2. 台湾TSMC・韓国サムスンが選ぶ「圧倒的な技術力」
アドバンテストの検査装置を買っているのは、具体的にどのような企業なのでしょうか。泉田氏は、企業の詳細な情報が記載されている「有価証券報告書」を用いて、同社の主要顧客を明らかにします。
2.1 世界のトップ企業を支える検査工程の強さ
有価証券報告書の「生産受注実績」の項目を確認すると、アドバンテストの売上のうち12.3%を「台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)」が、10.6%を「サムスン電子」が占めていることがわかります(FY2024時点)。
TSMCは、他社が設計した半導体の製造のみを専門に請け負う「ファウンドリ」と呼ばれるビジネスモデルにおいて、世界最大のシェアを誇る企業です。
また、サムスン電子もメモリやスマートフォンの世界的な巨人です。こうした世界のトップ企業が、自社の最先端工場の検査ラインにアドバンテストの装置を採用しているという事実は、同社の技術力の高さを如実に物語っています。
2.2 経産省資料が示す日本の「後工程・検査」の強み
なぜ、アドバンテストはこれほどまでに海外のトップ企業から選ばれるのでしょうか。泉田氏は、経済産業省が作成した半導体産業の戦略資料を引用し、日本の半導体製造装置メーカーが置かれているポジションを解説します。
半導体の製造は、シリコンの板(ウェハ)に回路を焼き付ける「前工程」と、それを切り出して組み立て、最後にテストを行う「後工程・検査工程」に大きく分かれます。
経産省の資料によれば、日本の「ロジック・プローバー・ハンドラ(検査装置)」のグローバルシェアは、2014年の62%から2023年には76%へとさらに上昇しています。
泉田氏はこのデータを示しながら、日本企業が半導体の「検査工程」において世界的に見ても圧倒的な競争力を持っていると指摘します。
「その中でアドバンテストは、後工程としての検査というところで圧倒的なシェアを持っている」
このように泉田氏が語る通り、アドバンテストの強さは単なる一企業の努力だけでなく、日本の製造装置産業全体が持つ「精密なすり合わせ技術」や「品質へのこだわり」という強固な基盤の上に成り立っているのです。
【動画で解説】アドバンテストがTSMCやサムスンに選ばれ続ける理由とは?
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日