昭和の時代、「定年=悠々自適な老後」というイメージが一般的だったかもしれませんね。
しかし令和のいま、終わりの見えない物価高や年金の実質的な目減りがシニアの家計を直撃しています。
「年金だけでは不安だから働き続けたい」と考えるのは、必然の生活防衛策と言えるでしょう。
一方で、60歳を境に給与が大きく下がる「役職定年」や「再雇用」の壁に直面し、労働意欲を削がれてしまう方も少なくありません。そんなシニアの強い味方となるのが「雇用保険の給付金」です。
しかし、これらの手厚い制度は「自分から手続きをしないと受け取れない」申請主義のため、知らずに損をしている人がいるかもしれません。
本記事では、60歳を過ぎても働き続けるならぜひ知っておきたい3つの給付金を解説します。
1. この記事の3つのポイント
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シニアの生活安定には「公的年金」と「就労収入」の2本柱が不可欠 -
雇用保険には働くシニア向けの手厚い給付金が3種類あるが、すべて申請が必要 -
制度を有効活用し、貯蓄の取り崩しを遅らせることが老後の生活防衛につながる
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
2. 【申請必須】働くシニアが対象!雇用保険から受け取れる3つの給付金
働く意欲のあるシニア世代を経済面から支援するため、雇用保険から支給される3つの給付金について、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
2.1 再就職手当とは?65歳未満を対象に早期の仕事復帰を後押しする制度
再就職手当は、失業中の人が一日でも早く安定した職業に就けるよう支援するための制度です。
そのため、再就職までの期間が短いほど、給付内容が手厚くなる仕組みになっています。
再就職手当の受給要件
- 対象者:雇用保険の基本手当の受給資格を持つ方
- 支給条件:基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある状態で、雇用保険の被保険者として再就職するなど、定められた要件を満たすことが求められます。
再就職手当の給付率は再就職のタイミングで変動
- 給付額:就職日の前日時点における基本手当の支給残日数に応じて給付率が変わります(計算結果の1円未満は切り捨て)。
- 支給日数が所定給付日数の3分の1以上残っている場合:「支給残日数の60%」
- 支給日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合:「支給残日数の70%」
再就職手当の計算方法
2.2 高年齢雇用継続給付とは?60歳~65歳未満で賃金が減少した際に支給
高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満で就労を継続する方を対象とした給付金です。
60歳時点の賃金と比較して、現在の賃金が75%未満に低下した場合、その低下した分の一部が支給されます。
高年齢雇用継続給付の支給対象条件
- 対象者:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある、60歳以上65歳未満の方
- 支給条件:60歳時点の賃金と比べて75%未満の賃金で働き続けていること
高年齢雇用継続給付の支給額と支給率
- 支給額:各月に支払われる賃金の最高10%に相当する額が支給されます。
※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たした方は15%
高年齢雇用継続給付の早見表(2025年4月1日以降の支給率)
注意点として、老齢年金(厚生年金)を受け取りながらこの給付金を受給した場合、在職老齢年金制度による支給停止とは別に、年金の一部が支給停止となることがあります。その額は最大で標準報酬月額の4%に相当します。
※2025年3月31日以前に支給要件を満たした方は6%
2.3 高年齢求職者給付金とは?65歳以上で離職した際に受け取れる一時金
高年齢求職者給付金は、65歳以上の雇用保険被保険者が離職し、失業状態になった場合に一時金として支給される制度です。
高年齢求職者給付金の受給に必要な2つの条件
- 対象者:65歳以上の雇用保険加入者(高年齢被保険者)で、現在失業状態にある方
- 支給条件:以下の2つの条件を両方満たす必要があります。
- 離職日以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算6カ月以上あること
- 働く意思と能力があり、積極的に求職活動をしているにもかかわらず、就職できていない「失業の状態」であること
高年齢求職者給付金の支給額
- 支給される金額
- 雇用保険の加入期間が1年未満の場合:基本手当の30日分
- 雇用保険の加入期間が1年以上の場合:基本手当の50日分
この給付金の大きな特徴は、一時金として一括で支給される点にあります。
これは、65歳未満の方が受け取る基本手当(いわゆる失業手当)が、原則として4週間に一度、失業認定を受けてから支給される仕組みとは異なります。
3. 筆者からのコメント
今回ご紹介した「高年齢雇用継続給付」には少し注意が必要です。
65歳未満で『特別支給の老齢厚生年金』を受け取っている方がこの給付金をもらうと、給与と年金の合計額による調整(在職老齢年金)とは別に、年金が最大で標準報酬月額の4%分ストップしてしまう仕組みになっています。
せっかく働いているのに手取りが思ったより増えなかった……とならないよう、給付金と年金のバランスを事前にシミュレーションしておきましょう。



