9. まとめにかえて|後期高齢期における家計管理とは
75歳以降の家計を考えるうえでは、「平均額」だけを基準に判断しないことが大切です。
後期高齢シニア夫婦の金融資産を見ると、資産の約3分の2を預貯金が占めており、株式や投資信託などの有価証券は比較的少ない構成となっています。
預貯金中心の資産配分は、大きな値動きの影響を受けにくい安心感がある一方で、物価上昇が続く局面では注意も必要です。
口座残高が変わらなくても、インフレが進めば同じ金額で購入できるモノやサービスは少しずつ減っていき、資産の実質的な価値は低下していく可能性があります。
さらに、後期高齢期には医療費だけでなく、介護費用や見守り費用など、将来的に発生しうる支出も視野に入れておく必要があります。
「人生100年時代」と呼ばれる今、重要なのは単純な資産額の多さではありません。どのくらい長い期間、現在の生活水準を維持できるのかという“資産寿命”の視点が欠かせなくなっています。
現役時代から計画的に資産形成を進めることに加え、年金の受け取り方や公的制度への理解を深めながら、長期的に家計を支えていく準備が求められるでしょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 総務省「家計調査 家計収支編 2024年〔二人以上の世帯〕」(第3-2表)
- 厚生労働省「高齢期と年金をめぐる状況」
- 内閣府「令和7年版高齢社会白書(全体版)」
- 総務省統計局「家計調査 用語の解説」
- 生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」
- 厚生労働省年金局「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 2025年 〔二人以上の世帯〕」(第8-10表)
- 生命保険文化センター「リスクに備えるための生活設計」
- 政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」
- 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」
マネー編集部家計班