2024年から新NISA制度が開始され、投資をする人が多くなる中で、「そろそろ自分も」と焦りを感じている方も多いのではないでしょうか。

新NISA制度では、積立投資に特化した「つみたて投資枠」が用意されており、年間120万円、つまり「月額10万円」まで非課税で投資を行うことができます。

しかし、いざ毎月10万円の資金があったとしても、「銀行預金に置いておくべきか」「積立投資に回すべきか」と迷う人は少なくありません。

そこで本記事では、つみたて投資枠の上限である「月10万円」を、銀行の普通預金で貯金し続けた場合と、新NISA口座を使って積立投資をした場合とで、10年後にどのくらいの資産差が生まれるのかを徹底的にシミュレーションします。

数字の比較だけでなく、それぞれのメリット・デメリットや、最終的にどちらを選ぶべきかの判断基準まで詳しく解説しますので、ご自身の資産形成の参考にしてください。

1. 月10万円を預金した場合

まずは「毎月10万円を普通預金に入れる」ケースです。

普通預金金利は状況により変動しますが、ここでは現在のメガバンクの金利をイメージし、年金利を0.3%とします。さらに、普通預金の利息からは20.315%の税金が控除されるため、税引後の実質利息として「0.24%」で計算を行います。

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利息シミュレーション(普通預金)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

  • 元本総額:1200万円
  • 運用収益:14万円
  • 最終資産額:1214万円

毎月10万円という決して少なくない金額を10年間積み上げ、元本は1200万円に達しましたが、10年間で得られた利益(利息)はわずか14万円程度という結果となりました。

もちろん、普通預金は「いつでも簡単に現金化できる」「元本割れしない」という強みがあります。とはいえ、10年という時間をかけたとしても、期待できる利益は十数万円程度というのが現実です。

さらに、元本がほとんど増えないことにより、インフレ(物価上昇)にも弱いと言えます。例えば、物価の上昇が金利を上回る場合、預金の額面は減っていなくても、実質的な購買力は目減りしていくことになります。

2. 月10万円をNISA口座で積立投資した場合

次に、新NISAのつみたて投資枠を使って積立投資するケースです。

つみたて投資枠で選択できる投資先は、一定の経済指標と連動した値動きをするインデックスファンド(投資信託)が主な選択肢です。長期的なリターンとしては一般的に年平均4%〜7%程度が現実的な利回りであるため、今回は「年5%」で計算を行います。

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積立シミュレーション(投資信託)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

  • 投資元本:1200万円
  • 運用収益:344万円
  • 最終資産額:1544万円

普通預金との利益差は、なんとおよそ330万円となりました。

同じ「月10万円の積立」でも、置き場所によって結果が大きく変わる可能性があることが分かります。さらに新NISAには、非課税枠内であれば運用益に税金がかからないというメリットがある点も、預金との大きな違いです。

3. 積立投資を開始する際のポイント

今回のシミュレーションの結果だけを見れば、「新NISAを利用した積立投資の圧勝」であり、「預金はしないで全額投資に回そう」と思うかもしれません。しかし、積立投資を開始するためには、抑えておくべき重要な注意点とポイントがあります。

3.1 積立投資は元本保証がない

銀行預金は、お金を「預けている」状態であるため、どんなに不景気になっても、預けた1200万円が額面として減ってしまうことは基本的にありません。

一方で、投資信託等を投資先とした積立投資には「元本保証」がありません。世界の経済状況や株式市場の暴落、為替相場などにより、自分が積み立てた資産の価値が大きく下がる元本割れのリスクがあるのです。

シミュレーションでは右肩上がりで成長をするものとして計算をしていますが、現実の市場は絶えず上下動を繰り返します。長期的に保有することにより価格変動リスクは減少させることが可能ですが、暴落時には資産が一時的、または長期的に大幅に減少する可能性もゼロではありません。

リターンを狙って積立投資を選択するのであれば、この「価格変動リスク」を受け入れる必要があります。

3.2 積立投資の成功のコツは「長期・定額」

元本割れのリスクを最大限に抑え、シミュレーションのようなリターンに近づけるための最強の戦術が「長期・定額」での積立投資です。

毎月、決まった金額で機械的に買い続けることで、価格が高いときには少しの量しか買わず、価格が暴落して安いときにはたくさんの量を買うことができます。これは、ドルコスト平均法と呼ばれる手法で、これにより購入単価が平均化され、高値掴みを避けて価格変動リスクを減らすことができます。

ドルコスト平均法の仕組み4/4

ドルコスト平均法の仕組み

出所:金融庁「NISA早わかりガイドブック」

暴落時などで一時的に資産価値が落ち込んだとしても、目先のマイナスに一喜一憂しすぎずに、長期にわたって淡々と積立を継続することが、最終的なプラスリターンを生み出す最大のポイントになります。

4. 預金と積立投資はどちらを選ぶべき?

ここまで預金と積立投資の違いを見てきましたが、「どちらか一方が絶対的な正解」ということはありません。大切なのは、それぞれの特徴を知って、自分のライフプランに合ったお金の置き場所を選ぶことです。

短期的に使う予定のあるお金や、絶対に減らしてはいけない生活資金などは、銀行預金にしておくのが望ましいです。一方で、生活の余裕資金や、長期的に使う予定のない資産などは、積立投資などの投資に回すことで、インフレリスクを抑えてお金を効率よく育てられる可能性が高いです。

5. おわりに

今回は、「月10万円」という新NISAのつみたて投資枠の上限額を例に、預金と積立投資の10年後の資産の差をシミュレーションしました。

シミュレーション結果では、10年間の利益差は330万円以上にもなり、安定的な成長局面における投資の複利効果が明らかとなりました。

しかし、資産計画を立てるにおいては、「全額預金」か「全額投資」かの二択ではなく、自分の許容範囲を見極めて預金と投資に配分をするといったバランスを見つけることが最も重要です。

10年後、20年後の未来の自分が安心していられるように、まずは少額からでも、ご自身のペースで資産形成の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

【免責事項】

  • 本記事は、公開されている公的資料および一般的な情報に基づき作成されたものであり、特定の制度・金融商品・投資行動を推奨するものではありません。
  • 掲載している数値・制度内容・シミュレーション結果は、一定の前提条件のもとでの試算または一般的な事例であり、実際の金額・支給要件・税制・運用成果等を保証するものではありません。制度内容は法改正・自治体運用・経済状況等により変更される可能性があります。
  • 投資に関する記述は、将来の運用成果を示唆または保証するものではなく、元本割れを含むリスクが存在します。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。最終的な投資判断は、ご自身の責任において行ってください。

参考資料