2024年に始まった新NISAは、非課税で資産形成ができる制度として、多くの人から注目を集めています。

将来の老後資金や教育資金の準備を目的に投資を始める人が増える一方で、「どれくらい資産が増える可能性があるのか」「毎月いくら積み立てれば目標額に届くのか」と疑問を持つ人も少なくありません。

新NISAでは、投資で得られた運用益や配当金が非課税となるため、長期・積立・分散投資との相性が良い制度とされています。

菅原 美優

新NISAは非課税の恩恵を長期間受けられる制度ですが、シミュレーション結果はあくまで一つの目安であり、実際の運用成果を保証するものではありません。20代の若手社会人から50代のセカンドキャリアを考える方まで、「将来のためにいくら準備すればいいのか分からない」と感じる人は年代を問わず少なくありません。ご自身のライフプランや家計の状況に合わせて、無理のない金額と期間で取り組むことが何よりも大切です。本記事のシミュレーションも、ぜひご自身の状況に置き換えながら読み進めていただければと思います。

本記事では、新NISAの基本的な仕組みや非課税制度の特徴を整理するとともに、毎月5万円を15年間積み立てた場合や、老後資金2000万円を目指すケースなどをシミュレーションし、長期投資の効果について分かりやすく解説します。

1. この記事の3つのポイント

  •  新NISAは運用益・配当金が非課税で、非課税保有期間は無期限
  •  毎月5万円を15年間積み立てると、利回り次第で資産額は1000万円を超える可能性がある
  •  老後資金2000万円を目指す場合、積立期間を長く取るほど毎月の負担を軽減できる

2. 【基本をおさらい】新NISAを活用すると「運用益や配当金」は非課税になる?

NISA(少額投資非課税制度)は、個人の資産形成を後押しする制度として2014年に始まり、2024年からは制度内容が見直された「新NISA」がスタートしました。

新NISAの大きな特徴は、投資で得た運用益や配当金に税金がかからないことです。

通常、株式や投資信託で得た利益や配当金には約20%の税金が課されます。

しかし、新NISA口座で運用した場合は非課税となるため、利益をそのまま受け取ることができます。

新NISA「非課税」のしくみ1/4

新NISA「非課税」のしくみ

出所:金融庁「NISAを知る」

一方で、新NISAには年間投資枠や対象商品などのルールが設けられているため、制度の内容を理解したうえで利用することが大切です。

2.1 新NISAの非課税制度のしくみをおさらい

新NISAには、次のような特徴があります。

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴2/4

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴

出所:金融庁「NISAを知る」

  1. 非課税保有期間は無期限
  2. 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能
  3. 年間投資枠は、つみたて投資枠「年間120万円」・成長投資枠「年間240万円」
  4. 非課税保有限度額は1800万円(内、成長投資枠1200万円)※枠の再利用可能
  5. つみたて投資枠の投資対象商品は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」
  6. 成長投資枠の対象商品は「上場株式・投資信託等」
菅原 美優

「投資はまとまった資金がある人がするもの」というイメージを持たれがちですが、実際には月々1000円や1万円程度から始められる商品も多く、無理のない金額からスタートできるのが新NISAの魅力です。特に20代・30代のうちは、まずは少額でもよいので口座を開設し、実際に運用を経験してみることをおすすめします。値動きを肌で感じることで、ご自身に合ったリスクの取り方が見えてくるはずです。

投資はまとまった資金が必要というイメージを持たれがちですが、現在では500円や1000円程度から積み立てられる商品も多くあります。

新NISAを利用すれば、少額から株式や投資信託への投資を始めることができます。

次に、毎月一定額を積み立てた場合、15年間でどの程度の資産形成が期待できるのかを試算してみましょう。

3. 【利回り別シミュレーション】毎月5万円を15年間積み立てた場合

ここでは、新NISAを利用して毎月5万円を15年間積み立てた場合の資産額を、想定利回り1~5%でシミュレーションします。

前提条件は次のとおりです。

  • 50歳から65歳までの15年間で老後資金をつくる
  • 積立額は毎月5万円
  • 投資信託は「安定的な運用」を重視した1~5%の商品

シミュレーション結果は以下のとおりです。

【新NISA】想定利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果3/4

【新NISA】運用利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

3.1 想定利回り別「毎月5万円×15年間」の資産額

想定利回り:資産評価額(元本部分は900万円)

  • 年1%:970万6000円
  • 年2%:1048万6000円
  • 年3%:1134万9000円
  • 年4%:1230万5000円
  • 年5%:1336万4000円

毎月5万円を15年間積み立てると、資産額は利回り次第で1000万円を超える可能性があります。

元本は900万円ですが、運用成果によって約70万円~436万円程度の利益が上乗せされる試算となっています。

ただし、運用成果は将来を保証するものではありません。

一般的に、高いリターンを期待するほど価格変動などのリスクも大きくなる点には注意が必要です。

菅原 美優

シミュレーション上は利回りが高いほど資産額も大きくなりますが、リターンが大きい商品ほど値動きの幅も大きくなる傾向があります。ご自身がどの程度の価格変動なら受け入れられるか、リスク許容度を踏まえたうえで商品を選ぶことが大切です。値下がり時に慌てて売却してしまうと、かえって損失を確定させてしまうことにもなりかねません。相場が下がった局面でも積立を継続できるよう、あらかじめ許容できる下落幅を想定しておくと安心です。

4. 【積立額別シミュレーション】50歳から65歳までに2000万円を目指すには?

