3. 最新の動向|なぜ「現金給付」に一本化?制度イメージを確認
先述のとおり、給付付き税額控除は、減税と給付の組み合わせが本来の姿です。しかし、話し合いの過程で制度の形は変化する見通しとなっています。
3.1 減税の事務負担を懸念 給付一本化で実施スピードを優先
内閣官房が公表した「給付付き税額控除のイメージ」によれば、事務手続きの効率化と制度の早期実現を重視し、当面は税額控除(減税)の実施を見送り、「現金給付」という形で先行して導入する方針が示されています。
この判断は、過去にイギリスやフランスが制度の複雑さから「減税と給付の併用」をやめ、最終的に給付のみに切り替えた経緯や、日本国内の自治体や企業における事務的な負担を軽減するための現実的な選択といえるでしょう。
3.2 明かされた制度イメージ 子育て世帯と「年収の壁」超過層には上乗せ
5月27日開催の実務者会議では、初めて制度全体のイメージが示されました。従来の方針を踏襲し、支援は所得に応じたものとなる見通しです。
まず、勤労収入がありながらも非課税の人には一定額を給付します。そこから所得が増え、「年収の壁」を超え課税が始まると、所得に応じて給付を逓増させますが、一定の所得に達すると支援額は一律となります。支援額は、所得が一定水準を超えると減少していき、最終的に消失する仕組みです。
これを基本に、子育て世帯には支援を上乗せする方針が示されました。給付額の加算や、所得上限の引き上げといった案が盛り込まれています。
この方針の背景には、日本の現役世代、特に子育てをしている中低所得層の世帯が、他の先進国と比較して社会保険料などの負担が重いという現状があります。さらに、今回の制度設計では、子育て世帯に限定せず、単身者や自営業者なども含めた幅広い層を支援の対象とすることが検討されています。
また「年収の壁」を超える人には上乗せで給付を実施する方針です。社会保険料の発生などで、かえって手取りが減少してしまう人の支援を厚くし、「働き控え」の抑制を狙います。
さらに、支援額の算定は世帯単位ではなく、原則として「個人単位」で行われるため、配偶者の収入を気にして働く時間を調整するといった課題の緩和にもつながると期待されています。


