3. 給付付き税額控除の課題

前章で解説したように、給付付き税額控除は、税負担の軽減と給付を組み合わせることで、中低所得層への支援を重視する制度として議論されています。制度設計によっては、所得水準に応じて給付額や対象範囲が変わる可能性があります。

  • 公金受取口座の登録率
  • 手続き事務の複雑化
  • 制度導入に関する財源の確保

給付の迅速化や事務負担の軽減に向けては、公金受取口座の活用も論点の一つとなっています。公金受取口座を登録している場合、給付申請時の口座情報記入や添付書類、行政機関による確認作業の簡素化につながるとされています。なお、登録状況は2026年4月時点で約60.9%です。

また、制度導入にあたっては、所得情報の把握や控除・給付額の算定、支給手続きなど、運用面の設計も論点として議論されています。加えて、必要となる財源をどのように確保するかについても、今後の検討課題とされています。

こうした実務面の課題や事業者・自治体の事務負担を考慮し、2026年5月20日の国民会議では、まずは給付措置として「現金給付への一本化」から始める方針が固まりました。

4. 当面は「現金給付一本化」の方向で調整

給付付き税額控除については、制度設計や運用面に関する議論が続いています。

2026年5月現在、前述の通り当面は「現金給付一本化」の方向で調整が進められていますが、本来の「給付付き税額控除」の本格導入に向けては、政府や与党を中心に導入時期や具体的な仕組みなどについて検討が進められている段階にあります。先の見えない物価高対策として注目されている施策ですが、実現に向けてクリアしなければならない数々のハードルがあるのが現状です。

気になる開始時期については、仮に秋の国会で法案が通ったとしても、システム改修のために1年程度の期間がかかることが考えられます。こういった事情から、実際にスタートするのは2027年4月以降になる可能性が高いとの見方もあります。