半で、その要件について詳しく見ていきます。
2.2 足立区の事例:所得を問わず全区民へ1人あたり1万円を給付
足立区では、支援の対象を低所得世帯に絞らず、より多くの区民に届ける取り組みを行っています。
「あだち食料品等物価高支援給付金」は、令和8年1月1日時点で足立区に住民登録があるすべての区民を対象としており、1人につき「1万円」の現金を給付するという内容です。
支給は令和8年2月から順次行われていますが、「申請書」が届いた世帯は、ご自身で手続きをする必要があります。
申請の締め切りは令和8年6月30日と近づいているため、対象となる方は早めに手続きを進めるのがよいでしょう。
2.3 世田谷区の事例:住民税非課税・均等割のみ世帯に1世帯あたり2万円を支給
世田谷区は、令和7年度の住民税が非課税の世帯と、均等割のみ課税されている世帯を対象に、1世帯あたり「2万円」を支給します。
区に口座情報が登録されている世帯への自動的な支給は、令和8年3月25日頃に完了しています。
一方で、口座情報が登録されておらず、「物価高騰生活支援給付金」の確認書兼申請書が郵送された世帯は、ご自身で手続きを行う必要があります。
申請の締め切りは令和8年6月30日で、この日を過ぎると給付金を受け取ることができなくなります。書類が手元にある方は、期限間際ではなく、余裕をもって手続きを済ませておくことをおすすめします。
3. これまでの給付金の流れと全国一律支給の事例
新型コロナウイルス感染症が拡大した時期には、課税状況に関係なく、全国民へ一律で1人あたり「10万円」が支給された事例がありました。
その後も物価高騰への対策として、対象を低所得世帯に限定した給付が、毎年のように実施されてきました。
2024年11月22日に「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」が閣議決定され、それに基づいて実施された給付金は、記憶に新しいかもしれません。
同年12月に成立した2024年度補正予算では、物価高の影響を特に受けやすい「住民税非課税世帯」を対象とした給付金が盛り込まれました。
このとき、1世帯あたり「3万円」が支給され、18歳以下の子どもがいる世帯には、子ども1人あたり「2万円」が加算されました。
それでは、このような給付金の対象となりやすい「住民税非課税世帯」とは、具体的にどのような条件を満たした世帯を指すのでしょうか。
4. 給付金でよく聞く「住民税非課税世帯」とは?3つの要件をわかりやすく解説
給付金の対象者としてよく名前が挙がる「住民税非課税世帯」ですが、これはどのような世帯のことなのでしょうか。
個人が支払う住民税は、前年の所得金額に応じて課される「所得割」と、所得にかかわらず一定額を負担する「均等割」の2種類で構成されています。
4.1 住民税は「所得割」と「均等割」で構成されている
- 均等割:所得額に関係なく、一定以上の所得がある人が一律で負担する税金です。
- 所得割:前年の所得額に基づいて課税される税金で、所得が多いほど税額も高くなります。
「均等割」と「所得割」の両方が課税されない状態が「住民税非課税」です。
そして、世帯に属する全員がこの条件を満たす場合、その世帯を「住民税非課税世帯」と呼びます。
ちなみに、所得割だけが非課税になる場合もありますが、このケースが給付金などの支援対象になるかは自治体によって異なります。
お住まいの自治体のルールを確認しておくとよいでしょう。
4.2 どのような場合に住民税が非課税になるのか?
住民税が非課税となるのは、以下のいずれかの条件に当てはまる人です。
- 生活保護法による生活扶助を受けている人
- 障害者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下の人
- 前年の合計所得金額が、お住まいの市区町村が定める基準額より少ない人
1と2の要件は全国共通ですが、3つ目の所得基準額は自治体によって異なるため注意が必要です。
4.3 神戸市のケースで見る、住民税が非課税になる年収の目安
ここでは例として、兵庫県神戸市のケースを紹介します。神戸市で住民税が非課税になる所得の計算式は「35万円 × (本人 + 同一生計配偶者※ + 扶養親族の人数) + 31万円」です。
ただし、同一生計配偶者や扶養親族がいない単身の方の場合は、合計所得金額が45万円以下であることが基準になります。
※同一生計配偶者とは、納税者と生計を共にしている配偶者で、前年の合計所得金額が58万円以下の人を指します。
この基準を年収に換算すると、単身世帯とそれ以外の世帯では、以下のような目安になります。
単身世帯の場合の目安:合計所得金額が45万円以下
- 給与収入のみの方:年収110万円以下
- 65歳以上で公的年金収入のみの方:年金収入155万円以下
- 65歳未満で公的年金収入のみの方:年金収入105万円以下
同一生計配偶者または扶養親族が1人いる世帯の目安:合計所得金額101万円以下
- 給与収入のみの方:年収166万円以下
- 65歳以上で公的年金収入のみの方:年金収入211万円以下
- 65歳未満で公的年金収入のみの方:年金収入171万3334円以下
単身世帯では、給与収入のみなら年収110万円、65歳以上で公的年金収入のみなら年金収入155万円が、住民税非課税となるおおよそのラインです。
一方、配偶者や扶養している親族がいる世帯の場合、非課税となる収入の上限は高くなります。
特に65歳以上で公的年金収入のみの世帯の場合、扶養親族が1人いると収入の目安は211万円以下となり、単身世帯と比べて基準が大きく緩和されるのが特徴です。
このように、住民税が非課税になるかどうかは、家族構成や収入の種類によって大きく変わることがわかります。
5. まとめ
2026年度(令和8年度)も、「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を活用した、自治体独自の給付金が各地で実施されています。
その内容は自治体によって異なり、台東区のように全世帯への給付に「住民税非課税世帯」への上乗せを加えたり、足立区のように全区民へ一律で支給したり、世田谷区のように非課税世帯などへ手厚く支給したりと、さまざまな形があります。
基本的には申請が不要なケースが多いですが、確認書や申請書が届いた世帯は、ご自身で手続きをしなくてはなりません。
今回紹介した足立区や世田谷区のように、令和8年6月30日を申請期限としている自治体もあるため、手続きを忘れないよう注意が必要です。
「自分も対象になるかもしれない」と思った方は、お住まいの自治体の公式サイトや広報誌などを定期的に確認し、申請漏れがないように早めに行動することをおすすめします。
※当記事は再編集記事です。




