好業績銘柄でも、株価が業績と同じ方向に動くとは限りません。半期時点で通期予想の大半を消化してしまうほどの進捗を見せた銘柄が、株価では下落基調に置かれることもあります。サイバーエージェント(4751)の直近1年は、そのプロセスの縮図として受け止められる動きを見せました。

※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。

それでは早速見ていきましょう。

2026年9月期第2四半期は営業利益+79.8%、通期予想への進捗は既に95%

2026年9月期第2四半期(半期)の決算内容は、力強い増収増益となりました。

売上高は4,786億円で前期比+13.6%、営業利益は525億円で+79.8%、経常利益は539億円で+84.8%、当期純利益は273億円で+72.3%と、二桁の増益で着地しています。

会社が示している通期予想は、売上高8,800億円で+0.7%、営業利益550億円で-23.3%、当期純利益275億円で-13.2%と、前期比では減益を織り込んだ数値です。しかし半期実績と比べますと、営業利益ではすでに95.4%の進捗、当期純利益では99.4%の進捗となっており、通期予想は保守的な設定と受け止められる姿になっています。

過去5期の営業利益は激しい振れを経て、直近は回復トレンドへ

背景にあるのは、過去5期の利益トレンドが大きく揺れながら再上昇に転じてきた点ではないでしょうか。

営業利益は2021年9月期の1,044億円から、2022年9月期691億円、2023年9月期246億円と大きく縮んだのち、2024年9月期401億円、2025年9月期717億円と、直近2期にかけて回復基調に転じています。

売上高は2021年9月期の6,661億円から、2025年9月期の8,740億円まで一貫して緩やかに拡大しました。売上は伸びる一方で、利益は投資フェーズと収穫フェーズの位相を繰り返した姿として読み取れます。

ROE(自己資本利益率)も、2021年9月期37.8%から、2023年9月期には2.5%まで急落したのち、直近の2025年9月期には18.9%まで戻しました。

業種内での相対水準を見ますと、サービス業315社(2026年3月期)のROE中央値は8.6%、営業利益率中央値は6.4%です。同社のROE 18.9%、営業利益率8.2%(717億円÷8,740億円)は、いずれも中央値を上回る位置にあります。

7期連続増配とDOE中央値超え、還元姿勢は緩まず

見るべきは、こうした利益振幅の中でも、株主還元姿勢が一貫して緩んでいない点ではないでしょうか。

分割調整後の1株配当は2021年9月期の11円から、2022年9月期14円、2023年9月期15円、2024年9月期16円、2025年9月期17円と積み上がり、2026年9月期予想は19円が示されています。連続増配は7期に達しました。

純資産配当率(DOE)は4.69%と、サービス業中央値の3.86%を上回っています。絶対的な還元厚みは業種内でも上位帯に位置している姿です。

株価は1年で大きく下落、2025年8月末の1,700円台から2026年4月末に1,200円台まで沈み込み

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出所:各種資料をもとに筆者作成

出所:各種資料をもとに筆者作成

株価の直近1年(月末終値ベース、参照期間は2025年8月末〜2026年7月執筆時点)の推移は、業績の好調ぶりと対照的な動きとなりました。

2025年8月末は1,700円台で推移していた後、下押しに転じ、9月末以降は緩やかな下落基調が続きました。2026年4月末には直近1年の中で最も低い水準である1,200円台まで沈み込みました。

その後は緩やかな戻りに転じ、2026年7月は1,400円台まで反発しています。とはいえ、起点の2025年8月末と直近を比べますと、1年トータルでは大きな下落となりました。

過去5年で見た株主総利回り(TSR)は1.14倍と、同期間のTOPIX 2.07倍を下回っています。長期のパフォーマンスも、過去のピーク水準からの下方調整局面が続いてきた姿として読み取れます。

筆者コメント

一般に「連続増配・高ROE銘柄は株価も堅調に推移する」というイメージが投資家の間で共有されがちです。しかし同社の直近1年の株価は、7期連続増配と2Q時点で通期予想の95%を消化する好業績の中でも、大きく下落する姿を見せました。

業績の実勢と株価評価の間に生じたこのギャップは、業績数値だけでは読み解けない要素——例えば過去のピーク水準からの評価水準調整、長期TSRの累積積み上がりの消化、事業ポートフォリオ内のセグメント別の見通しの違いなど——が絡んでいる可能性があると考えられます。

好業績銘柄を眺めるときは、実績や進捗率の絶対値だけでなく、長期の評価水準がどこにあるか、市場が織り込んでいる次サイクルの姿がどう変化しているかを同時に見ていく着眼点が有効ではないでしょうか。

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
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  • 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
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石津 大希