公的年金収入やその他所得の合計額が一定額以下の年金受給者の生活を支援するために、公的年金に上乗せして「年金生活者支援給付金」が支給されます。
しかし、受給するには申請手続きをする必要があり、書類が届いてもそのままにしておくと受給できません。
本記事では、年金生活者支援給付金の支給額や支給対象者、手続き方法について解説します。
1. 年金生活者支援給付金、基準額5620円!物価変動に応じて「3.2%の引き上げ」に!
年金生活者支援給付金とは、公的年金収入やその他所得の合計額が一定基準以下の年金受給者の生活を支援するために、公的年金に上乗せして支給される給付金です。
年金生活者支援給付金の支給額は、物価変動に応じて改定される仕組みです。2025年度の物価変動率が3.2%の上昇であったことを踏まえ、2026年度の年金生活者支援給付金は3.2%の引き上げとなります。
2026年度の支給額は以下の通りです。
- 老齢年金生活者支援給付金:5620円(+170円)
- 障害年金生活者支援給付金(1級):7025円(+212円)
- 障害年金生活者支援給付金(2級):5620円(+170円)
- 遺族年金生活者支援給付金:5620円(+170円)
※いずれも月額。()は前年度比。
老齢年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金は月額5620円で、昨年度より170円の増額です。
障害年金生活者支援給付金は級により異なり、1級の場合が7025円、2級の場合が5620円です。それぞれ昨年度より212円、170円引き上げられています。
ただし、これらの金額はあくまでも基準額であり、実際には保険料納付済期間に応じて調整が行われます。
支給額の改定は2026年4月分から適用されますが、実際に振り込まれるのは6月支給日となります。というのも、公的年金は年に6回、偶数月に前月分と前々月分がまとめて支給される仕組みだからです。
つまり、改定された4月分と5月分は6月支給分(6月15日支給)として受け取ることになります。老齢年金生活者支援給付金を受給している場合、満額で1万1240円が年金に上乗せして支給されます。
では、年金生活者支援給付金をもらえるのはどのような人なのでしょうか。次章で支給要件を確認しましょう。
2. 年金生活者支援給付金、基礎年金受給者が対象「前年の所得」が支給要件のひとつ
年金生活者支援給付金は、受給する(している)基礎年金の種類によって、以下の3つの種類に分かれます。
- 老齢基礎年金を受給している方:老齢年金生活者支援給付金(または補足的老齢年金生活者支援給付金)
- 障害基礎年金を受給している方:障害年金生活者支援給付金
- 遺族基礎年金を受給している方:遺族年金生活者支援給付金
それぞれの給付金ごとに、支給要件が決められています。
2.1 老齢年金生活者支援給付金
老齢年金生活者支援給付金は、次の要件をすべて満たしている方が対象です。
- 65歳以上の老齢基礎年金受給者である
- 世帯内の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他所得の合計額が次の金額以下である(※2)
・昭和31年4月2日以後生まれ:90万9000円以下
・昭和31年4月1日以前生まれ:90万6700円以下
(※1)障害年金・遺族年金などの非課税収入は含まない
(※2)以下の場合は「補足的老齢年金生活者支援給付金」の支給対象
・昭和31年4月2日以後生まれで80万9000円を超え90万9000円以下
・昭和31年4月1日以前生まれで80万6700円を超え90万6700円以下
2.2 障害年金生活者支援給付金
障害年金生活者支援給付金は、次の要件をすべて満たしている方が対象です。
- 障害基礎年金受給者である
- 前年の所得が、479万4000円以下(※)である
(※)扶養親族等の人数に応じて増額される
2.3 遺族年金生活者支援給付金
遺族年金生活者支援給付金は、次の要件をすべて満たしている方が対象です。
- 遺族基礎年金受給者である
- 前年の所得が、479万4000円以下(※)である
(※)扶養親族等の人数に応じて増額される
このように、それぞれの給付金は、受給中の基礎年金の種類や所得などの要件に該当する場合に支給対象となります。
3. 年金生活者支援給付金、新たな対象者「はがき型の請求書」が届く
年金生活者支援給付金を受給するためには、自分から手続きをする必要があります。手続き方法は、新規で老齢基礎年金を受給する場合と、すでに受給中である場合とで異なります。
3.1 すでに老齢基礎年金を受給中で新たに支給対象になる場合
老齢基礎年金を受給中であり、新たに年金生活者支援給付金の対象者になった方には、例年9月1日以降、年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が順次送付されます。
年金生活者支援給付金請求書(はがき型)に、氏名など必要事項を記入のうえ、同封されている目隠しシールを貼り、切手を貼付して郵送します。また、電子申請により手続きすることも可能です。
なお、一度給付金の支給が認められれば、翌年以降も支給要件を満たしている場合、原則として再度申請手続きを取る必要はありません。
3.2 これから老齢基礎年金を受給開始する場合
65歳からの年金受給開始に際し、年金生活者支援給付金の支給対象になる方に対して、65歳になる3ヵ月前を目安に、年金請求書(事前送付用)に同封して給付金請求書が送付されます。
同封されていた場合は、給付金請求書に必要事項を記入のうえ、公的年金の請求書とあわせて年金事務所に提出します。
3.3 老齢基礎年金を繰上げ受給している場合
老齢基礎年金を繰上げ受給している方のうち、年金生活者支援給付金の支給対象となる方には、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの場合は前月の初旬)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送付されます。
年金生活者支援給付金請求書(はがき型)に氏名などを記入し郵送するほか、電子申請でも手続きが可能です。
4. おわりに
2026年度の年金生活者支援給付金は、昨年度よりも3.2%の引き上げとなり、年金支給日には約1万1000円が年金に上乗せ支給される可能性があります。
ただし、生活者支援給付金は自分で手続きをしなければ受給できないため、書類がお手元に届いた際には速やかに申請手続きをとりましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 特設サイト」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「65歳の誕生日を迎える方で、老齢基礎年金を繰上げ受給している方」
木内 菜穂子