ここでは、15年間で老後資金2000万円を準備することを想定し、毎月どの程度積み立てる必要があるのかを試算します。

前提条件は、年利3%で投資信託を運用するケースです。

【新NISA】積立金額別「想定利回り3%」積立投資シミュレーション結果4/4

【新NISA】積立金額別「運用利回り3%」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

4.1 積立額別「年利3%・15年間」の資産評価額

毎月の積立金額:資産評価額

  • 1万円:227万円
  • 3万円:680万9000円
  • 6万円:1361万8000円
  • 9万円:2042万8000円
  • 12万円:2723万7000円

※想定利回り:年3%

この試算では、年利3%で15年間運用した場合、毎月9万円の積立を続けることで資産額が2000万円を超える結果となりました。

とはいえ、毎月9万円を積み立て続けることは簡単ではなく、また運用利回りも確実ではないため、想定どおりの結果になるとは限りません。

老後資金づくりでは、積立期間を長く確保することも重要です。

たとえば、年利3%で30歳から65歳まで35年間積み立てる場合は、2000万円を目指すために必要な積立額は毎月約2万7000円まで抑えられます。

このように、早い時期から積立を始めるほど、毎月の負担を軽減しながら資産形成を進めやすくなります。

菅原 美優

住宅ローンや教育費など、ライフステージによって家計の余裕は大きく変わります。積立期間を長く取れるほど毎月の負担は軽くなるため、始めるタイミングを先延ばしにせず、少額からでも早めにスタートすることをおすすめします。特に子育て世代では「教育費が落ち着いてから始めたい」と考える人も少なくありませんが、その分積立期間が短くなり、後から毎月の負担が重くなってしまう点には注意が必要です。

5. 現役FPが提案!毎月5万円の積立が難しい場合に覚えておきたい3つの選択

毎月5万円を積み立て続けることができれば老後資金づくりを進めやすくなりますが、教育費や住宅ローンなどの支出がある現役世代にとっては、決して簡単な金額ではありません。

そのような場合は、次の3つの選択を意識すると無理なく資産形成を続けやすくなります。

5.1 1:少額から始める

新NISAでは、金融機関によっては毎月1000円や1万円程度から積立投資を始めることができます。

最初から高額な積立額を目指す必要はありません。

5.2 2:積立額を柔軟に見直す

積立額は途中で変更できます。

収入や家計の状況に合わせて増減させたり、ボーナス時に追加で投資したりするなど、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

5.3 3:長く続けることを優先する

資産形成では、一度に多く投資することよりも、無理のない金額で長期間続けることが重要です。

積立期間が長くなるほど複利の効果も期待しやすくなるため、継続を最優先に考えるとよいでしょう。

このように、新NISAでは自分の家計に合った金額から積立を始め、状況に応じて積立額を見直しながら長期的に続けることが大切です。

また、積み立てた資産は途中で売却することも可能です。

6. 長期・積立・分散投資を意識して新NISAを活用しよう

本記事では、新NISAの基本的な仕組みや非課税制度の特徴、長期投資の効果、運用シミュレーションについて解説しました。

シミュレーション結果はあくまで一定の条件を前提とした試算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。

投資には価格変動などのリスクが伴うため、自身の資産状況やリスク許容度を踏まえたうえで、長期・積立・分散投資を基本に無理のない範囲で継続することが大切です。

7. 元生命保険会社勤務・現役FPからの相続を見据えた資産形成アドバイス

菅原 美優

教育費や住宅ローンなど支出が多い時期には「投資までは手が回らない」と感じる人は少なくありません。今回ご紹介したとおり、毎月の積立額を無理に増やさなくても、積立期間を長く取ることで着実に資産を積み上げられるのが新NISAの強みです。実際、毎月の負担を抑えながら30年、35年という長いスパンで積み立てた場合、複利効果によって当初の想定を上回る資産評価額になることは珍しくありません。

また、相続診断士の知識を踏まえてお伝えすると、新NISAで積み立てた資産は将来的にご家族へ引き継ぐ財産にもなり得ます。ご自身の資産形成だけでなく、将来相続が発生した際にどう分けたいか、あるいは誰にどう託したいかを早いうちから意識しておくことも、後悔のない資産づくりにつながります。特に複数のお子様がいるご家庭では、資産の分け方を事前に話し合っておくことで、将来的なトラブルを防ぎやすくなるといわれています。

投資は将来を保証するものではないため、まずは無理のない金額で始め、ライフステージの変化に応じて積立額を見直しながら、長期的な視点で続けていただければと思います。ご自身だけで判断が難しい場合は、ファイナンシャルアドバイザーなど専門家に相談しながら、ライフプラン全体のなかで新NISAを位置づけていくこともひとつの方法です。

参考資料

菅原 美優