75歳の誕生日を迎えると、これまで加入していた健康保険から自動的に「後期高齢者医療制度」へ移ります。

医療機関の窓口で支払う割合は1割・2割・3割の3区分に分かれ、何割になるかは前年の所得をもとに毎年8月1日に判定し直される仕組みです。

2025年9月末で2割負担者の外来配慮措置(月3000円上限)が終了し、2026年4月分からは保険料に「子ども・子育て支援金分」の上乗せも始まりました。年金額の改定や物価高が続くなか、自分が3割負担にどれくらい近いのかを正確に押さえておきたい局面です。

そこで本記事では、3割負担になる課税所得・年金収入の水準、2割負担の判定ライン、2026年度の保険料負担まで紹介します。

1. 【75歳以上の医療費】窓口で3割負担になる人「年金収入はいくら?」

後期高齢者医療制度の窓口負担は、原則1割です。一定の所得がある人は2割または3割と段階的に上がる仕組みで、判定は住民税課税所得と年金等収入の二段構えで行われます。

1.1 3割の入口は「住民税課税所得145万円以上」

後期高齢者医療制度で3割負担(現役並み所得者)と判定されるのは、同じ世帯の被保険者の中に住民税課税所得145万円以上の人が1人でもいる場合です。

自己負担割合の判定基準2/4

自己負担割合の判定基準

出所:東京都後期高齢者医療広域連合「自己負担割合」

住民税課税所得は、総所得金額等から各種所得控除を差し引いた後の金額を指し、住民税納税通知書では「課税標準」や「課税される所得金額」と記載されています。

年金収入のみで生活する75歳以上の単身者でこの水準に届くのは、公的年金等控除(110万円)と基礎控除(43万円)を差し引いた残りが145万円以上となる場合です。逆算するとおおむね年金収入298万円程度から課税所得145万円ラインが視野に入ります。月額に直すと約24万8000円で、厚生年金の受給額としては比較的高い水準に該当します。

1.2 収入が383万円未満なら3割の対象外になる負担軽減の判定ライン

課税所得145万円以上に該当しても、世帯の収入が一定額未満であれば3割負担の対象から外れます。世帯に75歳以上の被保険者が1人だけなら年収383万円未満、2人以上なら合計520万円未満が基準です。

自己負担割合の判定基準3/4

自己負担割合の判定基準

出所:東京都後期高齢者医療広域連合「自己負担割合」

同じ世帯に70歳から74歳の被用者保険等の加入者がいる場合は、その人と被保険者の収入合計が520万円未満であれば3割対象外となります。判定は前年の収入をもとに毎年8月1日に切り替わるため、退職金の受取年や不動産売却益が出た年は注意が必要です。

2. 【75歳以上の医療費】窓口で2割負担になる人「判定ライン」課税所得と年金収入の条件

2022年10月に導入された2割負担は、課税所得と年金収入の両方を見る二段構えの判定です。2025年9月末で外来の3000円上限ルールが終わり、対象者は2026年現在、本来の2割を全額窓口で負担しています。

2.1 2割となる基準は「課税所得28万円+年金収入200万円」の二段構え

2割負担は、課税所得と年金収入の2つの条件を両方満たす世帯に適用されます。1つ目の条件は、世帯の被保険者に住民税課税所得28万円以上145万円未満の人がいることです。2つ目の条件は、「年金収入+その他の合計所得金額」が単身世帯で200万円以上、被保険者2人以上の世帯で合計320万円以上あることです。

なお、ここでいう年金収入は公的年金等控除を引く前の金額で、遺族年金や障害年金は計算から除かれます。

厚生労働省の試算では、2割負担となるのは後期高齢者医療被保険者全体のおよそ2割とされています。年金収入のみの単身世帯では、年金額が年200万円を超えると2割負担の判定対象に入ってくる目安です。

2.2 2025年10月から外来の3000円上限ルールが終了

2割負担の導入時には、1割から2割へ急に上がる人の負担増を抑えるため、外来医療の自己負担増加額を月3000円までに抑える配慮措置が用意されていました。この措置の対象期間は2022年10月1日から2025年9月30日までの3年間で、2025年10月以降は終了しています。

配慮措置の終了に伴い、2割負担に該当する人は外来でも本来の2割を窓口で支払う形となりました。通院回数が多い人ほど影響を受けやすいため、医療費の月額がどの程度に収まるか、家計のうえで再確認しておきましょう。

3. 【2026年4月開始】子ども・子育て支援金の上乗せと今後の家計の備え方

2026年4月分から、医療分の保険料率とは別に「子ども・子育て支援金分」の保険料率が新設されました。少子化対策を全世代で支える仕組みで、後期高齢者医療制度の被保険者も対象です。

こども家庭庁の最新試算では、2026年度の後期高齢者医療制度における支援金は被保険者1人あたり平均月額約200円とされています。

4. 6月頃「住民税課税通知書」と7月頃「後期高齢者医療保険料額決定通知書」を確認

2025年9月末で2割負担の配慮措置が終わり、2026年4月からは子ども・子育て支援金分も加わるなど、75歳以上の医療費を取り巻く環境は直近1年で大きく変わりました。負担割合は前年の課税所得と年金収入で毎年8月1日に判定し直されるため、年金額の改定や臨時収入があった年は特に確認が必要です。

毎年6月ごろに届く住民税課税通知書で課税所得を確認し、7月ごろに届く後期高齢者医療保険料額決定通知書とあわせて、自分の負担割合と年間医療費の見通しをアップデートしましょう。判定が変わる節目を逃さず、医療費と保険料を含めた家計プランを最新の制度に合わせて整えていきましょう。

参考資料

苛原 寛